初夏になると菖蒲のような花を多く見かけます。
菖蒲のような花の季節はいつでしょうか?
菖蒲について
菖蒲(アヤメ)はアヤメ科アヤメ属の多年草です。
アヤメ属にはカキツバタやハナショウブも入りますが、分布する地域が異なり花の季節もややずれます。
菖蒲(iris sanguinea)はもともと山地に群生するいわゆる山野草の一種です。
日本全国に分布し背丈は30cm~60cmほどです。恐らく夏山の登山など標高の低いところで目にする青紫の菖蒲は、この菖蒲だと考えられます。
山の中にある菖蒲は、標高1000~1500mほどのところで見る事ができます。
アヤメ属のカキツバタなどは改良され、花の色が様々な事が特徴です。多くが湿地や水辺を好みます。
そういえば、近所に植えてある菖蒲のような花は地面に植えられています。
近くに水辺はないので、何気なく目にしていたあの花はアヤメ科アヤメ属の菖蒲なのでしょう。
菖蒲の特徴
菖蒲の大きな特徴として、湿地に生えていない事があげられます。
また、多くの場合花の色は青紫か白色です。自生地であれば、殆どが青紫色をしています。
花の季節は早くて4月下旬、5月上旬頃までです。5月下旬には菖蒲の花の季節は終わります。
前後して6月あたりまで咲く菖蒲によく似た花は、アヤメ科のカキツバタなどです。
菖蒲の花のつくり
菖蒲の花は変わった形をしていますね。一番外にある花弁は垂れ下がったように見えます。
この部位は外花被片で3枚あります。その中にある3枚が花弁です。
菖蒲の花弁の形は丸みがあります。外花被片の根元あたりに細かい網目のような模様がある事が特徴です。
この外側の模様には個体差がありますが、よく見ると綺麗です。蜜標と呼ばれます。
この蜜標はツツジの花の点々模様のように、虫を引き寄せ受粉させる役割のためと考えらえています。
菖蒲の雌蕊はわかりにくいところにあります。雌蕊に相当する花柱は、一見内花被片のような感じでついています。
元はひとつで、3つに分かれています。花弁よりやや透き通った質感に見えますね。
雄蕊に相当する部位は更に奥まった場所にあります。雌蕊の中ほどにありますが、これもわかりにくいのです。
菖蒲は虫媒花です。この外花被片の模様で虫を引き寄せ、分かりにくいようで大胆な気もする場所にある蕊に受粉させるのです。
山に咲く菖蒲は実にテクニシャンです。菖蒲の一つの花茎から3、4つほどの花が咲きます。
花の直径は8cmくらいです。菖蒲は地下茎が発達し、そこから花茎を伸ばします。葉も直立していて細いので、姿勢がよい植物に見えます。
花が終わると、花ひとつにつき実をひとつつけます。また、葉の特徴ですが、アヤメ科アヤメ属の菖蒲は葉が細く、葉脈があまりはっきりしていません。
はっきりしていれば花ショウブである事が多いようです。
菖蒲の種類
菖蒲の特徴は、品種改良があまりされていない事です。それでも品種はいくつか存在するようです。
原種の菖蒲をもとに作出されたシベリアアヤメという種があります。花は大ぶりだそうです。
菖蒲の季節
比較的乾燥した土地や山の中を好む菖蒲と、湿地帯を好むいわゆる花ショウブの姿は一見よく似ています。
各地のイベントなどで一緒に紹介されている様をみるとますますわからなくなりそうです。
しかし、育つ場所がずいぶん違いますし、アヤメ科のアヤメ属の菖蒲は群生している事も多く、すっきりしていて美しい植物です。
そして、菖蒲の花の仕組みなどはじっくり観察したくなるような興味深いもののようです。
菖蒲の季節は、4月下旬から5月上旬くらいまでです。
(ライター:おもち)