日本に生息しているほとんどのクモは無害な種類の物が多いです。

そもそも虫が苦手な方からすると見た目や動く様子は苦手かもしれませんが、どちらかというと一般的には人間に与える影響は利益のほうが大きいです。

 

刺激しすぎない限り人間を噛みませんし害虫となる虫の駆除をしてくれるからです。

特にゴキブリなどを捕食してくれることは大きなメリットと言えます。

 

日本においてはこのような無害なクモが主流ですが世界中にはもっと多くの種が存在しており、人間に危害を与えるクモもいます。

そんな危険なクモの1種である「クロドクシボグモ」に焦点を当てていきます。

クロドクシボグモの生態

クロドクシボグモはいわゆる毒グモです。日本で自然に生息していないため初めて聞く方もいるかと思います。

しかし世界的には最も猛毒なクモとしてギネスにも認定されて有名になりました。

 

さらに危険なことにクロドクシボグモは攻撃的な性格をしているということがあります。

世界に毒を持つクモは多くいますが、その性格によっては危険でないこともあります。

 

しかしこのクロドクシボグモは威嚇をしてきて噛みついてくることから、ラテン語では殺人者を意味する名前を付けられています。

英名ではブラジリアン・ワンダリング・スパイダーと呼ばれていますが、こちらは生態に由来しています。

 

クロドクシボグモは巣を張らないタイプのクモで、夜行性であるため夜になると捕食物を探してジャングルの中をうろうろし始めます。

このように行動する様子から「放浪するクモ」ということで「ワンダリングスパイダー」となっていきました。

 

さらに別の名称として「バナナ・スパイダー」もあります。これは昼間に日光を避けるためバナナの陰に隠れる習性に由来しています。

実際には丸太や岩陰にも潜んでいます。

生息域

ブラジリアン・ワンダリング・スパイダーという英名は、クロドクシボグモがブラジルで発見されたことによるもので、生息している領域はもっと広域となります。

ブラジルを含む中南米の全域、特に熱帯林に存在しています。

また困ったことにバナナに隠れて引っ付いたまま収穫してしまい海外に輸出されてしまうこともあり、本来の生息域と違った場所で発見されることもあります。

毒の成分とその強さ

クロドクシボグモの猛毒は神経毒です。神経毒とはその名の通り摂取すると体の神経系に障害を起こす毒のことで、クロドクシボグモの場合その毒性が非常強いものを持っています。

0.01㎎未満の量でもネズミの致死量に達し、人間においても0,1㎎あれば十分死亡してしまうほどです。

 

しかもこの猛毒を1匹の体内に10㎎近くも保有しているのです。

単純計算でも1匹のクロドクシボグモで人間を100人近く死に至らしめることができるのです。

人間が噛まれたらどうなってしまうのか

クロドクシボグモは非常に大型の蜘蛛で体長が10㎝弱、足を広げると15㎝近くにもなります。

そのため毒腺や牙も大きく噛まれるととんでもない激痛が走ると言われています。

 

仮に毒がなかったとしてもこれだけ大きな牙で噛まれると痛いことは想像ができると思います。

噛まれた時の主な症状として、激痛に加えて手足がマヒしてくることや血圧が急上昇してきます。

 

そのため男性だと毒が回っている数時間の間勃起状態が続くことも確認されています。

この効果に注目して研究がなされた結果クロドクシボグモの毒にはバイアグラに似た効能があるとわかりました。

 

今後研究が進んでこの猛毒を利用することができるようになるかもしれませんが、クロドクシボグモに噛まれることが危険だということに変わりはありません。

処置が遅れると死亡してしまうこともあるのです。

クロドクシボグモは猛毒の非常に危険なクモである!

今では血清も作られているため噛まれた後ですぐに処置を施せば人間が死んでしまうということにはなりませんが、呼吸困難になったり激痛もあるため、もしクロドクシボグモを見かけた場合は近づかないことをお勧めします。

ライター yuki_1