皆さんはジャッカルについてどんな印象をお持ちでしょうか?
名前は聞いたことがあっても何となくイメージが湧かない方も多いのでは?
今回はそんなジャッカルについて詳しくお話します。
ジャッカルの特徴
ジャッカルはネコ目イヌ科イヌ属に分類される中型種の総称で、アジア南部からヨーロッパ南東部、アフリカに分布しています。
体長は65~106㎝でオオカミによく似ていますが、耳が大きく体は薄い金色~黄褐色で背と尾には黒色の毛が多く生えています。
1~6頭ほどの小さな群れをつくり平原や林などに生息しネズミやうさぎ、イタチなどを捕食する他サトウキビや他の猛獣の食べ残しを漁ります。
穴を掘るのが上手で4~9匹の子を産みます。
ジャッカルの種類
ジャッカルは4つの種類に分類されます。
キンイロジャッカル
キンイロジャッカルはその名前の通り毛色が黄色や薄金色であることが多く、体毛は短くゴワゴワとしています。
体長は60~106㎝、体重は7~15kgほどです。
食性は季節や地域によって変異があり、有蹄類の幼獣や齧歯類、鳥類やその卵、爬虫類、両生類魚類、果実などを食べ、ゴミ捨て場を漁ったり、動物の死骸なども食べます。
狩りは鋭い聴覚を利用して隠れた獲物を見つけることもできます。
複数で狩りを行う時は大型の哺乳類なども襲うこともあり、獲物を執拗に追いかけ噛みついて痛めつけますが通常はトラやライオンなどが食べ残した獲物を奪って食べます。
また、サトウキビやスイカ、トウモロコシ類、家畜などを食害する害獣とみなされることもあります。
アビニシアジャッカル
アビニシアジャッカルはエチオピアに分布していて、標高3000~4400mにある草本の丈が25㎝以下の湿原に生息しています。
体長はオスが92~101㎝、メスが84~96㎝程。体重はオスが14~19kgでメスが11~14kgです。
背面の毛色が赤橙色や赤褐色で喉、胸部、腹部の毛色は白や淡褐色、前胸部には暗色の横帯が2本入ります。
食性は動物食でネズミやうさぎなどを食べますが鳥類の雛や卵を食べることもあり、動物の死骸を食べることもあります。
セグロジャッカル
セグロジャッカルはアフリカ大陸東部と南部に生息し、サバンナや開けた低木林、海岸の砂漠などに生息しています。
体長は45~90㎝、体重は6から15kgで頭部や体側面は褐色、腹面は白い体毛で覆われています。
食性は雑食で果実、ガゼル、ディクディクなどの小型哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫、動物の死骸などを食べます。
ヨコスジジャッカル
ヨコスジジャッカルは中部アフリカに分布し標高2700m以下の草原、耕地、林縁、森林、湿原などに生息しています。
キンイロジャッカルやセグロジャッカルと重複する分布域では植生が密になった環境に生息することで棲み分けを行っています。
体長は62~81㎝、体重は6から14kg程で背面の毛衣は灰褐色、体側面に白い縦縞が入りその下に黒い縦縞も入ります。
胸部や四肢の毛衣は褐色身を帯び、尾は暗色で先端が白くなっています。
食性は雑食で昆虫や爬虫類、鳥類、小型哺乳類、動物の死骸や果実などを食べ、ジンバブエで行われた調査では果実が48%、昆虫が31%、死骸と鳥類が11%という報告例があります。
小さいジャッカルの生存戦略
決して体が大きくなく、並外れた身体能力を持つわけでもないジャッカルは、様々な工夫で命をつないできました。
1つに天敵に見つかりにくい体表を獲得し、雑食や死肉を漁り、時には農作物をエサにするなど地域や状況に合わせて食べるものを変えること。
2つめは、天敵に襲われないようになるべく食事の時間を短くするように小さな獲物をたべること。
子供に食事をさせるときには胃に溜め込んだエサを安全な巣穴で吐き戻して与えます。
そして3つめは、エサが極端に少ない場合はライオンやゾウなどの大型の動物を襲い、巨大な相手の足を齧って、ひとかけらの肉を食べて逃げること。
一見姑息にも見える捕食方法ですが、弱者には弱者なりの生存戦略があり、子孫を繁栄させてきたのです。
(ライター ナオ)