植物の茎に白い泡が付いているのを、見かけたことはありませんか?
私は、子供の頃見かける度に「なんだろう?」と不思議に思っていたのを覚えています。
実は、あの泡の中には「アワフキムシ」という虫が入っているのです。
アワフキムシは泡の中でいったい何をしているのでしょうか。
今回は、そんなアワフキムシについて紹介します。
アワフキムシとは
アワフキムシはカメムシの仲間で幼虫が泡状の巣をつくる種類全般の総称です。
幼虫がその名の通り、泡を作ることからその名がつきました。
体長が5~10mmほどの幼虫は泡のなかで植物の茎に流れる液から栄養を得て生活し、ほとんど移動せずにすごしています。
また、成虫は12ミリほどで幼虫と同じように植物の液を餌としています。
アワフキムシの生息域
アワフキムシは約2000種類もいて、世界中に広く分布しています。
日本では約40種類が北海道から九州までの地域に分布しています。
幼虫は春から初夏にかけて現れ、成虫は6~9月まで見ることができます。
アワフキムシの泡の正体と泡を吹く理由
幼虫が出す泡の正体は、植物から吸った液から栄養分を吸収したあとの余分な水分とアワフキムシが生活する上で不必要になった物質です。
簡単に言うと、アワフキムシの排泄物にお腹の気門から空気を吹き込み泡立たせています。
この巣は粘度が高く、とても丈夫で雨や風で吹き飛ぶことはありませんし、晴れの日が続いても干からびることはありません。
泡は断熱材の役割もするので、巣の中は快適で、その中に隠れていることで、アリなどの捕食者から身を守ることもできます。
アワフキムシの害はあるの?
アワフキムシは植物の茎から栄養を吸い取るので植物に少々悪影響を与えますが、そこまで大きな被害ではありません。
しかし、ガーデニングなど行っているとアワフキムシの泡が景観を損ねてしまいます。
アワフキムシの巣がひとつ、ふたつなら、さほど気にならないかもしれませんが、アワフキムシが大量に発生した場合などは、あちらこちらに目立つ白い泡がついているわけですから、気になってしまいますよね。
アワフキムシは頻繁に大量発生するわけではありません。
見つけたらその場で捕まえて取り除いていれば、まず安心です。
泡を取り除けば、アワフキムシの幼虫を見つけることができますので、簡単に駆除できます。
成虫は動きが早くなるので、動きの遅い幼虫のうちに駆除するのがおすすめです。
成虫になってしまうと、動きが早くなることに加えて、次の幼虫を残すというデメリットもあります。
万が一、大量発生してしまった場合はスミチオン乳剤やオルトランCなどの駆除剤を散布するのが効果的です。
アワフキムシの泡が生活に役立つ!?
アワフキムシがつくる丈夫な泡の原理を私たちの生活に役立てようとする研究が進められています。
それは、泡を使った新しいお風呂です。
泡のお風呂であれば、そのほとんどが空気であることから、水の量を1/10にまで節約できます。
また、泡がつぶれるときに発生する超音波は、汚れを落とす効果もあるので、そのメカニズムはお風呂としてぴったりなのです。
さらに水圧がかからないので、高齢者や身体の不自由な人にとっても優しい入浴法をなることが期待されているのです。
アワフキムシの泡から、こんなに役立つ研究がされているなんてびっくりですね。
それにしても泡のお風呂なんてとても気持ちよさそうです。
実現したら、ぜひ入ってみたいところです。
まとめ
身近だけれど意外と知られていないアワフキムシの生態、いかがでしたでしょうか?
ガーデニングにこだわる人以外にはあまり害はありません。
それどころか、丈夫な泡のメカニズムが人間の生活向上のために研究されていることがわかり驚きです!
研究が実を結んだときには、私も泡のお風呂を体験してみたいです。
ライター:さくら