「ラクダ」と言えば、その特徴は何と言っても背中の「こぶ」!
一体あれはなんのためにあるのか、疑問に思ったことはありませんか?
私は子供の頃、「人間が座りやすいような形になっている(背もたれ的な)」と思っていましたが、そんな理由でこぶがあるわけではありません。
あのこぶには、きちんとした存在理由があるのです。
というわけで、今回はラクダのこぶをメインに、生態などについて詳しく見ていきましょう。
ラクダってどんな動物?
ラクダの生態を語る上でまず一番に着目したいのが、「水なしでも長期間行動できる」という点です。
まず、人間であれば一度に飲める水の量は、どんなに頑張っても1~2リットルが限界。
それに比べて、ラクダはなんと一度に80リットル以上もの水を摂取することが可能なのです。
多い場合は100リットル以上飲むことも。
この大量の水分は血液中に蓄えられるのですが、この場合も人間や他の動物であれば、極端に血液中の水分が増えると赤血球が破裂してしまいます。
しかしラクダの場合は破裂することはありません。
また、体の中の老廃物は「尿」として排泄することになりますが、ここにも一つの秘密が。
ラクダの体はかなり濃度の高い尿を出すことができる仕組みになっているため、少量の水分でたくさんの老廃物を排出できるのです。
さらにさらに!人間は「汗」をかくことで熱を放出して体温を調節しますが、ラクダは自分で体温を変化させることが可能!
気温に合わせて34~42度まで体温を変化させることができ、体温と気温の温度差を無くすことで、極力汗をかかずに水分消費を抑えることができるというわけです。
こうして水分の消費量を抑えることのできるラクダですが、そもそも体自体が水分不足に強い、という面もあります。
人間は体の水分を1割失うと命に関わりますが、ラクダは4割もの水分を失っても耐えられます。
まさに砂漠で生きることに特化した体というわけですね。
そんなラクダですが、湿気の高い気候にはめっぽう弱く、病気がちになったり足を痛めたりするそうです。
ラクダのこぶの役割とは?
ラクダのこぶの役割とは、いったい何なのか。
「背もたれ」ではないことはもちろんですが、中には「水が入っているから、砂漠でも生きていける」なんて思っている人もいるかもしれません。
しかしそれは間違い!
あのこぶは、背もたれでも貯水タンクでもないのです。
ラクダのこぶの正体、それは「脂肪」。
つまり水ではなくて、エネルギーの貯蔵庫なのです。
その中身はなんと平均で20~30kg、大きいものでは50~100kgにもなると言うから驚き!
この大量に蓄えた脂肪からエネルギーを摂取することで、過酷な砂漠において何日も餌を食べられなかったとしても、しばらくの間は生きていくことができるというわけです。
もちろんエネルギーを消費すれば、次第にこぶは縮んでふにゃふにゃに。
餌をたくさん食べるようになれば、再びこぶは復活します。
生まれたばかりの赤ちゃんにはまだこぶがなく、約1年ほどでこぶが完成するんだとか。
「こぶのない種類もいる」と思っている人もいるようですが、ラクダには「ヒトコブラクダ」と「フタコブラクダ」の2種類しかいません。
きっとこぶがなかったのは、中の脂肪が消費されていたからだと思われます。
また、こぶにはエネルギー貯蔵の他にも、灼熱の砂漠において熱さから体を守る役割も。
脂肪が断熱材の代わりとなって太陽から暑さを遮り、背中以外からの放熱を助ける働きがあるのです。
ちなみに、全ラクダの90%はヒトコブ、残りの10%がフタコブです。
ラクダのこぶについてのまとめ
身体の構造のすべてが、砂漠という熱くて乾燥した気候で生きるための進化を遂げたラクダ。
砂漠においては、これほど頼もしい相棒はいないでしょう。
一度、ラクダにのって砂漠を悠然と旅してみたいものです。
(ライター もんぷち)