コウモリは哺乳類です。
夜行性のため、薄暗くなってから行動を開始する種が殆どです。
子供の頃住んでいた町には野生のコウモリがいました。
日中はヤブ蚊がタワーをつくるどぶ川の下にぶら下がっているのですが、日が暮れるとコウモリが飛びかいます。
そんなコウモリを保護する時はどのような事に注意すると良いのでしょうか。
コウモリの棲息地
コウモリはおおむね雑食性です。日本に棲息しているコウモリは吸血性ではありません。
吸血性のコウモリが棲息するのは主に南米大陸であり種は3種ほどで、しかも絶滅寸前といわれます。
コウモリは哺乳類の中でネズミの仲間についで種が多く、生息地域はほぼ全世界中といってもいいくらいです。
日本に棲息するコウモリの種類
日本で見かけるコウモリは、オオコウモリ科、モクガラシ科、ヒナコウモリ科、オオヒキコウモリ科などです。
一番見かける可能性が高いのはヒナコウモリ科のアブラコウモリ属のコウモリです。アブラコウモリは本州に広く分布し、東アジアなどにも棲息します。
軒下などにぶら下がっている事が多く、イエコウモリと呼ぶ事もあります。
森の中に棲むアブラコウモリは、モリアブラコウモリといわれます。
コウモリは大コウモリと小コウモリに大別されます。体の大きさも違うようですが、生態にも違いがあります。
コウモリというと、夜間飛行し目があまり見えず超音波を出すという感じですが、これらの生態があてはまるのは小コウモリといわれるコウモリたちです。
大きなコウモリは目も見えるし、棲息地域は熱帯や亜熱帯であり、超音波は出さないものが多く、花の蜜などを好みます。
日本に棲息するコウモリは小コウモリたちです。
コウモリの中でも大コウモリの方が種類が少ないのです。
このような大コウモリ、小コウモリといった呼び方は正式なものではありませんが、コウモリを理解する上では分かりやすい目安です。
コウモリの特徴
コウモリは翼手目に属する哺乳類です。
前肢に飛膜があり飛べるようになっている事が最大の特徴です。
鳥類もそうですが、飛ぶ生物は体重が軽い方が良いです。
あまりに重いと飛ぶための力がたくさん必要ですからね。
コウモリの持つ飛膜は鳥類のように羽もなく、薄くできています。
アブラコウモリはたった10gほどしか体重がありません。
成体でも体長は5cmほど、羽を広げるとその5倍程度である事が多いようです。
アブラコウモリは顔だけ見るとネズミのような顔にも見えます。
コウモリの顔つきは種によりバリエーションにとみ、意外なお顔の種や体毛が白い種もいます。
日本でよく見かけるアブラコウモリは茶系の体毛が生えていて歯も生えそろっています。
この歯を使い昆虫類を食べるためにコウモリは夕暮れになると飛び回るのです。
コウモリの食べる昆虫は種や棲息地により様々ですが、蚊を好みます。
真夏の夜には市街地でもコウモリが飛んでいる事があります。コウモリの耳は大きく耳介も発達しています。
コウモリは人間には聞こえない高周波の超音波を発しそれが周囲の建物などにはね返ってくる音を聞き、どこにもぶつからずに飛び回る事ができます。
コウモリの目は見つけにくいのですが、顔の真ん中あたりにある鼻のすぐ上です。
かなり小さく、パッと見には分かりにくいです。
コウモリの一年
日本にいるコウモリは冬になると冬眠します。
外気温が12度から15度以下程度になると、体力温存のために建物の暗がりなどで休眠状態になるようです。
コウモリの交尾時期は10月頃です。
コウモリは飛んでいる時や獲物を捕食する時以外は、たいていどこかにぶら下がっています。
交尾もぶら下がった状態で行われます。コウモリのオスは多くのメスと交尾し、メスの体内に取り込まれた精子は長期保存可能です。
メスのコウモリは子宮内に精子を保存し、そのまま冬眠します。春先になると排卵し妊娠します。
妊娠期間は30日程度で、出産は夏頃です。
一度に1,3匹出産します。コウモリの出産もぶら下がったままで行われます。
赤子のコウモリには毛がなく肌色です。大きさも1、2cm程度です。
産まれた子は暫く母コウモリにくっついて、ミルクを飲んで生活します。
胎盤についたへその緒は、出産時にメスのコウモリが口で噛み切るようです。
コウモリの子供が飛びはじめるのは、だいたいひと月後だそうです。
コウモリの子供は生まれた年の秋頃には性成熟し、交尾可能になります。
コウモリのメスは子育て時期にたくさんの餌を必要とします。
そのため、出産時期を昆虫類、主に蛾や蚊などの多い時期に合わせているともいわれます。
寿命はメスの方が長いようで約5年ほどです。
コウモリの保護する時の注意点
コウモリは鳥獣保護法により飼育が限られています。
ケガをして飛べなくなったコウモリを保護する場合、元気になったら放してください。
人間に保護される状態のコウモリは平常の状態ではありません。
コウモリを保護する場合は、直接手でさわるとコウモリを驚かすかも知れませんので、ハンカチのようなものでくるむか、軍手を用意してください。
できればあまり動かさないようにして暗いところに置き、様子を見ます。
ペットがいる場合はより注意してくださいね。成体のコウモリには、シラミやダニがくっついている場合が多いです。
手を噛まれたりすると感染症の恐れがあります。
今のところ直接コウモリに噛まれた事により重大な感染症を引き起こした事例は日本ではないようですが、コウモリが宿主と考えられる感染症のひとつに狂犬病があります。
コウモリは世界的に種類が多い種であり、国外ではコウモリが宿主と考えられる感染症にかかる事例もあるようです。
例としてオーストラリアでは、コウモリ類は狂犬病に類似するウイルスを持つとされ、コウモリ類に接触する人に対し、狂犬病ワクチンの接種をするように呼びかけられています。
オーストラリアはコウモリの保護が盛んなようです。
野生動物の保護と共に人間の健康を守る事も大切であり、それは同時になされるべきなのでしょうね。
米国では基本的にコウモリの輸入は禁止されています。
人獣共通感染症を媒介する可能性があるからです。
人獣共通感染症というのは、同一の病原体から人間と脊椎動物の両方が罹患する感染症のことです。
また、コウモリの赤ちゃんと思われる個体が落ちている場合も考えられますが、この場合は母コウモリが探しに来る場合もありますので、そのままにしておいた方が良いかも知れません。
コウモリの保護について
コウモリを保護するには注意する点が多くあります。
動けないコウモリを目にした時、保護した方がコウモリの為になるのか、あるいはそうではないかもないのか、よく考えてから保護しましょう。
飼育と保護は全く違う行動です。
手に負えない場合は役所に連絡するか、動物病院をあたってみるとコウモリの為にも良いかも知れません。
(ライター:おもち)