チンパンジーは表情豊かな動物です。歯をむき出しにし、一見笑顔かな?と思うような表情も見かけますが、あれは威嚇です。

ヒトと近いといわれるチンパンジーはどれくらい生きるのでしょうか。

チンパンジーの生態や種類など

チンパンジー属には4つの亜種がいます。

セネガルからガーナにかけて生息する西チンパンジー、カメルーンやコンゴに生息する中央チンパンジー、ザイール、ウガンダ、タンザニアなどに棲む東チンパンジー、ナイジェリア北部やカメルーンのナイジェリアチンパンジーです。

個体数が少ないとみられているのはナイジェリアチンパンジーです。

東チンパンジーはケナガチンパンジーともいわれ、他のチンパンジーより毛が長いのが特徴です。

 

これらのチンパンジーたちは群れをつくる、道具のようなもので木の実の殻を割る、など基本的には似ていますが、それぞれ異なる生活様式を持っているようです。

このことがチンパンジーが文化を持つ、という考えの根拠となっています。

 

チンパンジーは成体で全長約60~90cm、体重は30~90kgくらいです。

メスの方がやや小さめですが、筋肉質なようですね。

 

群れをつくり生活します。群れの中でポジションがはっきりしているのも特徴で、低い地位のオスが高い地位のオスに挨拶をするパントグラントという行動も見られます。

また、違う群れ同士で激しい争いになる事もよくあります。

 

メスは7歳程になると発情期を迎え、お尻の部分が大きく腫れます。

この現象は性成熟ですが、初潮のようなものであるようです。

 

妊娠期間はおおよそ200日以上です。

産まれた子は4、5歳くらいまで母親とくっついて過ごします。

この間に群れで生きていく術を学ぶようです。

 

子供のチンパンジーは成長と共に脳の重量が3,2倍になるそうです。

チンパンジーのメスは一生を終えるまで子を産み続けますが、一人の子を大きくなるまで育ててから次の子を産むのも特徴のひとつです。

 

チンパンジーの天敵は、ヒョウや大型猛禽類などアフリカに生息する動物食の生物だといわれています。

しかしチンパンジーは声の種類が約30種はあるという事で、危険を察知するとすぐに知らせてしまいます。

 

チンパンジーたちは地上を二足歩行しますが、ヒトとの相違点は骨盤の骨にあるそうで、チンパンジーの場合、前かがみになってしまうのが特徴です。

この辺りも直立二足歩行に適応しているのはヒトのみである、という考えのもとになっています。

しかし直立二足歩行をすることで失ったものも多く腰痛も増えたので、どちらがどうとも言えないような気もしますね。

チンパンジーの狂暴な一面

チンパンジーは遺伝子的にも限りなくヒトに近い生物であり、言葉・道具・コミュニケーションなどにも長けた知能が高い動物とされていますが、同時にチンパンジーの狂暴さも知られるようになりました。

ヒトとの違いとされてきた、狩猟による肉食も確認されるようになりました。

 

大型類人猿にはオランウータン、ゴリラ、チンパンジー、ボノボがいますが、日常的に狩りを行い肉食をするのは今のところチンパンジーのみのようです。

チンパンジーはサル類も狩猟の対象としているようです。

 

ヒトとチンパンジーの脳の違いは脳の容量もありますが、主に前頭葉の発達具合が違うそうです。

前頭葉が司る能力のひとつに創造性や感情、理性などがあります。

 

おそらくヒトという生物を最も人間たらしめている分野のひとつかも知れません。

チンパンジーたちは狩猟や子供を殺す際、命を持ったものに対し認識および関心を持っているのかが、我々ヒトとの大きな相違点になるのかも知れませんね。

チンパンジーの寿命

野生下では約40~50年、飼育下ではもっと高齢になる事もあるそうです。

42歳くらいのチンパンジーは、ヒトの年齢でいうと約70歳になるそうです。

 

かなり高齢ですね。という事は、50歳くらいになると80歳ほどでしょうか。

寿命と時間の感覚は切っても切れない関係にありますが、チンパンジーたちは時間の認識を持つのでしょうか?

チンパンジーについて

霊長類の野外研究が本格的に始まったのは、1950年代の後半だそうです。大きな戦争の後ですね。

遺伝子的にチンパンジーとヒトは似ているといわれますが、それは解釈によるのだそうです。

 

遺伝情報というものは、非常にややこしいものです。

遺伝情報の本体部分がDNAでありもともと同じDNAを持っていた部分は多くあるが、その生物がどのような進化を遂げてきたかによりまた異なることもあるようです。

 

いわばその生物の生物学上の道筋を示すようなものでありながら、定まっていない地図のように見えます。

チンパンジーとヒトはもとは限りなく近い種であり、今でもそうと言う事も可能ではあるが、だからといって同じような生物とはとても言えない、という気がしますね。

これから先、チンパンジーがヒトのようになるという事はとてもあり得ない事のように思われます。

 

私見ですが遺伝情報にある空白部分をどう捉えるかが、生命を理解するにあたり重要な気がします。

それさえ解明できれば生物について何でもわかるかのように思われていた遺伝情報にすら空白がある事を知った時、個人的に腑に落ちるものがありました。

生命というものは意外に曖昧で、とらえどころがないものなのかも知れませんね。

(ライター:おもち)