芳醇な香りを放つオニユリ。
その姿は華やかで美しく、切り花としても、鉢植えとしても人気があります。
今回はそんなオニユリについて詳しく紹介します。
ユリ科の特徴
まずはオニユリも属するユリ科の特徴から見ていきましょう。
種としてのユリは北半球のアジアを中心にヨーロッパ、北アメリカなどの亜熱帯から温帯、亜寒帯にかけて広く分布しています。
原種は100種類以上、品種は130品種ほどあるといわれ、日本には15種類があり、うち7種類は日本特産種になります。
1925年に発表された分類ではヤマユリ亜属、テッポウユリ亜属、スカシユリ亜属、カノコユリ亜属の4種類に分かれています。
山岳地帯や森林、草原、湿地に自生し、唯一の着生植物です。
一般的には石灰質でない弱酸性の土壌を好み、秋植えの球根草です。
オニユリの特徴
オニユリはユリ目ユリ科カノコユリ亜属に分類され、グアム東部、中国、朝鮮半島、日本に自生します。
日本では北海道から九州の平地から低山で普通にみられ、中国からの渡来種という説もあります。
草丈は1~2mほどの大型のユリで、葉は互生、小さ目の披針形をしていて先端はゆるく尖っています。
茎は紫褐色をしていて斑点があり、花の時期は7~8月です。
オレンジ色の花弁は草原の中でもひときわ目立つ存在で、花弁は強く反り返り、暗紫色の斑点が生じます。
ヤマユリと同じく球根はゆり根として食用になります。
また、基本的にウイルスに弱い野生種の中では比較的ウイルス耐性があり、庭植えなどに利用される種類でもあります。
オニユリの栽培
オニユリの植栽時期は10~11月です。
日当たりの良い場所を好み、球根が埋まっている地中の温度が高くなるのを嫌うので、梅雨明け以降は地面に強い直射日光が当たらない場所や建物の東側など、できるだけ涼しい環境で育てると良いでしょう。
ムカゴの場合は10~11月に育苗ポットに植え付けます。
土の上にムカゴをのせ、土をかけずに水やりをして管理します。
ムカゴから根が出てきたら、その根を隠すようにして土を寄せていきます。
半年ほどで本葉が出てきて、2年以内に花が咲くまでに生長します。
球根の場合もムカゴの場合も庭植えの場合は雨に任せますが、鉢植えの場合は鉢土の表面がよく乾いたときにたっぷりと水やりをします。
花の後も葉が枯れるまでは土が乾かないように水やりを続けます。
肥料は庭植えの場合は緩効性化学肥料を1㎡辺り100g程度、鉢植えの場合は1l当たり2gが元肥の目安です。
生育期間中は2週間に1回程度、液体肥料を施します。
オニユリで良く知られる害虫はワタアブラムシでで、ユリの茎が伸び始める頃や若い葉、蕾につきます。
予防として植え付けの時に殺虫剤の粒剤を施用すると良いでしょう。
花が終わった後は摘み取り、葉を残すのが基本ですが、球根を食用にする場合は蕾の時点ですべての蕾を摘み取り、球根を太らせます。
また、繁殖させずに花を楽しみたい時には、ついたムカゴは採取してした方が球根に栄養がいきます。
食用としてのオニユリ
日本でゆり根として食用されるユリで栽培されているのはコオニユリ、オニユリ、ヤマユリの3種。
中でもコオニユリの栽培が最も多く、カノコユリも食用になりますがこちらはほとんど栽培はされていないようです。
ゆり根栽培の9割が北海道で、コオニユリの中の白銀という品種によるものだそう。
球根を植えてから立派なゆり根がとれるようになるまでに3年がかかり、また一度植え付けた畑には最低7年間は植えません。
とても時間と手間のかかるゆり根栽培ですが、ゆり根きんとんはお正月料理として伝統的に親しまれ、高級食材としても重宝されています。
独特のほくほくの食感は最高です。
(ライター ナオ)