コモドドラゴンは現存するトカゲの中で最大種です。
強烈な肉食や長寿で知られていますが、その生態や体の内部のメカニズムについては不明な点も多いのです。
特に血液は体内を流れるものであり、体の外に出ないと分からないものでもありますしね。
そんなコモドドラゴンの血液中には細菌に対し期待大な物質があるらしいですね。
細菌とは何か
細菌は単細胞生物です。人間の体内にも多くの細菌があります。
腸内細菌などがそうですね。生物の体内には必要な細菌も多く含まれています。
細菌には病気を引き起こすものとそうではないものがあります。
病気の元になる細菌類は病原菌といわれます。
数からいうと細菌には病原菌にならないものの方が圧倒的に多いようです。
抗菌は菌を繁殖させないという意味です。細菌は生物なので条件が揃うと増えていきます。
コモドドラゴンについて
コモドドラゴンはインドネシアなどに生息する大型爬虫類です。
口腔内に多くの細菌を持ち、歯の隙間から毒素を注入する事で一瞬のうちに獲物を仕留める驚異的なハンターです成獣で3m、体重は100kgまで大型化する事もあるという巨体です。
頭部の鱗は黒っぽい事が多く、砂のような色に黒い模様が点在しています。
獲物に噛みつくと引っ張ったりしながら毒を浸透させます。
普段は腹ごなしの為に砂地で休んでいます。
コモドドラゴンが口の中に持つ細菌は食べカスなどが腐敗して増殖した細菌類だと言われています。
コモドドラゴンは歯磨きもうがいも好まないので、口の中が敗血症などを引き起こすような細菌だらけなのだそうです。
コモドドラゴンの血液に含まれる物質とは
コモドドラゴンの血液に秘密があるのではないかと考えられたのには訳があり、口腔内の細菌の増殖をそのまま放って置いても何故平気なのか、または大怪我を綺麗にせずに放って置いても生存している事などから、怪我をした事によって傷口から侵入するであろう細菌類を抑制あるいは繁殖させないような物質を体内に持ちそのメカニズムによって生存しているのではないかという仮説から、コモドドラゴンの血液を調べる事になったようです。
人間が襲われると大変ですから、オスのコモドドラゴンの注意をそらしながら背後の尻尾から血液を採取したそうです。
今のところコモドドラゴンの血液中には40種以上の抗生剤物質になりそうな物質が含まれているとされています。
抗生物質とは細菌などの生物から作られる物質のことです。
コモドドラゴンの血液中から採取された物質は強い抗菌性を持つ抗菌ペプチドだそうで、それを人工的に作成した物質が「DRGN-1」と呼ばれる物質です。
今のところマウスを使った実験段階のようですが、効果は緑膿菌やブドウ球菌などに対する抗菌効果、傷口の驚異的な治癒などとされています。
抗菌ペプチドというのはアミノ酸が結合してできている物質で、様々な種類があり人間の体内にもありカエルの体内にもあります。
コモドドラゴンの体のメカニズム
コモドドラゴンの持つ抗菌ペプチドは強力なもののようです。
そのため、自分の持つ細菌に倒れる事もなく、怪我を放って置いても平気でいるようです。
細菌類は自分を守る為の膜を持っています。コモドドラゴンの血液中から採取し作られた物質は傷口のあるところに集まり、その膜を破壊してしまいます。
そうなると細胞は増殖できず、傷口の治癒が早いという仕組みです。
抗菌ペプチドは従来の抗生物質よりも効き目が強いと考えられているようです。
傷や菌に対する抵抗は免疫ともかかわりがあります。
例えば風邪を引いた時は免疫が落ちているのかな、などと思いしきりに色の濃い野菜を食べてみる事もあるでしょう。
免疫システムは体を守る砦のようなものでもあるのかも知れません。
コモドドラゴンはどんな状況下でも生存できるように血液中に抗菌作用のある物質を必要とし、特殊能力のような体のメカニズムを持っているのではないかと考えらえます。
コモドドラゴンの強さの秘密
コモドドラゴンの血中に含まれるものが人間にとってどのような作用を持つのかはまだこれからの話です。
コモドドラゴンは細菌にまみれながらも血液中に強力な抗菌作用を持つという特殊な動物です。
コモドオオトカゲは現代では生息地こそ限られていますが、百万年前から生息していたと言われ、長寿です。
その間には多くの生物が絶滅した事でしょう。
生存し続けてこられた秘密は、毒を注入する事よりも自らの体を守るように働く血液中の抗菌ペプチドの存在なのかも知れません。
(ライター:おもち)