アダンソンの生態
クモは民家においても見かけることは珍しくなく、いくつかの種類には馴染みがあることだと思います。
大きなクモや小さなクモ、巣を作ってじっとしているものからしょっちゅう移動をしているようなものまで習性も様々です。
その中でも小型でピョンピョン跳ねているクモを知っている人は多いでしょう。
実はそのクモ、「アダンソン」と呼ばれています。比較的親しみのあるこのアダンソンについて紹介していきます。
ハエトリグモの一種
アダンソンのようなタイプは一般的にハエトリグモと呼ばれています。ハエトリグモは体のサイズが小さく、徘徊性のクモです。
周囲の小型の虫を捕食するため人間にとっては益虫と考えられていますが、クモそのものが苦手な人にはどっちにしても害虫のように扱われてしまっていることでしょう。
具体的な食性はハエトリグモの種類によって微妙に違いがあるようで、ハエやアリ、ゴキブリ等を食べるものや、クモを捕食するもの、また植物を食べるものまでいるようです。徘徊性というのは捕食のために一か所にとどまらず動き回っている性質のことを意味します。
クモと言えば、糸を出して網のような巣を形成することで飛来してきた虫を捕まえているといったイメージを持つことも多いですが、徘徊性のクモだとこれとは対照的で、積極的に捕食しに出かけています。
日本でも広く生息している
アダンソンは日本においてメジャーなハエトリグモであり国内に広く分布しています。
自然の多い場所に限らず民家で見ることも多いです。そのため日常的に接する機会が多く、都市部においても生息しています。
地球規模で見ても熱帯地域の多くで生息していて、いずれにしても益虫と考えられているようです。
日本も同様ですが、もともとこれだけ広い地域で自然に存在していたわけではなく、近年の環境変化によって生きることのできる場所が広がったこと、また人間の活動によるアダンソンの移動もあり現在ではこれだけメジャーなクモとして認識されるまでに至ったのです。
生態について
ジャンピングスパイダーと英名で名付けられるほどジャンプが得意でよく動き回ります。
また移動を多くするために視力が発達し、他のクモと比べて目に頼った行動も多く見られます。
またアダンソンは多型です。ここでの多型とは、同種であるにも関わらず大きく形態が異なっている生物などを指します。
アダンソンの場合この多型の中でも性的二形というタイプで、性別によって体のサイズや外見の個体差が大きいです。
しかしこのことは虫にとってそれほど珍しいことではありません。
比較的サイズの大きな、哺乳類などはオスのほうが体格が大きく力も強いのが一般的です。
しかし虫ではメスのほうが大きく力関係も上であることがよくあります。
アダンソンもこれと同様で、メスのほうがやや大きく1センチ弱の体長を持っています。
またメスの体色は褐色であることが多いのに対してオスは黒っぽいという見た目の違いもあります。
アダンソンは他の虫を退治してくれる
アダンソンが小型の虫を捕食対象としているので、人間にとってはありがたい存在でもあります。
しかし実際のところはどうでしょう。どこまでの害虫駆除に役立っているのかは実感が難しいです。
ゴキブリを捕食してくれるとも言われていますが、成長したゴキブリを小さなアダンソンが捕食するにはややパワー不足かもしれません。
それに多くの害虫が夜行性である一方でアダンソンは昼間の明るい場所を好むので、絶大な防虫効果とまではいかないでしょう。
とは言っても小さな虫にとっては驚異的な狩りの能力を持っているようで、小さなゴキブリやハエを捕まえる場合には有効的で、非常に俊敏な動きをします。
またダニを食べてくれることもあるようなので、少しでも効果を期待する場合や、クモ自体が苦手でなければそっとしてあげてもいいかもしれません。
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