クズリはX-MENのウルヴァリンのモデル。

X-MENの主人公の一人である、アダマンチウムの鉤爪を武器とするウルヴァリンはハリウッド映画でも主人公として扱われた映画が上映され世界的にメジャーなキャラクターとなっています。

最高の誇るアダマンチウムの鉤爪と骨格、そして脅威の治癒能力で不死身の男の名を欲しいままにしているウルヴァリンですが、実はウリヴァリンのモデルは、体長1mにも満たないイタチ科の小型の動物、クズリ(英名:Wolverine)です。

クズリは見かけによらず獰猛で、複数のコヨーテなどから強引に獲物を奪い取る北米に棲息する最も勇敢で獰猛な小型の肉食獣で、「小さな悪魔」と呼ばれています。

アジアやアフリカに棲息する同じイタチ科のラーテルに勝るとも劣らない強さで、小型の肉食獣の中では最強の部類に入る生物でしょう。

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クズリが小さな悪魔と呼ばれる理由

アライグマのように一見愛嬌のありそうに感じられるクズリは、クズリはリスやウサギなどの小型の哺乳類や鳥、昆虫などを主食としている肉食動物ですが、時には大型の草食動物であるヘラジカや羊なども襲って食べてしまう事があり、その獰猛さから小さな悪魔と呼ばれています。

その小さな体からは考えられないほどの獰猛さを持ち、狼やコヨーテ、そしてピューマやヒグマなどからも獲物を奪い取ることがあります。

それはクズリと他の肉食動物との戦いを見て行きましょう。

クズリvsコヨーテ コヨーテから獲物を横取りするクズリ

コヨーテもクズリも日本の周辺に棲息していない為、今ひとつ馴染みのある動物とは言えませんが、クズリは英語ではウルヴァリン、つまりX-MENのウルヴァリンのモデルにもなっている動物です。

2頭のコヨーテが狩った獲物を横取りしようとクズリが割り込んで来ました。

2対1の戦いですのでコヨーテが有利なように思えます。

 

体格で劣るコヨーテはいつものようにヒット&アウェイを繰り返します。

大抵の相手はこれに嫌気がさして諦めるのですがクズリは動じませんでした。

ついには抗しきれないと思ったのか、コヨーテの方が諦めてしまいました。

イヌ科の動物はスタミナと根気が最大の武器で、多くの大型肉食獣がこのヒット&アウェイ攻撃で撃退されていますが、クズリのそれは彼らを大きく上回るようです。

クズリvsアメリカンブラックベア クマをも追い払う勇敢なクズリ

 

体の大きさでは圧倒的に不利なクズリですが、クマをも恐れぬ攻撃性としつこさで先制攻撃を仕掛け、自分の何倍もある大きさのクマを追い払ってしまいます。

クズリvsオオカミ オオカミから獲物を横取りするクズリ

オオカミが倒した獲物をクズリが奪おうとしています。

体の大きさを考えればどうみてもオオカミの方が有利なのですが、クズリは物凄い闘争本能で徹底的にオオカミを攻め立て噛み付きます。

オオカミはこんなのと戦っても何の得もないと考えたのか、全く抵抗するそぶりも見せずに逃げてしまいました。

クズリvsオオカミ クズリから獲物を横取りしようとするオオカミ

これはおそらく、雪の中に隠したウルヴァリンの獲物を一匹のオオカミが奪おうと戦いを挑んだ動画でしょう。

持ち前の闘争本能と体の柔軟性で自分よりも大きい肉食獣を撃退する姿が頻繁に目撃されてういるクズリですが、お腹を空かせたオオカミは危険な存在です。

クズリはオオカミを撃退する事が出来るのでしょうか?

 

序盤はオオカミがクズリを押して押さえ込んでいるように見えましたが、中盤以降はクズリがオオカミの上あごに噛み付き、しがみついて離れません。

上あごに噛み付かれてしまってはオオカミの牙も役に立たなくなります。

ついにオオカミは獲物を諦めて逃げてしまいました。

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ホントにゆるキャラ!?〜〜実は凶暴で獰猛なクズリの正体!

みなさんは、クズリという動物をご存知ですか?

実物を見たことはなくても、日本では、フジテレビで放映されているアニメ「ぼのぼの」にも登場する、ニコニコした親しみやすいキャラクターに設定されていますので、ご存知の方は多いかもしれません。

でも、実際のクズリはそんなゆるキャラのようなやさしい性質ではなく、とんでもなく凶暴で、獰猛なヤツなのです。

クズリはイタチ科で、寒い地方に生息している!

クズリは、「貂熊」「屈狸」などという字をあてられた、ネコ目(食肉目)イタチ科イタチ亜科クズリ属に分類される哺乳類です。

クズリは、北欧、ロシア、モンゴル、中国北部などユーラシア大陸に分布するユーラシアクズリとカナダ、アメリカ合衆国のアラスカ州、オレゴン州、モンタナ州など北アメリカ大陸に分布するアメリカクズリに分けられています。しかし両種は同一とみられ、亜種として考えられています。

どちらも、寒帯や亜寒帯の寒い地域や山間部などの針葉樹林に生息しています。

通常は単独で生活しており、それぞれが広大なナワバリを持っています。

クズリはイタチ科の最大種!

クズリは体長65~105センチ、体重は7~32キロほどのずんぐりとした、小~中型の哺乳類なのですが、イタチ科の仲間ではオオカワウソ、ラッコと並ぶ最大種のひとつに数えられています。

クズリのメスはオスよりもひと回り小さく、体重も7割程度しかありません。

クズリは恐ろしい顔で威嚇する!

クズリの頭は身体の割りに大きく、ずんぐりむっくりした体型と相まって親しみを感じるキャラクターになりそうなのですが……威嚇時に見せる、大きな口を開けて歯をむき出しにしたその顔つきは「恐ろしい」の一言です。

とても子どもたちが喜ぶような存在にはなりえませんし、むしろ泣きだしたり、悪夢にうなされそうな感じです。

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クズリは全身をふさふさした毛に覆われている!

クズリの全身にはふさふさした長い体毛が密生しています。

ミンクほど上質とは言えませんが、この毛皮を狙って乱獲されたこともあるほど耐寒性に優れた逸品なのです。

体色は黒から濃い褐色を呈していますが、肩から脇腹などの側面にかけて茶褐色のラインが走ります。

同様の毛に覆われた尾はやや長めで、20〜30センチほどになります。

クズリの耳は小さく丸く、鋭い5本のツメを持つ四肢は太く短いので、黒っぽい体色と相俟って、一見すると大型のイタチというよりも小型のヒグマのように見えます。

歩き方もイタチのようにすばしこいイメージよりも、クマのようなどっしりとした動きをします。

クズリは口を開けて威嚇し、歯を見せる!

クズリの歯は全部で上下38本あります。口を開けた時に特に目立つのは、長くしっかりとした上下顎の4本の犬歯です。

その犬歯で咬まれた時のことを想像すると、とてつもない恐怖を感じますので、それを見せるだけでも威嚇の効果は抜群だと言えます。

またその後方に生えている上下8本ある前臼歯(ヒトでいう小臼歯)はとても頑丈で、強力なアゴの力との相乗効果で、獲物を骨ごとバリバリと咬み砕いてしまうほどの威力を発揮します。

クズリの足には滑り止めがついている!

クズリは極北に近い、タイガやツンドラ地帯で生活しています。

したがってヒトと生活域が重なることはほとんどありません。

おもに地面を歩きまわっていますが、5本の指には鋭いツメが揃っているので木登りも得意ですし、川や湖を泳いで渡ることもできます。

また足の裏は身体の割りに大きく、特殊な構造をしています。夏の時期には足の裏はツルツルしているのですが、冬になると毛が生えてきます。

これは耐寒性と滑り止めの効果を発揮してくれるのです。

クズリはヒトに近い「半蹠行性」と呼ばれる特殊な歩き方をします。

動物の歩き方は3種類ある!

動物の歩き方には大きく分けて3種類あります。

脚のうち、関節として曲げることができるのは、指先とかかと、ひざ(ひじ)の3カ所だけです。

したがって、どこの部分を地面に着けるかで歩き方が変わってきます。

「蹠行(せきこう、またはしょこう)」とは、ヒトやクマなどのようにかかとをべったりとつけるどっしりとした歩き方です。

足の裏全体を地面に着けるので、直立時には非常に安定しますので、二足歩行にも適しています。

ただし素早い動きにはあまり向きません。

ですからヒトが全力で走る場合には、つま先だけを地面につけるイヌやネコなどのような「指行性」に近い歩き方(走り方)をしなければなりません。

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速く走るためにはつま先立ちが有利!

つま先立ちで歩く歩き方には、「指行性(趾行性=しこうせい)」と「蹄行性(ていこうせい)」があります。

つま先立ちになり、指だけを地面につけると足の長さを活かすことができるので、より速く走ることが可能なのです。

イヌやネコをはじめ、ダチョウなどの鳥類も「指行性」です。

それに対して大型の哺乳類では、足で自分の体重を支えなくてはなりません。

したがって本来は「蹠行性」の方が適しているのですが、これでは素早く動けず、肉食動物の格好の標的になってしまいます。

早く動き、なおかつ体重を支えるために、指先の部分が角化して硬くなり、強度を持った蹄(ひづめ)に変化していったと考えられています。

蹄は歩くことに特化して発達したので、指先を使って物をつかんだりするような器用な動きや、幹に引っ掛けて木に登ったりするようなことができません。

蹄を持つものには、ウシ、ウマ、ゾウなどがいます。

意外なことにこれらに近い種であるジュゴン(海牛目)にも痕跡程度ですが蹄があります。

クズリは半蹠行性の歩き方をする!

クズリの歩き方は「蹠行性」の特殊なもので、「半蹠行性」と呼ばれています。

これは、静止している時には、かかとまでべったりとつけますが、歩き出すと足の裏の前半分だけを地面に着けるというものです。

つま先立ちではなく、かかとを少し浮かせた状態になります。

クズリの足の裏そのものが大きく広いので、接地面積は十分にありますので、歩行時はとても安定しています。

また、かかとを浮かせることにより四肢で上手くバランスを取ることができるのです。

ですからクズリは、1メートル以上積もった新雪の上でも埋もれてしまうことなく走り回ることができますし、氷上でも滑らずにしっかりとした足取りで走ることが可能なのです。

このことは雪上やぬかるみに残されたクズリの足跡をみればよくわかります。

クズリは巣穴と広いナワバリを持つ!

クズリは基本的には夜行性で、昼間は巣穴でじっとして休んでいることが多いのですが、空腹時などは昼間でも活発に活動することがあります。

また、一日中休むことなくナワバリ内を動きまわることもよくあります。

クズリの巣穴は、岩の裂け目や木の根元の洞、ときには他の動物の使い古した巣穴なども利用します。

ここに、みずから持ち込んだ草や葉を敷きつめて作られています。

通常はこの巣穴を中心にその周囲で活動していますが、オスでは600〜1000平方キロメートルにも及ぶ広大なナワバリを持つので、一日に数十キロ以上もの移動をすることもめずらしくありません。

このオスのナワバリの中に数頭のメスのナワバリが含まれていることがあります。

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クズリは早く走り、スタミナも抜群だった!

クズリは意外に敏捷で、運動能力にも優れています。その走る速度は、最大で時速40キロ以上にも達します。

また非常に持久力(スタミナ)があり、時速10〜15キロ程度のスピードなら一時間以上も休みなく走り続けることが可能なのです。

特に狩りをする場合に、このスタミナがものをいいます。クズリは獲物を見つけると、とにかく執拗に、延々と追い回します。

そして相手が疲れるのを待って動けなくなってから襲いかかるのです。こういう方法を常套手段としているのです。

クズリは非常に貪欲で大食漢!

クズリの食性は雑食性ですが、非常に貪欲であるので、口に入れられるものなら何でも食べると言っても過言ではありません。

また一度に食べる量もハンパなく、非常な大食漢でもあります。

一度に5キロもの肉(体重の1/5~1/3に達するほどの量)を食べることもあるのです。

基本的には肉食指向なのですが、果実や樹の芽などの植物も食べます。

おもな捕食対象として、ノネズミやノウサギなどの小型の哺乳類、鳥類やその卵などが挙げられますが、大型の動物の死がいも食べます。

また冬眠中の哺乳類などを狙い、その巣穴を掘り起こして襲いかかることもあります。

クズリは自分より大きな動物にも向かっていく!

また冬季になって食料が乏しくなると、自分よりもかなり大きな動物を捕食することがよくあります。

シカやヒツジ、ときにはトナカイやヘラジカでさえ、クズリの餌食になってしまうのです。

こういった大型の動物を捕食する場合は、正面から襲いかかる正攻法ではなく、雪の中で立ち往生して身動きできなくなっているものを狙ったり、木の上で待ち伏せをしてその背中から飛びかかる奇襲をすることがほとんどです。

一瞬の油断をついて襲いかかると、延髄やのど元などの急所に咬みつきます。

こういったピンポイントの攻撃で瞬時に効率よく大型の獲物を仕留めてしまうのです。

クズリは食料を貯蔵しておく習性がある!

いくら貪欲なクズリであっても、自分よりも大型の哺乳類は一度には食べきれません。

満腹になると、獲物を解体してそれを貯蔵しておきます。穴を掘って地中や雪中に埋めてしまったり、場合によっては樹上に吊るしておくこともあります。

また食料不足に備えてなのか、空腹でなくとも獲物を見つけると捕らえて殺し、貯蔵しておく習性があります。

こういったクズリの行動は、とても貪欲で凶暴なイメージが抱かせるので、「大食漢(グルトン)」などと呼ばれることもあるのです。

クズリの生殖活動は一夫多妻!

クズリの生殖活動は春から夏にかけておこなわれます。

一夫多妻制……オス一頭に対して複数のメスで構成されていますが、いわゆるハーレムを形成するのではありません。

クズリのオスは非常に大きなナワバリを持ち、その中に複数のメスのナワバリがあります。

オスはそのナワバリ内を移動して、順繰りにメスの元へ行き来しているのです。

クズリは4~7月にかけて交尾をし、メスは翌年に出産します。

ただし他の動物と異なり、そのまま妊娠するのではありません。

受精卵はそのままメスの体内にとどまり、着床が非常に遅れるのです。このため交尾から出産までの時期はそれなりに長いのですが、実質の妊娠期間は1カ月ほどだと言われています。

クズリの出産とあかちゃん!

クズリは冬眠せずに、積雪の中でも活発に活動します。

妊娠したメスは、厳冬期から春にかけて巣穴の中で出産します。一度に生まれる幼獣は2~4頭ほどです。

誕生時の体重は100g以下でとても小さく、白くふさふさした毛に覆われています。

2カ月ほどの授乳期がありますが、クズリのメスの乳首は後ろ足の付け根付近にありますので、母親は二足で立ち上がり授乳させることができます。

これは周囲を警戒したり、獲物を探すという意味合いがあるようです。

授乳期を経て乳歯が生えてくると、クズリの幼獣は、通常の食物を摂取できるようになります。

この時期になると体毛が親と同じ黒っぽい色に変化していきます。

幼獣は生後半年程度から自分で獲物を捕るようになり、一年ほどでほぼ成獣と同じ大きさにまで成長します。

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子煩悩なクズリのオス!?

幼獣の子育ては母親がおこないますが、ナワバリ内を周回している父親も時々子どもの様子を見にきて、じゃれあって一緒に遊ぶ事もあるようです。

クズリのオスは、案外「子煩悩」なようです(笑)

クズリの幼獣は生後1~2年までは母親とともに行動しますが、その後は母親に追い出されるように独立して、独自のナワバリを持つようになります。

性的な成熟を迎えるのは生後2~3年ころからです。

クズリの寿命は割合長く、7~10年程度だと考えられています。飼育下では17年以上生きた記録もあります。

クズリは食料が豊富な環境下では毎年のように繁殖行動を取りますが、劣悪な環境下では繁殖行動を取りません。

ですから貪欲な割りに、それほど繁殖力が強いというわけではないのです。

クズリは害獣なのか!?

クズリは通常ヒトを襲うことはありませんが、逆に狩猟の対象にされてきました。

クズリの分厚い毛皮はミンクほど上等ではなくともよく雪をはじき、帽子などに利用されるので、有用なのです。

クズリの生息域の近くで生活する人にとっては、ヒツジなどの家畜を襲う害獣として、駆除の対象にもされてきました。またノウサギなどの狩猟中に、仕留めた獲物をクズリに奪われてしまうこともあるようです。

クズリは広大なナワバリを必要としており、生息密度が低く繁殖力もそれほど強くないため、近年はその生息数が減少しています。まだ絶滅の心配こそありませんが、一部の地域では保護の対象になっています。

クズリの名前の由来はニヴフ語だった!

「クズリ」というのは和名です。そもそも日本列島には生息しないといわれる動物なのですが、中国北部やシベリアには分布していますので、日本人にも古くからその存在は知られていたようです。

クズリという名の由来は、ニヴフ語(ギリヤーク語)の呼称から来ていると言われています。

ニヴフとは、サハリン北部とアムール川下流の東シベリア沿海州地域の少数民族のことで、かつては「ギリヤーク」とも呼ばれていました。

アメリカでは「ウルヴァリン」と呼ばれ親しまれている!

クズリはアメリカでは、「ウルヴァリン」と呼ばれています。

これは「大食漢」の意味を持つそうです。その他「スカンク・ベア」などのあまりありがたくない呼び名もあります。

またアメリカのミシガン州は「ウルヴァリン・ステート(=クズリ州)」の俗称で呼ばれています。

これは、クズリが人々にとってごく身近におり、愛され、親しみのある存在であることを表しているとも言えます。

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日本の動物園には、クズリが一頭も居ない!

クズリは、現在日本の動物園ではただの一頭も飼育・展示されていません。

ですから国内でクズリの実物を見ることはできません。

かつては上野動物園で飼われていたことがありますが、現在、再飼育・再展示の動きはないようです。

その理由として、さまざまな事項が挙げられますが、まずはクズリという動物そのものに展示する魅力が少ないことが挙げられるようです。

クズリには魅力がない!?

クズリは、ごく近い種であるラーテルのように、大胆不敵で獰猛・凶暴な動物ですから、マニアックな魅力はあるはずなのですが、一般の方にとっては、地味な色合いの大きなイタチか小型のクマ程度の認識でしかないようです。

同じイタチ科でもフェレットやミンク、ラッコなどのような可愛らしさとは程遠い存在でもありますので、今後もあまり人気が出るとも思えません。

クズリの生息数は減っていますが、絶滅危惧種に指定されているわけではないので希少性はそれほどでもありません。

ただし、生息数の多いアメリカからの輸入は制約が厳しく、入手が困難であることも、展示されない理由の一つに挙げられます。

ここはもっと動物園側に働きかけ、積極的にクズリを飼育・展示してもらうようにお願いしてみるしかないようです。

クズリにも天敵がいた!

クズリの天敵としてオオカミやピューマ、グリズリーが挙げられますが、これらにクズリが捕食されるようなことはほとんどありません。

むしろ逆にこれらの大型の肉食動物にとって、クズリは決して油断ならない存在だといった方が良いようです。

獰猛な性質のクズリは、自分のナワバリ内であれば、たとえオオカミの群れやグリズリーと出会ったとしても、それを避けることはなく、むしろ正面から向かっていきます。

ですからクズリに追い払われてしまったり、逆に襲われてその獲物を奪われてしまうこともしばしばあるほどなのです。

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クズリは無頼の輩のような・・

クズリをヒトにたとえるなら、人混みでも決して道を譲らない、誰にでも絡んで因縁をつけるような、関わらない方が賢明な「無頼の輩」……のような人物と言えましょう。

こういった凶暴とも言える向こう気の強さから、アメリカ北部やカナダでは、スポーツチームなどのチーム名やマスコットにも数多く選ばれています。

ヒトを助けるクズリ!

クズリにとって、人間という存在はいかがなものなのでしょうか?

飢えているクズリであっても、ヒトを襲って食べるようなことはまずありません。

それよりも、なだれにより雪の中に生き埋めとなった男性を掘り出して救助したという逸話が残されているほどなので、実はヒトには優しい動物なのかもしれません。

クズリがヒトを救い出す動画があった!

実際にナショナルジオグラフィックのスタッフにより、わざとヒトを生き埋めにしてクズリを放ち、その反応を記録したという映像があります。

それによれば、クズリは雪に埋まっているヒトに近づいていき、雪を掘り返してその手袋を手加減しながら咬んで引っ張り出しています。

このとき、もしヒトを獲物として捉えているのなら、急所を狙ってその牙で咬みつくか、鋭い爪で男性に致命傷を負わせていたはずです。

手袋に咬みついていますが、それは男性を雪の中から引っ張り出すための行為だと思われます。

獲物の骨を咬み砕くほどアゴの力が強いクズリですから、捕食目的で咬みつかれたのなら、男性の手は食いちぎられていたはずです。

男性を雪の中から掘り出すと、それで安心したのか意外とあっさり立ち去っているので、ちょっと拍子抜けという感じでもあります。

 

意外なようですが、凶暴で獰猛なクズリは人を襲うことはなく、むしろ人に懐く傾向があるのです。

クズリは悪臭を放つ!

クズリはイタチ科の動物ですので、スカンクを始めとした他の種と同様に肛門の左右に一対の肛門腺をもちます。

排泄時などには、自分のナワバリを主張するためにニオイつけ(マーキング)をします。

これとは別に、身の危険を感じると、ここからから強烈な臭気を持つ黄色い液体を噴出します。スカンクほどではありませんが、そのニオイは強烈なものだそうです。

逆にクズリは嗅覚に優れています。獲物を探すのは、この嗅覚に頼っていることが多く、3キロ先の獲物のニオイを嗅ぎつけることができるほどだといわれています。

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クズリの追跡調査!

アメリカやカナダなどでは、クズリに無線機を付けてその行動を追跡調査しています。

冬期に雪の上などにクズリの足跡を見つけると、その付近にワナを仕掛けておきます。ワナは箱状のもので、中にエサを入れておき、クズリが入ると扉が閉まる単純な仕掛けだそうです。

分厚い板を使ってかなり頑丈に作ってあるのですが、鋭いツメと牙を使い、数時間もすれば、食い破るようにワナを破壊して逃げ出してしまうそうです。

箱の中で暴れるクズリに麻酔薬を注射することも至難の技で、そうしてようやくおとなしくなったところで、発信機(近年ではGPS)を取り付けた首輪を巻くそうです。

クズリの生態と行動!

こういった調査により、クズリの生態が少しずつわかってきました。

クズリのナワバリは実に広大であり、しかも成長に伴い、その領域はどんどん拡大していきます。

ときにその広さは数百平方キロ以上におよぶこともあるそうです。

そしてそのナワバリの中を、昼夜を問わず自在に移動し続け、ときに険しい岩山であってもものともせず、川を渡り、池や湖を泳ぎと、その行動半径の広さとスタミナ、スピードには驚かされるほどだそうです。

意外と単純なクズリの性格!?

クズリに発信機を取り付ければ、今度はそのデータ収集のため、それを回収しなければなりません。

かしこい動物なら、そう簡単に何度も単純なワナに引っかかることはないのでしょうが、貪欲で食欲旺盛なクズリですから、よくかかるらしいです(笑)

またクズリは優れた嗅覚を持ちますので、エサのニオイをすぐに嗅ぎつけてしまうため、ときにはコヨーテやボブキャットなど、他の動物を捕獲するためのワナにもかかってしまうことがあるそうです。

ホントに貪欲なヤツですね。

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クズリの将来はどうなる?

このような調査によって、クズリが生活していくためには、とても広大なナワバリが必要であることがわかりました。

ヒトの進出や開発によって、その生息範囲も狭められたり、道路などが作られることでそのナワバリが分断されてしまったりしています。

ですからクズリの生息数の減少は致し方ないことだとも言えます。

カナダなどでは、絶滅危惧種への指定がされるのも時間の問題のようで、すでに保護の対象になっている地域もあります。

今後も、クズリばかりでなく野生動物たちとヒトとの共存共栄をしっかりと考えていかなければならないことは、言うまでもありません。

クズリのなかまたち

クズリが属する食肉目イタチ科には、55種の動物たちが分類されています。イタチ科はさらにイタチ亜科とカワウソ亜科に大きく分けられています。

イタチ亜科にはクズリ属、テン属、イタチ属(イタチの他に、フェレットやオコジョ、ミンクなど)、ラーテル属、アナグマ属などが分類されています。

ただしラーテル属やアナグマ属はそれぞれラーテル亜科、アナグマ亜科に分類することもあるので、少し複雑です。

カワウソ亜科にはカワウソやラッコが属しています。

ヒトと関わりのあるイタチ科のなかまたち

イタチ科の種は、その毛皮が有用で、古くからヒトに利用されてきました。

現在ミンクはもっとも良質な毛皮が取れることから人工的に養殖されています。

また、ヨーロッパケナガイタチは「フェレット」の呼び名で家畜化され、ペットとして欧米はじめ多くの地域で飼われ、大変人気があります。

日本国内でも、イタチの仲間はネズミを捕食することから益獣として丁重に扱われることもありました。

ところが、飼われていたものが逃げ出すなどしてヒトの手から離れて野生化したものが繁殖し、生態系に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。

もちろん元々野生のイタチも生息していますが、外来種の繁殖力には及ばないようです。

(ライター オニヤンマ)

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