ハナアブはハエの仲間です。ということは、刺さないのでしょうか。
見た目は蜂みたいですね。
ハナアブが花壇の周りを飛んでいたら、蜂だと思ってしまいそうです。
ハナアブとは、どんな昆虫なのか
ハナアブの成虫が見られるのは、春から秋にかけてです。
体長は14㎜から25㎜と幅広く、種によって生態や形はさまざま。
生息地はほぼ世界中で、6,000種を超えるともいわれています。
日本でもごく普通に見ることができるハナアブです。
双翅目(ハエ目)短角亜目(ハエ亜科)ハエ下目、ハナアブ上科、ハナアブ科のハナアブは主に花の蜜を舐めたり、虫媒花としての役割を持つ種もいます。
ハナアブは人を刺さすこともなく、人間に危害を及ぼすものではありません。
触角がある頭のあたりをよく見てみると、成程、ハエによく似ています。
ハナアブは英語でflower fliesですが、人を刺すアブはhorse fliesと呼ばれています。
なぜhorseがついているのかというと、一般的にアブは家畜などの動物を狙う事が多いからです。
稀に人を噛み吸血することもありますが、それは周囲に動物がいないから、という例もあるようです。
ハエの仲間のアブの中では、ハナアブは珍しいタイプのようです。
蜂とハナアブ、すぐわかる見分け方
一番わかりやすい蜂とハナアブの見分け方は、翅の枚数です。
ハナアブはハエの一種なので2枚、蜂は4枚です。ハナアブの後ろの翅は、退化したり違う器官に変化している種もいます。
蜂は膜翅目(ハチ目)の仲間ですが、ハチ目グループには蜂と蟻が入ります。
そして双翅目にはハエとアブが入る、という事です。
双翅目(そうしもく)は短角亜目(ハエなど)と長角亜目(蚊など)に大きく分かれています。
完全変態の昆虫なので蛹の時期がありますが、長角目は蛹が縦に割れ、短角目は蛹が横に割れる特徴があります。
ハナアブは、短角亜目で蛹は横に割れるので、ハエの仲間だという事です。
ハエとアブの分け方は明確ではない部分があり、複雑なようです。
ハナアブが蜂の体に似ているのは、擬態の一例だと考えられています。毒を持ち刺す蜂に姿を似せて、自らを守る為のハナアブの知恵です。
ハナアブの独特な一生
ハナアブのメスが卵を産み付けるのは、なぜか汚れが溜まっている澱んだ水の中です。
下水溝の中などに卵を産むこともあるそうで、流れのない溜まりを好みます。
卵から約18日で孵化し、幼虫になります。
ハナアブの幼虫はその独特のフォルムから「オナガウジ」といわれています。
オナガウジという名の通り、尻尾が長いウジ虫です。幼生の間、汚水の溜まりの中で腐敗物や汚物を食べて成長します。
長い尻尾は呼吸するための管です。
10日程で蛹になり、成虫で越冬します。
そして、春から秋にかけて今度は花の蜜や花粉などを食べる、蜂によく似た花虻として花の周りを飛び交うようになります。
アブの仲間は、幼生と成虫では全く異なる食性をもつものが多く、その中でもハナアブは極端な部類かも知れませんね。
誤解されがちなハナアブ
ハエの仲間というと不潔な水たまりや生ゴミにヴーンとたかる汚いものという印象が強い上、幼虫時代は腐敗物を食べており澱んだ汚水から出てくることから、嫌な虫だと誤解されがちなようです。ようやく大人になると見た目が蜂に似ている種が多く、今度は刺すのではないかと思われてしまう。
気苦労が多い人生です。
少し変わったハナアブではありますが、基本的に害を及ぼすものではありません。
ハナアブの害虫としての危険度
植物を育てている方やペットを飼っている方なら、害虫の存在は無視できないでしょう。
ハナアブは害虫かというと、そうではありません。
例えばハナアブ科のヒラタアブ亜科は、アブラムシの天敵だそうですよ。
アブラムシは一度大量発生してしまうと、手が付けられなくなってしまう場合もある悩ましい虫の一つです。
ヒラタアブ亜科のハナアブは、幼虫の時にアブラムシを主に食べます。このことから、古くはショクガバエ(アブラムシを食べる虫)と言われていたそうです。
アブやら蜂やら、虫刺されの脅威
虫に刺されやすい人、多いですよね。ハナアブは人は刺さないとはいえ、飛んでいる虫の姿を見ると反射的に嫌だなぁ、と思ってしまう人も多いかも。
が、ハナアブのようにわりと呑気に花の蜜などを吸っているものも中にはいます。その名の通り、花とは切っても切れない関係のようです。
実は私は殆ど虫に刺されません。
理由は不明ですが、かれこれ20年くらいは刺されていないと思います。
周りの人が痒がっていたり刺された後を気にしているのに、自分だけしれっとしているというのも、妙な感じです。
(ライター:おもち)