キノコと言えば傘があって石突があって…という姿を思い浮かべる人がほとんどだと思います。
または、「サルノコシカケ」のように平べったいものや、マッシュルームのようなドーム型のキノコ。
しかしキノコの中には、一見するとまるでキノコに見えないものもたくさんあります。
その中の一つ、「マメザヤタケ」はキノコとは思えない奇妙な姿をしているんです。
今回はそんなマメザヤタケについて、生態や「食べられるのか?」という点についてまとめてみました。
マメザヤタケってどんなキノコ?
マメザヤタケは、その名の通り「豆のサヤ」のようなものが、地面から直接生えているような姿をしています。
色が黒いので本物の豆と見間違うことはまずありませんが、かと言ってキノコにも見えませんね。
高さは3㎝~7㎝ほどで、人間の指のようにも見えることから、英名では「Dead man’s fingers(死者の指)」とも呼ばれているのです。
それを聞いてしまうと、もう黒ずんだ死人の指にしか見えなくなってくるかもしれません。
マメザヤタケはほぼ全世界に分布しており、日本でも広い範囲で見ることができます。
広葉樹の枯れ木や、立木の根元などに発生するので、見たことがある人もいるかもしれません。
表面は黒く、点々と小さな穴が開いており、ここから胞子を出すのです。
触ると硬く、内部は中空になっています。
豆のサヤや指のような形が一般的ではありますが、環境や個体によって形態には差が出るのも特徴。
枝のように細かったり、グネグネと曲がっていたりするものもあるので、そういったものを探すのも楽しそうですね。
独特の見た目から、マメザヤタケはマニアの間で密かに人気があるようです。
一見して食用に適しているとは思えないマメザヤタケですが、見た目に反して食べられるのでしょうか?
見た目が悪いものほど美味しいと言いますし、もしかしたらすごく美味しいキノコかも!
…と期待している方もいるかもしれませんが、マメザヤタケは食用にはなりません。
前述したとおりとても硬く、食べられたものではないのです…。
今のところ薬効なども確認されておらず、特に役立つキノコというわけではないようです。
毒があるかどうかも不明なので、好奇心に負けてマメザヤタケを食べたりしないようにしてくださいね。
異名を持つキノコたち
マメザヤタケには「死者の指」という異名があることは前述しましたが、マメザヤタケの他にも恐ろしい異名を持つキノコがあります。
ここではその中からいくつかピックアップして紹介していきますね。
「殺しの天使」
この物騒な異名が付けられているのは「ドクツルタケ」。
真っ白で美しい見た目とは裏腹に、1本で人ひとりを簡単に殺してしまうほどの猛毒を持っていることからこの異名が付けられました。
「キノコの女王」
輝かしい異名を持つそのキノコの名は「ウスキキヌガサタケ」。
まるで薄黄色いレースのドレスをまとったような姿から、「女王」と呼ばれるようになったと言われています。
「耳潰し」
「耳潰し」の異名を持つのは、私たちにとっても身近なキノコ「ホコリタケ」。
叩くと埃のような粉が舞い、それが入ると耳が聞こえなくなるという迷信からそう呼ばれています。
あくまでも名神で、実際に耳が聞こえなくなるということはありません。
マメザヤタケについてのまとめ
もしも墓地なんかでマメザヤタケを見つけてしまったら、ビックリして心臓が止まりそうです。
形によっては本当に死者の指のように見えるので、ギョッとしてしまいますよね。
都市型の綺麗に整備された墓地ではあまり見かけないかと思いますが、昔ながらの山の中にある墓地なんかだと、生えていることがあるかもしれません。
もし見つけてしまったら、本当にマメザヤタケかどうか、落ち着いて観察してみてくださいね。
(ライター もんぷち)