バキュロウィルスという名前のウィルスをご存知ですか?

幼虫をゾンビにしてしまう恐ろしいウィルスなんです!!

バキュロウィルス科について

バキュロウィルスはバキュロウィルス科に分類されます。

バキュロウィルスか科のウィルスは節足動物に感染し、宿主に対する種特異性が高いのが特徴です。

 

大部分はチョウ目の幼虫に感染し、ハチ、カ、エビなどに感染するものもいます。

脊椎動物には感染したり、増殖したりせず、特定の宿主にしか感染しないのですが、一旦感染すると致死性が高いのも特徴のひとつです。

バキュロウィルスの生態

バキュロウィルスはマイマイガに寄生します。

マイマイガの幼虫は昼は地面に近い場所にいて、夜になると樹上に上って葉を食べます。

 

バキュロウィルスは葉に潜んでいて、マイマイガの幼虫の体内に入り込み寄生します。

寄生したバキュロウィルスは幼虫の体内で増殖。

 

この時、ウィルスは、夜行性である性質を幼虫から奪い、一日中木の樹上にいるようにしむけます。

マイマイガはこうして、常時木の上に留まることで、木の上でバキュロウィルスによってドロドロの状態に溶かされ、殺されていきます。

 

高い位置で幼虫のドロドロに溶けるということは、そこで物体と共に増殖したウィルスが地面に落ちたり、鳥などに捕食されたり、時には風によって遠くまで飛散することで、次の世代が広範囲に伝播していくという、

 

完全にウィルスにとって都合の良い結果を産みだします。

このように、寄生した宿主の行動を支配してしまうということは、ウィルスや菌類がよくとる手段。

 

この、ウィルス本位の行動の変化をどうやって起こしているのかについては、未だに研究の途中で、明らかになっていないことも沢山あります。

ただ、EGT遺伝子というものが、これらの行動に関係しているということはわかっていて、この遺伝子はバキュロウィルスの脱皮ホルモンを不活性化することも出来ると言われています。

 

脱皮できなくなった幼虫は、エサを食べ続け、どんどんどんどん大きく成長していきます。

宿主の体がどんどん大きくなるということはウィルスの増殖がさらに進むということで、ウィルスにとっては好都合。

EGT遺伝子は高い位置に常時いるようにすることと、脱皮を阻止するという2つの意味でマイマイガの幼虫を思い通りに操っているということになるのです。

多くの種類があるバキュロウィルス

バキュロウィルスは多くの異なる種類があり、幼虫期のある生物種のほとんどすべてが何らかの種類のバキュロウィルスに感染すると考えられています。

しかし、マイマイガは増えたり減ったりを繰り返す傾向にある為、ウィルスもこのサイクルに合わせて増減することで、マイマイガの種全体に大きな影響を及ぼす心配はないと考えられています。

 

マイマイガは10年以一度の割合で大量発生するとも言われていて、そうかと思えば全く姿を現さない年もあったり・・・・。

これは人間にとってはありがたいことでもあるわけで、その一役を飼っているのがバキュロウィルスだとすれば、一種の共存!?が成り立っているのかもしれませんね。

バキュロウィルスのまとめ

バキュロウィルスはマイマイガに寄生するウィルス。

バキュロウィルス科のウィルスは脊椎動物には寄生することはない。

 

ETC遺伝子を幼虫の体内に入れることで、幼虫の行動を操り、バキュロウィルスが増殖しやすい環境を作る。

バキュロウィルスはマイマイガの幼虫の体をどろどろに溶かすことによって、増殖する。

バキュロウィルスには多くの異なる主ルギアあり、幼虫期のある生物種のほとんど全てが何らかの種類のバキュロウィルスに感染すると考えられれる。

(ライター ナオ)