彼岸花(ヒガンバナ)は、リコリス、曼珠沙華(マンジュシャゲ)とも呼ばれる、ヒガンバナ科・ヒガンバナ属の多年草です。
ここでは彼岸花と火事の関係について紹介します。
彼岸花の生態
彼岸花は、全草有毒な多年生の球根性植物です。
散形花序で6枚の花弁が放射状につきます。
道端などに群生し、9月中旬に赤い花をつけますが、赤のほかに白いものや黄色いものもあります。
彼岸花は、日本には北海道から琉球列島まで分布しています。
ただし自生ではなく、ユーラシア大陸東部から帰化したものと考えられています。
彼岸花の帰化の経緯は、稲作の伝来時に土とともに鱗茎が混入してきて広まったという説と、土に穴を掘る小動物を避けるために有毒な鱗茎をあえて持ちこみ、畦や土手に植えたという説があります。
彼岸花は人里に生育し、田畑の周辺や堤防、墓地などに群生しています。
特に田畑の縁に沿って列をなしている場合、花が咲く季節には見事な景観となります。
彼岸花は、湿った場所を好み、まれに水で洗われて球根が露出したりします。
彼岸花の毒
彼岸花には「アルカロイド」という毒が含まれています。
この毒を摂取すると、中枢神経がマヒしたり、吐き気や下痢などの症状が表れます。
というわけで、彼岸花は、畑を荒らす小動物たちから畑を守るために、畑を囲うように植えられることがあります。
このような防御柵としての使い方は、畑だけではありません。
彼岸花は、モグラなどの小動物が道路への侵入を防ぐために道端に沿って植えられたり、墓を守るために墓地を囲むように植えられたりします。
以上のように、非常に有用な彼岸花ですが、ただここで問題となってくるのは、彼岸花の毒が小動物だけでなく、人間にも効くことです。
特に体の小さな子供の場合は、注意が必要です。
最悪、死に至ります。
彼岸花と火事の関係について
彼岸花の迷信はいくつかありますが、そのなかに「彼岸花を家に持ち帰ると火事になる」というものがあります。
なぜ「彼岸花を家に持ち帰ると火事になる」と言われるようになったのでしょうか?
それは、彼岸花の毒が子供を死なせてしまうほど強力なものなので、子供たちに注意をうながすために、子供たちを守るために、そのような話をしたのだといわれています。
彼岸花にまつわる迷信は、火事になるという話のほかにも、以下のようなものがあります。
- 彼岸花を摘むと手が腐る
- 彼岸花を摘むと死者が出る
- 彼岸花に触れると大きな病気をする
- 彼岸花は、人の魂を吸い取ってしまう怖い花
このなかでも「彼岸花を摘むと死者が出る」という迷信は、彼岸花を摘んでしまうと、モグラや小動物がお墓を荒らしてしまうから、それを防ぐために言い伝えられるようになったようです。
モグラが墓を掘り起こす=死者が出るという連想ですね。
ちなみに火葬は仏教の葬法で、日本には仏教伝来とともに伝わってきましたが、燃料費などが高額なため、庶民にはなかなか普及しませんでした。
そもそも仏教では遺体を骨にすることが重要なので、火葬ができない人々は、遺体を骨にする目的で土葬にしていました。
日本で土葬が完全になくなったのは、1970~1980年頃だと言われています。
現在の日本では、土葬は違法ではありませんが、知事などの許可がまず取れないので、事実上不可能となっています。
彼岸花のその他雑学など
彼岸花といえば、真っ赤な花を連想しがちですが、実は、白い彼岸花や黄色い彼岸花もあります。
そんな彼岸花の花言葉は、以下の通りです。
赤い彼岸花の花言葉
「情熱」、「独立」、「再会」、「あきらめ」、「悲しい思い出」、「あなた一人を想う」、「また会う日を楽しみに」など
白い彼岸花の花言葉
「あなた一人を想う」、「また会う日を楽しみに」など
黄色い彼岸花の花言葉
「悲しい思いで」、「追想」、「深い思いやり」など
彼岸花のまとめ
以上、彼岸花と火事の関係についていかがでしたか?
彼岸花がモグラ避けになっていたのも驚きましたが、日本でも昭和の頃まで土葬が行われていたことにも驚きました。
火事との関係は迷信のようですが、しかしたしかに炎を連想させるビジュアルですよね。思わず見入ってしまいます。
(ライター ジュン)