テレビの動物ドキュメンタリー番組などでも時々登場するブチハイエナ。
ハイエナというとあまり良い印象のない動物ではありますが、知名度が高いのは事実。
ブチハイエナは名前の通りぶちの模様が特徴的なハイエナですが、彼らの生態について詳しくまとめてみました。
ブチハイエナの特徴
ブチハイエナは哺乳類ネコ目ハイエナ科ハイエナ属に分類される食肉類です。
アフリカ大陸のサハラ砂漠、コンゴ盆地、アフリカ大陸最南端部を除く地域に分布しています。
体長は90~165㎝、体重は40~86kgでハイエナ科では最大種デス。
オスよりもメスの方が大型で、全身は短い体毛で粗く覆われています。
尾の先端には房状の体毛が伸長し、毛衣は木褐色で濃褐色や黒の不規則な斑紋が入ります、
小臼歯はとても頑丈で顎の力も強く、捕らえた獲物を嚙み砕くことができます。
腐肉を漁ったり、他の動物の獲物を横取りするイメージの強いハイエナですが、ブチハイエナは優れた俊足と並外れた体力を持ち合わせている優秀なハンターなので、食べ物のうちの6割は自分たちで捕らえた獲物です。
ブチハイエナの生態
ブチハイエナは草原などに生息し、夜行性です。
単独かペアで生活する個体群もあれば、何十頭からなる群れを形成し、複数のクランを渡り歩いたり、新しくクランを作る個体群もいます。
他個体と遭遇すると頭部と尾が互い違いになるように並び、片足を上げて性器の臭いを嗅いだり舐めたりします。
よく鳴き声を上げ、12種類の鳴き声を使い分けているともいわれています。
英名は「笑い」の意味の言葉が付けられ、12種類の鳴き声のうちの一つがまるで笑っているよう打というところからきているようです。
食性は動物食で主に20kg以上の哺乳類を食べますが、鳥類や爬虫類、魚類、昆虫、動物の死骸なども食べます。
主に狩りを行って獲物を食べますが、他の動物が倒した獲物を奪ったり、倒した獲物の一部を後で食べたり、水中や泥中に貯蔵する為に運搬したりもします。
繁殖形態は胎生で妊娠期間は110日です。1回に産む幼獣の数は1~4頭で、同じクランのメスが同じ巣穴で子育てを行います。
巣穴の中には雄の幼獣も含んだ捕食者を避けるために細い通路があります。
授乳期間は18ヵ月ですが、ブチハイエナのメスは体内で高いアンドロゲン濃度が維持され、独特の性器をもつことから、正常な出生率は極めて低く、第一子の半数近くは死産、もしくは死亡していると言われています。
野生下の寿命は33年、飼育下では40年以上生きた個体もいます。
人間とブチハイエナの関係
一般的にブチハイエナは野蛮で危険な動物と考えられています。しかし、一方で強靭な体力などから神聖視されることもあるなど多面性を持って語られています。
西アフリカの特にイスラム今日の影響の強い地域では、ブチハイエナは不道徳の象徴として描かれ、イスラム今日を冒涜する動物と考えられていました、
一方、東アフリカの部族の中には太陽を生み出した動物としての神話が残る等その扱いは両極端です。
エチオピアの世界遺産の町、ハーレルではハイエナの餌付けの伝統が観光事業にもなっています。
マラウイやタンザニアではブチハイエナの生殖器や鼻、尾が伝統的な薬として用いられるので需要があり、狩猟の対象にもなっています。
動物園などではその見た目や印章から人気がなく、現在飼育している動物園は少なく、展示をしている動物園でも比較的劣悪の環境下で育てられていたりします。
繁殖に関しても熱心な動物園が少なく、継続して子孫を得ることが難しい状況です。
静岡市立日本平動物園や札幌市の円山動物園、岡山県の池田動物園などでブチハイエナを見ることができます。
(ライター ナオ)