「彼岸花には毒がある」というのは、昔からよく言われていることですよね。

私も子どもの頃は毒が怖くて、彼岸花に触れませんでした。

 

しかし今になって思えば、「本当に毒はあるのか?」という疑問が湧いてきます。

あんなに身近にたくさん咲いている花なのに、実際に毒にやられたという人に出会ったことがありませんからね。

そこで今回は、彼岸花の生態や毒についてまとめていきたいと思います。

彼岸花の生態

彼岸花は、国内では北海道から沖縄にかけて広く分布しています。

人里に生育しており、特に湿潤な環境を好みます。

田んぼや畑の周囲、堤防、墓地などによく見られますね。

田んぼや畑を囲うようにして咲き誇る光景は、圧巻です。

多年草で、高さ約30㎝の茎の上に花を付けます。

 

毒々しいほど鮮やかな赤色をした花は、美しくもあり、どこか妖しくもありますね。

昔から美しさよりも、不吉なイメージが強いように思います。

開花の季節は、その名前の通りお彼岸頃。

 

いつも彼岸花が咲き始めると、「ああ、そろそろお彼岸だな」と思い出します。

むしろ、彼岸花が咲かないとお彼岸だということを思い出せないくらいです…。

本当に毒はあるのか?

さて、ここからが本題「彼岸花に毒はあるのか」ということに迫っていきたいと思います。

あるとすればどんな毒なのか、危険性はどのくらいなのか、ということについても調べてみました。

早速結論から言えば、毒は本当にあります!

毒の成分は「アルカロイド」というもので、もしこの毒を摂取した場合、嘔吐・下痢・呼吸困難などを引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあるそうです。

こんな危険な花がそこら中に咲いていたなんて、恐ろしすぎますね…。

 

しかも、毒は花・茎・葉・根のすべてに含まれており、特に含有量が多いのは球根です。

なぜそんな危険な花が野放しになっているのか!と思われるかもしれませんが、じつは毒性はさほど強くなく、人間に対してはあまり影響はありません。

 

人間(大人)の致死量は10gほどと言われており、一方彼岸花の球根に含まれる毒の量はたったの15㎎。

普通に暮らしていたらまず致死量まで摂取することはないので、安心してください。

 

そして彼岸花の毒は経口摂取の場合に影響が出ますので、花や茎を触るだけなら大丈夫です。

ただし、いくら命の危険がないとは言っても、小さな子供さんやペットなどにとっては大きな影響を及ぼす場合もあります。

うっかり口に入れたりしてしまわないように、しっかりと注意しておきましょう。

なぜ田畑や墓地に多いのか

彼岸花は元々自生している植物ではなく、人為的に植えられたものが帰化したものだと考えられています。

確かに、不自然なほどに田畑の周りなどにキッチリと生えていますもんね。

 

なぜそういった場所に植えられたのか…それには様々な理由があります。

まず、ネズミ・モグラ除けのため。

 

ネズミやモグラは彼岸花の毒を嫌います。

そこで彼らの被害から農作物を守るために、彼岸花が植えられたと言われています。

 

また、墓地に彼岸花が多いのも、そういった動物から遺体を守るためだったそうです。

次に、畦道や堤防を崩れにくくするため。

 

彼岸花の根が土をしっかりと固めてくれるため、畦道や堤防が崩れにくくなるんだとか。

そして意外にも彼岸花は水にさらすことで毒素が抜け、食用とすることができるため、飢饉の時のための非常食として植えられていたという説もあります。

彼岸花についてのまとめ

彼岸花は、昔から私たちの生活にとってとても重要な役割を果たしてくれていた花でした。

現在では毒がある、不吉だとマイナスなイメージばかりが強くなってしまっており、少し可哀相ですね。

彼岸花が一面に咲き誇る名所などもありますので、そういったところへ行けば彼岸花に対するイメージがガラリと変わるかもしれません。

(ライター もんぷち)