ハリネズミの一種、ヨツユビハリネズミは北半球の乾燥したところに棲息している動物です。
モグラの仲間で冬眠はしません。日本でペットとして一番見かけるハリネズミです。
様々な種類のハリネズミがいるようですが、今回は指が4つあるヨツユビハリネズミについての話です。
ヨツハリネズミの習性について
動物の中には様々な癖を持つものもいます。
習性と表現するべきなのでしょうか。ヨツユビハリネズミも毛づくろいのような事をします。
毛と言っても針のようになった体毛を舌で舐めるのです。
特に、今まで嗅いだことがない匂いのものを見つけた時に、口の中で唾液を分泌させ、その未知の物体をちょっと舐めてから自分の唾液と混ぜ合わせて、体をねじるようにして体の側面などに舌で塗りつけます。
時には背中にまで舌を伸ばすようです。
ヨツユビハリネズミの未知との遭遇はこのような動作によって行われます。
アンティング、又は香油塗り、ヨツユビハリネズミの唾液は泡立っている為に泡塗りなどとも言われます。
ヨツユビハリネズミは赤子の頃からアンティングをするようなので、恐らく本能的な行動なのだと考えられています。
しかし動物の行う本能的な行動の意味は何をどうしているのか、人間にははっきりわからない事が多いように、この舐めの意味や確たる目的も判然としないようです。
一説には周囲にあるものの匂いを体につける事で身を守る為とされます。
ヨツユビハリネズミは夜行性で、鼻先を地面にくっつけながら餌を探して歩き回る動物ですから、実にもっともな理由です。
恐らくそうでしょう。ヨツユビハリネズミが実際は何をしているのか分かりませんが、可愛い動作でもあります。
アンティング中のヨツユビハリネズミはいつもの姿と違い、無理な態勢をとるためか、目つきが奇妙で口から泡を垂らしながらピンクの舌を伸ばして恍惚の表情を浮かべているように見えます。意外な姿です。
ヨツユビハリネズミの姿かたちやオスとメスの違いなど
ヨツユビハリネズミはオスもメスの似たような外見です。
大きさは14cm~22cmほど、体重は400g~600gくらいです。
顔は白っぽく、腹側も白く、針はベージュのような色です。
この針は体毛が硬くなったもので、ケラチンというたんぱく質で成り立っています。
針の生え変わりもあります。ヨツユビハリネズミは単独行動を好む性質です。
ヨツユビハリネズミのオスの生殖器はお腹のあたりにあります。
性成熟はだいたい生まれてから6ヶ月後です。
ヨツユビハリネズミには発情期のようなものがあり、3月~11月頃までとされます。
妊娠期間は30日~50日ほどと開きがあります。
ヨツユビハリネズミの野生での暮らしについては、分からない事が多いようです。
ヨツユビハリネズミの名前の由来や身体的特徴
ミツユビハリネズミというのはどうも存在しないようで、ハリネズミにとって指は偶数であった方が何かと便利なのでしょうか。
動物の名前に「ヨツユビ」や「イツユビ」と付いている事もありますね。
野生に生きるヨツユビハリネズミの場合は、足の裏が磨り減ってしまう事もあるようですが、ぺたりぺたりと脚の裏をくっつけて移動します。
土踏まずはないとされています。ヨツユビハリネズミの後脚には指が4本あります。
前脚には5本あるようです。他のハリネズミの四肢には指がそれぞれ5本あります。
心拍数は多く、1分あたり180~280回ほどだそうです。
ハリネズミはすぐに丸くなります。ヨツユビハリネズミもストレスのようなものを感じると、背中の筋肉をきゅっと丸めてゴム毬のように丸まります。
ヨツユビハリネズミの筋肉は、体の中心部分よりも周辺が発達しているようで、巾着のような弾力を感じる動作で即座に丸まる事が可能なのです。
また、ちょっと意外かも知れない特徴に、ヨツユビハリネズミには尻尾があります。
尻尾はごく小さく、肛門のすぐ近くにあります。腹側から見るとよくわかります。
ヨツユビハリネズミの感覚について
ヨツユビハリネズミの視力は良くありません。
聴覚は発達しています。
発達しているであろう嗅覚は特に優れています。
鼻のみならず、口の中にある器官でも匂いを感じ取れると言われます。
虫なども食べるので歯は一生ものの永久歯が36本生えています。
もちろんヒゲも大切な感覚器官です。
ヨツユビハリネズミはこのように感覚が発達していますので、音や匂いには敏感です。
知らない匂いに出会うと突然人が変わったように周囲に注意しなくなったり、奇妙な音がする空間にさらされる事は苦手なようです。
繊細なヨツユビハリネズミ
ヨツユビハリネズミは嗅覚や聴覚に優れた神経が細やかな動物です。後ろ脚に4つの指があります。
モグラの仲間のハリネズミたちは、古くから棲息していたとされる哺乳類のひとつです。
静かな場所を好む性質のようである事から、人間にあまり気にされる事もなく長い間生存し続けているのかも知れません。
(ライター:おもち)