美しい女性の表現に「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」というものがあります。
かつて牡丹の花は葉の上にまるで座っているかの様に咲いていて、なにをしても美しい女性の事を花に例えた見事な表現です。
そんな牡丹の花について詳しくご紹介します。
牡丹の特徴
牡丹はボタン科ボタン属の落葉小低木です。
原産地は中国に市北部で元は薬用として利用されていました。
日本に渡来したのは8世紀で、初めは日本でも薬用として使われていましたが、その後観賞用にも栽培されるようになり、江戸時代には多くの観賞用園芸品種が生み出されるようになりました。
原種の樹高は3mほどになり、接ぎ木で作られる園芸品種で1~1.5m。
従来は種からの栽培しかできなかったのですが、戦後にシャクヤクを使用した接ぎ木が考案されて急速に普及しました。
牡丹の花の季節
牡丹の花はまるでバラの花のように美しい花をつけます。絹のような大きな花弁は分厚くしっかりしています。
開花時期は4~6月で、4月下旬から5月の中旬にかけて最も美しく咲きます。また、一年に2回花を咲かせる二季咲きの寒牡丹もあり、これは11~1月に花が咲きます。
牡丹の品種
牡丹には8種類の原種があり、そこから様々な園芸種が生み出されてきました。
花王は濃い赤色の花びらで万重咲きの大輪の品種です。とても丈夫で鉢植えなどにも向いています。
貴婦人は花弁が乳白色をした千重咲きの品種で、貴婦人的な高貴な雰囲気が漂う花。
金閣は黄橙色の花びらの席にオレンジの縁取りが入っています。フランスで開発された中輪千重咲きの品種で切り花、鉢植えなどにおすすめです。
鎌田藤は花弁が紫色の千重咲き品種で、開花直後は紫色をしていて満開になると徐々に赤味を増していきます。
太陽は濃い赤色の花びらをした八重山先の大輪品種で、丈夫で育てやすく安価なので入手しやすいタイプです。
サンダーボルトは花びらが赤褐色の中輪品種。アメリカで作られた品種で珍しい一重咲きタイプです。
ハイヌーンは黄色の八重咲の大輪。フランスで作出された遅咲きの品種です。
初鳥は新潟県内で作出された暗赤色の八重咲の品種です。
中輪ですが葉の緑色と花色のコントラストが鮮やかで目立つ品種です。
牡丹の育て方
牡丹の植え付け時期は9月下旬~10月下旬。
50㎝の植え穴を掘り、掘り上げた土に完熟堆肥や腐葉土を3分の1量を混合し、接ぎ木した部分が地面より上に出るように浅く植え付け、更に株の周りに10㎝程の土をかぶせます。
牡丹はシャクヤクを台木に使い、つぎ木したものなので購入した株の根はシャクヤクのもの。
そのためつぎ目より上にも覆土して植え付け後にはたっぷりの水を与え、新しい根の張りを良くするようにします。
水はけがよく、水もちが良い土を選びます。赤玉土小粒7と腐葉土3の割合で混合した用土を使って植え付け肥料もたっぷりと与えると良好に育ち綺麗な花を咲かせます。
陽当たりと風通しの良い場所を選び、庭木の場合は西日が遮られるような場所を選びます。
開花後の5月上旬から6月上旬と9月下旬には固形の発酵油かすや緩効性化成肥料を施すようにします。
植えつけ直後の施肥は根を傷める原因になるので翌春の開花後に施すようにします。
庭植えの場合特に水やりは必要ありませんが極端に乾燥する夏の高温期には朝か夕方に水やりをします。
鉢植えでは4月から9月までは十分に水を与え、秋は極端に乾かさないように落葉する冬には少なめに水を与えるようにします。
剪定をする場合は9月の下旬~10月中に行います。今年伸びた枝の基部から2~3芽を残し剪定します。
この作業をしておくと、翌年強くて新しい梢が伸びて花を咲かせ、しっかりとした株になり、枯れた枝や重なった枝も基部から剪定するようにします。
(ライター ナオ)