生きものの名前は本当に上手に付けられているものが多いと感心することが多いですが、このムチヘビもまたそんな生物のひとつ。体がまるで鞭のように柔軟で丈夫で、しなるような形状をしたヘビ。
顔の部分までがしゅっとしていて、全身がまるで鞭のようなんです。
今回はそんなムチヘビについて詳しくお話します。
ムチヘビの特徴
ムチヘビはナミヘビ科に分類されるヘビの総称で、アメリカムチヘビ属に分類される8種類が北アメリカ、中央アメリカに分布しています。またムチヘビ属レイサーの約34種がヨーロッパ、北アフリカ、アジア及び北アメリカに分布しています。
全長は1~1.8mほどで頭部はやや扁平で幅広く頸部がくびれ爬虫類にしては珍しく、眼球が前方に向いていて、瞳孔も横長になっています。地上性で行動が敏捷、最も速く走るヘビのひとつ。
牙は丁度人間でいう奥歯の辺りに生えていて、毒はそれほど強くはありませんが、長い時間噛ませたりすると毒が入ることもあります。
オオアオムチヘビ
オオムチヘビは中国南部からインド東部に生息しているムチヘビの一種で最大1.9mほどになります。
東南アジアに広く分布するムチヘビの最大種で分布が広いので4亜種に分けられることもあります。
体型は非常に細長く、頭部は三角形に尖っています。
体色は変異に富んでいて、基本的には鮮やかな緑色の地色に黒や白色の不規則斑が散在しています。
森林の特に林縁部に多く生息し、昼行性でほぼ完全な樹上性。
樹上でトカゲを中心に食べていますが、カエルや小さな鳥も食べることがあります。
胎生で4~10匹程度の幼蛇を出産し、色は褐色。成長すると緑色になります。
オオアオムチヘビの飼育
ムチヘビは少々神経質なヘビで飼育するのは難しいようです。また、寄生虫感染症や皮膚の感染症になりやすいことなどからも上級者向きのヘビといえます。
飼育用意は高さと通気性を重視した容器を使うようにします。
幅はヘビの全長の3分の1程度は必要でホットスポット下で33℃、そのほかの場所は26~28℃にします。
照明は特に必要はなく、床材はペーパータオルや新聞紙で十分です。
容器内には流木や木の枝などを配置し、シェルターと全身を浸すことができる水容器を設置します。
エサは基本的にはトカゲやヤモリ、カエルなどですがマウスやウズラに餌付けることは可能です。
基本的には生きているものの方が反応はいいですが、冷凍ヤモリでも粘り強くアシストをしながら食べさせるようにすると良いでしょう。
基本的な世話としては一日に数回霧吹きをして湿度を上げること。ダニが寄生している場合が多いので注意して駆除すること。体内に寄生虫を持っていることが多いので可能な限り駆除すること。そしてなるべくハンドリングなどは避けることです。
オオムチヘビの値段は7000~8000円ほど。
ハナナガムチヘビ
ハナナガムチヘビは全長100~120㎝程のヘビでインドやスリランカ、東南アジアなどに分布しています。
耕作地や降雨林で見られ、昼行性。名前の通り頭部の先端が細長く尖っていて、頭部よりも細い胴体部分は鞭のようにしなやか。アジアに生息しているムチヘビの仲間の中では最も視力が良いと言われています。
色鮮やかな緑色の皮膚を持っていますが、灰色や褐色などの個体もいます。
エサは爬虫類や小型の鳥類などで、捕食する時には草木などにカムフラージュして風邪に吹かれているかのように体をかすかにゆすることによって自然に溶け込み、獲物となる爬虫類などに気づかれずに近づきます。
卵胎生で一度の出産で3~23匹を産みます。
皆さんも興味があればぜひムチヘビの飼育にチャレンジしてみてください。
(ライター ナオ)