イワヒバという植物をごぞんじだろうか?
お家に立派な日本庭園のある方や渋い趣味をお持ちの方なら知っていても、なかなか現代人は知らないかもしれないイワヒバ。
今回はイワヒバのについてのお話。
イワヒバの特徴
イワヒバとはヒカゲノカズラ植物門イワヒバ科に属するシダ植物のひとつ。
和名の岩檜葉はその名前の通り葉が檜の葉に似ていて、岩の上に生じることから付けられています。
細く分枝した茎に鱗片のような小さな葉を密生させます。
根元から次々と茎が出て、だんだんと立ち上がってくるので、根っこの塊が茎のようになり、全体の姿はソテツやヤシの木のようにも見えます。
葉のようにも見える茎は乾燥すると丸く縮まり、雨に濡れると再び数時間から数日の間に広がります。
外見上は幹の先端に葉を輪生状に出したように見えますが、実際その幹状のものは根などが絡み合ったもので、高さは20㎝にも達することがあります。
主に岩場に着生していて、樹上に出ることは少なく、日陰や水の当たるような場所には出ず乾燥した岩場を好みます。
多くの場合、多数の株が集まって生育し、その根が集まって岩盤の上にクッションを形成しているようになります。
そのクッションに更に根を下ろす植物もあり、色々な着生植物が集まって大きな群落をつくっていることもあります。
温帯域より涼しい地域に生息し、国外では東南アジアの高山にかけて分布。
日本ではほぼ全土にわたって分布しています。
イワヒバの利用
イワヒバは止血剤として利用されていたこともありますが、多くは古典園芸植物として古くから観賞用の植物として栽培されてきました。
現在でも数十の品種が登録されていますが、登録されていない品種も数多く存在します。
イワヒバの品種
イワヒバの品種は葉の形態、葉系、葉しよう性、葉種、斑等の他、葉色の変化の違いや出芽の美しさの良否によって分類することが出来ます。
1840年からある品種や最近になって登録された品種等様々ですが、そのいくつかを紹介していきます。
都紅(みやこべに)と呼ばれる品種は1843年からある品種で平らで大き目な葉をしています。
初夏のころから白黄の曙斑が広がっていき、のちに中斑になります。秋の紅葉が綺麗な品種です。
また、よく栽培される品種として金華山や紫金欄、御所錦、飛竜などが挙げられます。
金華山は常緑でとても人気のある品種です。大きな葉で鮮やかな濃緑色をしています。晩春に葉先から白黄の曙斑を現しはじめ、秋には紅葉します。
紫金欄は株が立ち上がる品種で大きな葉を横に広げます。
新芽の頃から葉に金色の斑が入り、夏になると葉の中心部が紫色の変化することから名づけられました。
御所錦は葉の先端が徐々にオレンジ色になる中型の品種です。夏になると錦のような見た目になります。
飛竜は千のような葉を横に広げて生長します。育てやすい品種で人気があります。
イワヒバ栽培のポイント
イワヒバは鉢植えから庭の石に植え付けるのが一般的です。
鉢植えは株よりも少し大き目で、浅いものを選びます。
鉢に土を敷き詰めて株を置いて間にさらに土を詰めていきます。
岩に植え付ける時はピッケルで穴を開け、中に土を詰めて植え付けていきます。
5~7月頃が適期で、植え替えなどもこの時期にするとよいでしょう。
水やりや肥料はほとんど必要ありません。
むしろ株が若い時に必要以上にやりすぎると枯れる原因にもなってしまいます。
冬は休眠しているので生育しません。
雨や霜、直射日光の当たらない軒下などに移動させて乾燥させておくと良いです。
枯れたような見た目になるものもありますが、春になって植え替えをし、水を与え始めると見事に復活します。
(ライター ナオ)