自然界で赤い虫というのはなかなか目立つ存在です。

ムネアカオオアリはそんな赤色を持つ昆虫の一種。あなたもどこかで見かけたことがあるのではないでしょうか。

今回はそんなムネアカオオアリについて詳しくお話していきます。

ムネアカオオアリの特徴と生態

ムネアカオオアリはハチ目アリ科オオアリ属に分類され、日本ではクロオオアリと並んで日本最大のアリです。

北海道から九州まで分布し、公園などでは見かけませんが朽木が多くみられる山ではよく見られる種類です。

 

体長は女王アリが16~17㎜、働きアリが8~12㎜です。

名前の由来にもなっていますが、胸部が赤く、頭部と腹部のほとんどは黒色をしています。

 

しかし個体差が多少あり、胸だけが赤い個体や腹部の前方藻赤い個体などいます。

働きアリを横から見ると胸部の上は弧を描くような形をしていて胸部には微小の立毛が見られます。

 

土中に巣をつくることをせず、朽ち木や枯れ木に営巣しますが稀に土壌に営巣する場合もあります。

単独で狩りを行い、成熟したコロニーは数百~千個体程の大きさになります。

クロオオアリと同じくアブラムシの甘露を食べ、代わりにアブラムシを天敵のテントウムシから保護するという共生関係が存在しています。

結婚飛行と新しい女王アリ

オスアリと新女王アリは秋に羽化しますが、その年には結婚飛行せず翌年の5~6月の午後5時くらいに行います。

条件としては雨上がりすぐのタイミングで、新女王アリは他の巣のオスと交尾をし、地上に降りてきて翅を落とし新しい巣をつくります。

 

巣の中では不必要になった翅を動かす筋肉を分解してタンパク質の栄養分を作り、その栄養分をふかした幼虫に与えて子育てをします。

新女王を産むまでには6~7年程かかると言われています。

女王アリの寿命は10~20年で、女王が寿命で死亡すると巣は働きアリだけになり、徐々に崩壊していきます。

ムネアカオオアリの天敵

宗男亜科オオアリの天敵は寄生種のトゲアリで、彼らは巣に侵入して巣を乗っ取ります。

ムネアカオオアリはトゲアリに対して耐性を持たず、簡単に女王の部屋まで侵入され巣が崩壊してしまいます。

働きアリ自身も簡単にトゲアリに殺されてしまいます。

 

トゲアリ働きアリの体長は7~12㎜、女王アリは12㎜で働きアリの胸部は鮮やかな赤褐色をしていて、丸っこい体をしていて、ムネアカオオアリだけでなくクロオオアリやミカドオアリなどの巣にも一時的に規制を行うことが知られています。

ムネアカオオアリの飼育

ムネアカオオアリはクロオオアリと並んで飼育しやすく、体長も大きく、卵や幼虫の姿も大きいので観察しやすいアリです。

また繁殖もゆっくりなので、飼育を楽しむ時に増えすぎて困るというレベルまでいかないのも都合が良いところです。

 

また大型のアリなので万が一脱走した時にも捕まえやすく、脱走自体もしづらいという利点もあります。

一般的には石膏で土台をつくる石膏飼育ケースが扱いやすく、ジェル状の飼育セットなども販売されていますが女王アリを観察するにはちょっと不向きです。

 

アリ用の飼育ケースを使って飼育すると初心者でもたっぷりとアリたちの世界を楽しむことができます。

ちなみにムネアカオオアリのコロニーをネットやオークションなどで購入しようとすると3000~5000円程になります。

 

いかがでしたでしょうか。知っているようで実はあまり知らなかったムネアカオオアリの世界。

大きさゆえかどこかのんびりしているようにも見えていたムネアカオオアリですが、彼らにも人知れぬ!?苦労があったようです。

どこかで見かけたら、彼らの姿をゆっくりと観察してみるのも楽しいかもしれません。

(ライター ナオ)