皆さんはヒャンという蛇を知っていますか?

実はあまり知られていませんが、れっきとして日本に生息しているヘビ!

実は恐ろしいヒャンの生態について詳しくご紹介します。

ヒャンの特徴と生態

ヒャンは、奄美諸島の固有種でコブラ科ワモンベニヘビ属に分類される毒ヘビです。

沖縄諸島に生息する『ハイ』、久米島周囲に生息する『クメジマハイ』は、ヒャンの亜種と考えられています。

特定動物に指定されていて、日本には3亜種が存在し、主にヒャンと呼ばれる種は奄美大島、諸島、加計呂麻島、与路島に生息しています。

名前の由来は奄美地方の方言で日照りの意味を表し、ヒャンの生態に由来していると考えられています。

全長はいずれの亜種も30~60㎝。体色はオレンジ色で黒い縦縞が5本入ります。尾は短く、先端がとがっています。

ヒャンには黒い縦縞が1本入っているものと3本入っている個体がいて、太い横島が入っています。

 

産地の常緑広葉樹林に生息していて、地表で生活しますが、外敵に襲われると尾の先端で相手を突いて威嚇します。

ヒャンの食性は動物食であり、おもにメクラヘビなどの爬虫類を好んで食べています。

繁殖形態は卵生、4月に交尾を行い6月に月1回に2~4個の卵を産みます。

ヒャンの毒性

ヒャンは敵に襲われた時に尾の先端で相手を突いて威嚇しますが、その部分に毒があるわけではありません。

コブラ科の毒は神経毒で、高い即効性を持っています。毒は毒牙から出され、毒牙にある溝を伝って傷口へ注入されます。

 

神経毒が入ってしまった生物は麻痺やしびれ、呼吸や心臓の停止が起こり、ひいては死に至ることもあり、こうして動きを止めた後に補色するのが一般的です。

ヒャンの毒性は強く、ホンハブの4〜5倍とも言われていますが、性質は大人しく小型であるためにヒトを咬むことはほとんどありません。またたとえ咬んだとしても、毒量が少ないために、その被害は少なく、それほど危険なヘビだという認識はされていません。

従って、ハブの方が危険なヘビとして有名なのは、ヒャンのもともとの性質が大人しく、小型なうえに口も小さいため、毒量は少ないというのが理由のよう。

「ハブ」の毒の強さってどれくらい?

地元の人たちの間では毒性が誇張され、威嚇の方法にインパクトがある為に必要以上に恐れられていますが、それほど危険なヘビではありません。

実際、ヒャンの毒による被害は知られていません。

種類と個体数

ヒャンは伊平屋島、沖縄島、渡嘉敷島、徳之島に生息するハイという亜種と伊江島、久米島、座間味島、渡名喜島に生息するクメジマハイの亜種がいますが、いずれも開発による生息環境の破壊によってその生息数は減少しており、中でもクメジマハイは環境省のレッドリストの絶滅危惧種に指定されています。

 

他の2亜種も準絶滅危惧種に指定されています。

ちなみにハイは白く縁どられた細い縞が入り、トカゲやメクラヘビなどの爬虫類を食べます。クメジマハイは横島が入らないという特徴で区別がつきます。

ハイはヒャンの亜種で、沖縄本島および具志川島、渡嘉敷島、徳之島に生息する毒ヘビです。クメジマハイと区別するため、『オキナワハイ』と呼ばれることもあります。

ヒャン同様、全長30〜56センチほどのごく小型のヘビです。毒性はホンハブの4〜5倍もありますが、おとなしい性質であり、ヒトを咬むことはほとんどありませんので、ヒャン同様危険なヘビという認識は持たれていません。

奄美大島のヘビ

ヒャンの生息する奄美大島にはヒャンを含め8種類のヘビが生息しています。

まず最も有名なのがハブ。体長は100~220㎝あり、出血毒を持ちます。

夜行性で樹上でも見られ4~10月頃まで活発に行動し、その後は行動が鈍っていきます。主食はネズミ。

 

ヒメハブと言われる体長が30~80㎝程の太くて短い種類のハブもいます。

これもハブと同じように出血毒を持っており、日本で最も最も太く短いヘビともいわれ、渓流のような湿度の高い場所で落ち葉の中に隠れて生息しています。

ハブのように樹に登ることはしません。主食はカエルです。

 

ナミヘビ科のアカマタは全長が80~170㎝の大型の種類のヘビで、ハブを襲って食べるともいわれるほど気性が荒いヘビです。

主食はヘビ、トカゲ、カエルなどです。

 

リュウキュウアオヘビはナミヘビ科で体長が60~95㎝、体色は灰緑色で中には2~3本の暗褐色の縦条の入ったものもいます。

昼行性で山地や平地に生息し、カエルやミミズが主食です。

 

ガラスヒバァと呼ばれるヘビは血液凝固阻止毒を持ったほっそりとしたスマートなヘビです。

体長は75~110㎝で顔面が黄色っぽいのが特徴です。田んぼなどの湿った水辺に生息し、カエルやイモリが主食です。

 

ブラーミニメクラヘビ葉全長16~22㎝程の小型のヘビでミミズとよく間違えられます。

地中性で柔らかい土の中に穴を掘って暮らしていて、シロアリが主食です。

アマミタカチホは全長が20~55㎝の腹面が黄色く、背面が暗褐色のヘビで湿った森林内に生息していると言われていますが、近年全く見られなくなっているヘビです

(ライター ナオ)

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