プレーリードッグはその可愛らしい外見からペットとして高い人気を誇っていますが、その生態はあまり知られていません。
今回は、そんなプレーリードッグの生態をみなさんにご紹介していきます。
プレーリードッグの生態
プレーリードッグは齧歯目リス科に属します。
北米大陸の平原地帯に生息しており、「コテリー」と呼ばれる一夫多妻制の家族を形成して、地中に掘った巣穴の中で生活します。
プレーリードッグの巣は大きく複雑で、巣穴の中は年間を通して15℃前後に保たれているそうです。
食性は完全な草食性で、主にイネ科の牧草を食します。
交代で見張りを立てる習性があり、大型の猛禽類や肉食獣といった天敵の姿を確認すると、甲高い鳴き声を発して仲間に危険を報せます。
同じく北米大陸の平原地帯に生息する小型の猛禽類であるアナホリフクロウは、プレーリードッグの警報システムを利用して外敵から身を守っています。
また、アナホリフクロウはプレーリードッグの古い巣穴に住み着く習性があり、プレーリードッグに依存した生態をもつ一風変わった生き物であるといえます。
プレーリードッグの種類
プレーリードッグの中で最もポピュラーな種がオグロプレーリードッグです。
その名の由来にもなっている黒い尻尾が特徴的です。
他にも、その名の通り白い尻尾が特徴的なオジロプレーリードッグや、コロラド州とアリゾナ州に分布するガニソンプレーリードッグ、ユタ州のみに生息するユタプレーリードッグ、メキシコの固有種であるメキシコプレーリードッグなどがありますが、その外見はいずれもよく似ています。
プレーリードッグと人間との関わり
ペットとしても人気が高いプレーリードッグですが、ペストや野兎病などを媒介するとして2003年以降その輸入は禁止されてしまいました。
現在ペットとして流通している個体は輸入規制以前の個体が繁殖したものに限られているため、市場価格は20万から25万円ほどと比較的高価です。
また、原産国のアメリカでは畑を荒らす害獣として駆除の対象にもなっています。
プレーリードッグの飼い方
プレーリードッグの飼い方は、ウサギやモルモットなど中型の齧歯類の飼育方法に準じます。
プレーリードッグは運動量が多いため、比較的大型のケージを使用し、運動不足解消のため回し車を設置します。
ガラス温室やイグアナ用の大型ケージを利用しても良いでしょう
できることならば、人目のあるときには室内に放して運動させるようにしてください。
プレーリードッグは好奇心が強く、電気コードを齧って感電してしまう恐れがありますので、保護チューブを被せるか、コードのない部屋に限って遊ばせるなどの対策が必要です。
土を掘る習性がありますが、掘れるほどの深さの土を敷くことは難しいかと思いますので、床材にはウッドチップやペットシーツなどを利用し、たまに砂浴びをさせてやると良いでしょう。
20~22℃前後が適温だといわれていますので、冬場には保温が欠かせません。
一室まるごとエアコンで管理をするか、パネルヒーターや保温球を用意してください。
プレーリードッグは野生下でカロリーの低いイネ科の植物を主食にしているため、リスやウサギ向けの餌は適していません。
イネ科であるチモシーを原料としてペレットや牧草を中心に、果物や野菜、草食動物用のおやつをバランスよく与えてください。
プレーリードッグの寿命
プレーリードッグには天敵が多く、野生下では生後一年以内に死んでしまう個体が少なくありません。
そのため野生下での平均寿命は三年前後と短いですが、上手く飼うことができれば10年近く生きることも珍しくありません。
また、プレーリードッグは群れを作って生活する社会性の強い動物です。
できるだけ複数で飼育するか、なるべくひとりぼっちにならないように構ってやると良いでしょう。
前述したように、プレーリードッグは一夫多妻制の動物ですので、多頭飼育をする場合にはオス同士を一緒にしないように気をつけてください。
(ライター 國谷正明)