ヨコヅナサシガメは名前だけ聞くとどんなにでっぷりとしたサシガメかと思ってしまいますが、そういうわけではないのです。

今回はちょっと気になるヨコヅナサシガメの特徴と見分け方について詳しくお話ししていきます。

ヨコヅナサシガメの特徴と生態

ヨコヅナサシガメはカメムシ目サシガメ科ヨコヅナサシガメ属に分類され、中国から東南アジアにかけて分布し、日本には球種に移入し、現在は関東地方まで分布を拡げているカメムシです。

 

幼虫も成虫もサクラ、エノキ、ケヤキ、クワ、ヤナギ、クスなどの大木の樹上で生活します。

成虫の体長は16~24㎜で日本産サシガメ科最大級。

体色は光沢のある黒色で頭部が細長。腹部の縁には白色で各説に大きい黒班を持つ腹部結合板が葉状に拡がり、翅の外側に張り出して反り返り、側縁は僅かに波打っています。

 

腹部結合板の配色は幼虫期では白黒が単純に交互に並びますが、成虫では黒斑が近縁まで達しないのでピアノの鍵盤状になり前翅がはみ出していているので、それが相撲の化粧回しに見えることから名前がついたとされています。

 

体の黒色部は羽化直後の外呼格が硬化する前の段階では鮮やかな赤色をしています。

活動期は春から夏にかけてで、成虫はサクラやエノキなどの高所の梢や葉の上で単独生活をします。

 

産卵は6月頃に150㎝くらいの高さに降りてきて行われ、8月頃孵化します。

幼虫のまま数十から数百匹程度の集団で木の幹の窪みで越冬し、翌春羽化して成虫になります。

 

エサは樹上にいる毛虫やイモムシの類が主ですが、ダンゴムシなどその他の昆虫も捕食します。

特に同じ原産地の外来種、ヒロヘリアオイラガの幼虫についてはヨコヅナサシガメが主要な天敵になっています。

細長い口吻を突き刺して消化酵素を送り込み体外症で溶解下体内組織と体液の混合物を吸汁します。

ヨコヅナサシガメの幼虫

ヨコヅナサシガメの産卵は樹幹の窪みに行われることが多く、これはどんなに密度が高くなっていたとしても行われます。

ただし、周辺に産み付ける卵と大幅に孵化日数がずれて先行するような卵がる場合はその場所を避けるとされています。

 

幼虫は3齢虫まで集合して生活を送ります。越冬は特に大規模で高密度の集団を形成します。

その理由としては大きな獲物を集団で仕留めることができ、食料の会得機会をより多く、確実に出来るからと考えられています。

密度が高くなることによる共食いは基本的には行われませんが、孵化中の初齢幼虫にのみ共食いが見られます。

オオトビサシガメとヨコヅナサシガメの見分け方

オオトビサシガメは体長が20~27㎜でオオトビサシガメは日本最大のカメムシです。

体は細長く、茶褐色で脚や触角の第1節がとても長いという特徴があります。

 

分布は本州、四国、九州で生息は低地から山地の日当たりの良い樹上屋草や低い木の上。地上に降りることはありません。

ヨコヅナサシガメとは大型種であるという点が共通ですが外見の体色は全く違うので見分けるのは簡単です。

セアカゴケグモとヨコヅナサシガメの見分け方

配色が良く似ているということからセアカゴケグモともよく似ていると言われています。

ヨコヅナサシガメは成虫になると翅が生えるので背中の赤い模様が見えにくくなり、間違えにくくなりますが、幼虫の頃はとても良く似ています。

 

違う種類の生物ですから違いはよく見ると一目瞭然。

昆虫であるヨコヅナサシガメの脚は6本ですが、セアカゴケグモは8本あります。また、体型もセアカゴケグモの方が丸い体形をしていて、ヨコヅナサシガメは細長くなっています。

ヨコヅナサイガメのまとめ

ヨコヅナサシガメは中国から東南アジアにかけて分布し、日本には球種に移入し、現在は関東地方まで分布を拡げているカメムシ。

体長は16~24㎜で日本産サシガメ科最大級。体色は光沢のある黒色で頭部が細長。

幼虫は3齢虫まで集合して生活を送る。

(ライター ナオ)