被害件数300件を超えると言われる巨大なナイルワニの存在をご存じだろうか?
今回はそんな人食い伝説のあるナイルワニ、ギュスターヴについてです。
ナイルワニの生態
ナイルワニはワニ目クロコダイル科クロコダイル属に分類されるワニ。
サハラ砂漠南端部を除いたアフリカ大陸と、マダガスカル西部の河川や湖、河口や入り江、マングローブ林の汽水域に生息しています。
頸部のウロコは四角形で暗黄褐色、幼体は黒褐色で横縞が入ります。
繁殖期は水辺に穴を掘って1度に10~20個の卵を産みます。抱卵期間は84~90日。
幼体の時は昆虫やクモ、甲殻類などを捕食し、成体になると爬虫類や哺乳類などを捕食します。
天敵は卵を食べるナイルオオトカゲや成体を襲うライオン。
攻撃的で気性の荒いと言われるナイルワニですが、地域によって差があるようです。
近年、生息地の破壊や皮革用の乱獲、漁業の発展などから、個体数は激減しているのだそう。
エジプトでは既に一度絶滅してしまいましたが、現在は、南部に新たに導入した個体が生息しているようです。
ナイルワニと人間の関係
古代エジプト時代には信仰の対象にもなっていたナイルワニ。
様々な装飾品をつけて、ペットとして楽しんだり、死んだあとはミイラにして側に置いたりしていたようです。
現在は皮革製品として高級品が出回っています。
ナイルワニの鱗板は他のワニと違って模様が綺麗で特に高値で取引されるようです。
ネットの通販では1400~2500円/㎝でナイルワニの皮が販売されていました。
人食いワニと騒がれたギュスターヴ
そんなナイルワニの中に人食いワニと騒がれた、超巨大なワニ、ギュスターヴがいます。
2008年以降目撃したという報告がなく、今では生存も確かではないのですが、プルンジのタンガニーカ湖やルジジ川に生息していました。
体長は推定で600m以上、オスで年齢は100歳を超えていたと考えられています。
ナイルワニは大きいものでも500mといわれていた時代に、はるかにそれを上回る大きさだったようです。
今現在は2015年に700mのワニが報告されていますが、数年前までは最も大きいといわれていたのがギュスターヴでした。
300人以上が被害にあっていて、中には死亡した例もあるのだとか。(300という数には実際は、他のワニの被害も含まれているのではないかと言われている)
家畜のウシや馬を川まで引きずり込んで捕食、メスのカバを軽々と口に咥えて歩く姿も撮影されています。
顎の力は1~2tほどあるので、カバやサイなどでも容易に捕食できてしまうのです。
銃でのギュスターヴの駆除は何度もトライされたようですが、皮はが弾丸が効かないほど硬く、急所を外れる為、結局は致命傷にはならなかったのだとか。
ギュスターヴが人食いになったわけ
もともと人間がナイルワニのエサの対象になっていたわけではもちろんありません。
ギュスターヴが人食いワニと言われるようになったのには理由があるようです。
アフリカ現地のツチ族とフツ族が内戦をしていた時代、内戦で死んだ人間を川に次々に流しました。
その時に流した死体を食べたナイルワニが味をしめて、それ以降人間を襲うようになってしまったのだとか。
そう、味をしめたワニの中にギュスターヴもいたということなのです。
ナイルワニ、ギュスターヴについてのまとめ
ナイルワニはアフリカ大陸のサハラ砂漠の南端部を除く地域とマダガスカルに生息している。
体長は400~450mほどだが、大きいものでは700mを超える巨大なワニもいる。
古代エジプトでは信仰の対象とされ、装飾品をペットとして飼われたり、死んだ後はミイラにしていた。
乱獲や環境破壊により数は激減している。
人食いワニと言われていたギュスターヴは、300件以上の被害をだした巨大で凶暴なワニとして有名。
2008年以来ギュスターヴの目撃情報はなく、現在の生存は確かではない。
(ライター ナオ)