春の花咲く季節になると随所で梅まつりの光景を見かけます。

梅の花は開花期間が長く、ところによってひと月ほど咲いている事もありますね。

そんな梅の花の果実である梅の実の季節はいつでしょうか?

青い梅とオレンジの梅

英語ではjapanese apricotと呼ばれるバラ科サクラ属の梅は、日本各地で生産されています。

和歌山県の南高梅をはじめとして温暖な地域から新潟、山形などの東北地方に至るまで生産されています。

初夏になると青い梅の実とオレンジ色の完熟梅が出回ります。

時期は5、6月頃です。最初に青い梅が出て、6月になるとオレンジ色の梅を見かける事が多いと思います。

 

これは種類が違うのではなく収穫時期や熟し具合が違うのです。青い梅の収穫時期は6月です。

青い梅は日に当たるとだんだんオレンジ色になります。または追熟させると果実はオレンジ色になります。

 

青梅は梅酒、ピクルス、梅サワーなどに利用されます。青梅が出回る時期は特に短く、ほんのひと月ほどです。

オレンジの梅との違いは、カリっとした新鮮な青い食感と香りです。完熟の梅はいわゆる甘い香りで、果実、というのがしっくりきます。

青梅の特に種は有毒ですので、生の青梅をそのまま齧るのはいけません。必ず加工して利用しましょう。

完熟の梅はオレンジ色のふっくらした果実です。大きいもので3cmほど、旬の季節は7月上旬くらいまでです。

 

リカーに漬けて梅酒、または梅ジャム、梅サワーなど利用法も多彩です。

梅の品種はたくさんあります。南高梅に代表される和歌山県の紀州の梅は梅の実を代表するブランド梅です。

南高梅の完熟梅は7月上旬くらいまで出回ります。

梅の樹木について

身近な梅の実ですが、どのように実をつけるのでしょうか。

梅の花が咲くのは2月~3月頃です。桜より早く春の便りを届けるのが梅の花です。

 

梅の栽培がされるようになったのは江戸時代頃とされていますが、奈良時代頃から梅の木はあったようです。

落葉樹でありながら古くから庭木とされたり、小高い丘に梅林がある地域もあります。

 

品種改良もされ、梅には観賞用の品種と梅の実を目的とした品種があるのも特徴のひとつです。

冬に咲く冬至梅、という白い花の咲く品種もあります。

 

梅の樹はゆっくり育ち、何となく渋さを感じるような樹肌と梅の花の愛らしさが対照的な樹です。

この緻密な樹肌も梅の樹の特徴です。

梅の花と結実の仕組み

梅の花弁は5片です。丸みがあり、中心の雌蕊がはっきりと見え、周囲に30本ほどの多くの雄蕊がつきます。

はっきり見える雌蕊の奥には受粉されいずれ梅の実になる子房という部位があります。

 

梅の花の子房には蜜がたっぷり入っています。そこから雌蕊を伸ばし、柱頭に雄蕊の花粉を受粉させます。

梅の花の顔を近づけるとふんわりとしたやわらかい香りがしますね。

 

梅の実は中に種子がある核果実ですが、子房の外側の子房壁にあたるところが果実の皮になります。

梅の実の場合は、内果皮という果皮が複数の層に分かれている果実です。

梅の実の利用と変遷

梅の果実は梅干しにしたりと長期保存がきく利用のされ方をするのも特徴のひとつです。

登山時に梅干しを持っていくという人もいるかもしれませんね。

 

古いような気がしますが、乗り物酔いの時にも梅干しを持っていったりします。

梅にはクエン酸も含まれますので、疲労回復効果も期待できますし、防腐効果もあるのでおにぎりの具にしても心丈夫です。

 

夏場のお弁当を作る時には、ご飯を炊く時に梅干しをひとつ入れておくと、防腐効果が期待できます。

やや塩分が入りますので、おかずの味は薄めが良いかも知れません。

 

梅の実の食用としての利用は平安時代頃からはじまったようですが、武家ではもてなしの際に梅干しを振る舞ったなどといわれています。

中国から梅が伝来した時にはまだ高級品だった梅ですが、時代が変わり、花の鑑賞、食用、薬用などと役割も変化しながら今もってごはんに梅干しというセットは旅館の朝食などで食べたいような気がする食卓メニューです。

 

明治10年くらいには流行り病を治すのに梅干しが重用されたとされます。

日本において梅の栽培が急速に広がったのは明治40年以降です。

 

戦争の時代に梅の実の需要が高まり、作付面積が増えました。

昭和30年代に入ると梅の栽培は復活し今に至るようです。

青梅の保存や梅サワー

梅は収穫してから追熟がすすむ果実です。なるべく早く加工するのが望ましいです。

最も簡単な青梅の利用に「梅サワー」があります。青梅は一晩ほど水に浸けておきます。

 

馥郁とした夜の梅の香りが漂います。あく抜きをしたら、梅の実のヘタを竹串でとります。

手元に乾いた布巾を置き、水分が残らないように丁寧に処理します。保存瓶に梅。

 

氷砂糖の順に入れて、酢を入れます。一週間ほどは様子を見ながら上下が混ざるように瓶を振ります。

保存瓶は大きいものも販売されていますが、あまり大きいと瓶を持ち上げて振る事が困難になる場合もあり、あまり欲張りすぎても後々ツラいです。

 

常温の冷暗所に保存し梅のエキスが出てくるのを待ちます。だいたい氷砂糖が溶けると完成です。

炭酸水等で割って風呂上りの一杯に是非どうぞ。また、ヨーグルトと混ぜるとラッシーのようで美味しいです。

 

適量は梅1キロあたり氷砂糖600gくらい、酢は1ℓもあれば充分です。完熟梅の場合はあく抜きはそんなに必要ありません。

手に入れた梅の実を洗い、そのままヘタを取り始めます。青梅よりやさしい味に仕上がります。

梅の実の季節

梅の実の旬の時期もほんのひと時です。6月~7月上旬くらいまでです。

どちらかというと常緑が好まれる庭木にも植えられる梅の木は、花も愛でられ、果実の利用もされる昔から生活のすぐそばにある樹とも言えるようです。

(ライター:おもち)