クリオネは未知の巻貝といってもいいでしょう。
というのも、最近新種のクリオネが発見されたからです。
発見海域は日本の富山湾だそうです。日本海にはクリオネの仲間は棲息しないのではないか、という予測をひっくり返すような出来事でした。
そんな人間の思い込みを覆すような生物であるクリオネを飼育している水族館を以下にまとめました。
クリオネについて
クリオネは巻貝の一種です。
和名はハダカカメガイといいます。日本近海では主にオホーツク海の冷たい海の200mより浅い海域に棲息するとされ、内臓が透き通ったような姿と意外な捕食方法で人気が出たのは記憶に新しいところです。
極付近の海域を好むとされ、南極・北極両方で見つかる事から両極分布種の無殻貝という珍しい生物です。
日本近海で見つかるクリオネの大きさは中くらいのサイズです。
オレンジ色に透けてみえる内臓は捕食物により違う色合いの事もあるようです。
クリオネの種類は、ハダカカメガイ、ダイオウハダカカメガイ、ナンキョクハダカカメガイ、ダルマハダカカメガイ、富山湾で見つかり2017年に新種と認定されたクリオネなどです。
また、ダルマハダカカメガイが発見されたのは、2017年の事で場所はオホーツク海です。
体が8mmほどと小さく、丸いのが特徴です。捕食の際に餌から出る物質に反応し、粘液を出すという特徴もあります。
他のクリオネは触手のようなものを出し、素早く捕食します。これら新種のクリオネの発見をうけてクリオネのDNAレベルでの研究が進み、太平洋に棲息するクリオネの学名は「エレガンティッシーマ」、最大80mmにもなる北大西洋のクリオネは「ダイオウハダカガメガイ」とされました。
このほど新種認定された富山湾のクリオネは更に小さく、5mm程度です。
今のところ日本固有種ではないかとされています。クリオネの新種が発見されるのはなぜかほぼ100年ごとです。
クリオネの生態
クリオネの羽のような部位は翼足といわれます。泳ぐときにそれを使って漕ぐような行動を見せます。
捕食時は頭に見える部分から体内に収納されている3対6本のバッカル・コーンという触手のようなものを伸ばし餌を捕らえます。
正面からみると、小さなイソギンチャクのように見えます。この頭のような部分はクリオネの胴体にあたるようです。
クリオネはミジンキマイマイの柔らかい部分のみ食べているようで、食べ終わると殻は捨てます。
クリオネは幼生の頃は植物性プランクトンを捕食しますが、成体になると決まったものしか食べない肉食になります。
クリオネは雌雄同体です。成熟した個体同士で交尾を行います。
冷たい海に棲むクリオネはエラ呼吸ではなく、体表面から酸素を取り入れ呼吸しているとされます。
クリオネがいる水族館
北海道蘭越町貝の館
開館時期は4月~10月です。貝類に特化したとくべつな施設です。
建物自体も貝の形をなぞらえた貝類好きにはたまらない施設です。
クリオネは第二貝の館にいます。イクオネもいます。イクオネはマメツブハダカカメガイという貝の仲間です。
平成29年4月4日からクリオネと海に関する大々的な特別展示「クリオネと海洋酸化」が企画されています。
稚内市立ノシャップ海流水族館
かつて稚内のどこかでクリオネを見た気がするな、と思っていたらここでした。非常にこじんまりした施設です。
東京農業大学博物館常設コーナー
関東地方でクリオネが漂う様子を見る事ができるようです。
東京農大は北海道オホーツク地方に生物産業学部のキャンパスをもつので、その関係からかクリオネの常設展示が可能になっているようです。
東京農大自体は世田谷区にあります。入場料は無料です。はっきり言って穴場です。
紋別オホーツクタワー
こちらはタワーという名前の通り、タワーなのですが、世界初の氷海海洋展望台です。
海底からそびえたつような構造になっており、地下1階の海底階にはオホーツクの海を自然に漂うクリオネの姿を見る事ができます。
浅虫水族館
青森県の水族館です。丸い水槽の中にクリオネがいるようです。
越前松島水族館
福井県の水族館です。水族館の大事な仕事として水槽の中の海水の管理があります。
やはり海沿いの方が水族館は多めです。コンペイトウ、という珍しい魚も飼育されているようです。
また、旭山動物園でも冬の間、クリオネとイクオネの飼育展示をしているようです。観察用に虫眼鏡も用意されています。
水族館のクリオネについて
クリオネの飼育は水族館でも難しく、一時期生体展示が可能でも続ける事が難しいようです。
飼育例があっても今はいないという事もあり得ます。クリオネを見に行く際は、本当にいるのかどうか確かめてから行きましょう。
(ライター:おもち)