白と黒の綺麗な模様をしたチョウ、オオゴマダラ。

このチョウ、綺麗なのは成体だけではなかったんです!

オオゴマダラの生態

オオゴマダラは東南アジア、日本では喜界島や与論島以南の南西諸島に生息しているチョウです。

平地から山間地まで広い範囲で飛んでいます。

体長は7㎝前後、開長時は13㎝にもなり、日本のチョウの中でも最大級の大きさです。

成体は白地に黒の放射状の筋と斑点が入り、まるで新聞紙が風に舞っているかのようで、新聞蝶と呼ばれたりもします。

オスは腹部の先端にヘアペンシルというブラシ状の器官を持っていて、フェロモンを分泌し、メスを誘います。

繁殖期間は一年中で、年間を通してオオゴマダラの成虫を見ることが出来ます。

 

白っぽい卵をホウライカガミなどの植物に産み付けます。

幼虫は最初は白と茶色の縞模様をしていますが、徐々にその色は濃くなり、白黒の縞模様になります。

終盤は体側面に赤い斑点が一列に並び、赤と白と黒の何とも派手な幼虫になっていきます。

 

頭部と尾部に黒く細長い角が生えていて、終齢幼虫の大きさは7㎝ほどです。

幼虫は蛹になるために糸座をつくり、それができると尻部の鉤爪でぶら下がり、一晩のうちにすっかり蛹になります。

蛹は全長が4~5㎝ほどで、最初は茶色っぽい色をしていますが、徐々に透き通るような金色になっていきます。

 

尾部の一点でぶら下がり、羽化までの期間は夏で1週間、冬は1か月ほどです。

幼虫のエサはキョウチクトウ科の植物、ホウライカガミやホウライイチマの葉なのですが、この植物の中にはアルカロイドという毒性の成分が含まれており、オオゴマダラはこの毒を体内に入れることによって、捕食者からの捕食をのがれているのです。

 

この毒は蛹や成虫になっても体内に残るので、オオゴマダラの鮮やかな色は一種の警戒色というわけです。

成虫になってからの寿命は半年ほどで、チョウの中では比較的長く、飼育下でも長く楽しむことが出来ます。

オオゴマダラと人間のかかわり

オオゴマダラは飼育するのが比較的簡単なチョウですが、実際に生息している地域以外で個人的に飼うとなると、いずれはそれをどの段階かで生息地以外の場所に放すことになるので、オススメできません。

生息地での飼育は大き目のゲージやネットなどを購入し、その中にホウライカガミやホウライイチマの枝を置き、ある程度の湿度を保つことで比較的簡単にできます。

身近でオオゴマダラの様子を楽しむことが出来、金色に輝く蛹の様子も観察できますよ。

 

関東地域の公園のイベントでは、クリスマスツリーにオオゴマダラの金色の蛹をぶら下げる展示が行われるところもあるようです。

まるで本物のオブジェのように光り輝く蛹はなかなかの見もので綺麗です。

一年中繁殖期間があるオオゴマダラだからできることなのでしょうか。

オオゴマダラを見に行こう

オオゴマダラは昆虫館などで見ることが出来ます。

オオゴマダラの展示を行っているのは、伊丹昆虫館、樫原市昆虫館、石川県ふれあい昆虫館、ぐんま昆虫の森など。

綺麗なオオゴマダラの様子をぜひ、見に行ってみてください!

オオゴマダラのまとめ

オオゴマダラは喜界島や与論島以南の南西諸島の平地から山地にかけて生息している。

幼虫は白と黒と赤、蛹は金色、成虫は白地に黒の放射状の筋と斑点が入っている。

 

アルカロイドの含まれるキョウチクトウ科の植物を食べ、体内に毒を蓄え、捕食者から逃れている。

比較的簡単に飼育できるが、生息地以外での個人的な飼育はオススメしない。

 

金色に輝く蛹はクリスマスツリーのオブジェとして展示しているところもある。

生息地以外では市町村の昆虫館などで見ることができる。

(ライター ナオ)