クワガタの中でも大顎の先端部分のギザギザがかっこいいヒラタクワガタ。
彼らの生態について知っていますか?
ヒラタクワガタの越冬方法について詳しくお話します。
ヒラタクワガタの特徴と生態
ヒラタクワガタはコウチュウ目クワガタムシ科オオクワガタ属ヒラタクワガタ亜属の1種で、25亜種に分類されるほどオオクワガタ属の中では最大の種類です。日本、インドネシア、ボルネオ島、フィリピン、マレー半島などに分布しています。
低地から山地までの広葉樹や照葉樹の森林に生息していて、日本での生息数は東日本よりも西日本にやや多い傾向にあります。
北海道には生息しておらず、本州から九州が分布域です。
湿度の高い環境を好み、河川敷や河川近くの林などに多く生息しています。
体長はオスが18.8~110㎜、メスが21~54.5㎜。
大きさには幅があるが、110㎜に達する個体はクワガタ科の中でも最大級と言えます。
体色は黒から黒褐色。オスの大アゴは太くて平べったく、根元には大きな内歯が一対とのこぎり状の小歯を持っています。
メスのお腹には黄色の毛があり、背中はツルツルとしています。
ヒラタクワガタの名前は、この平べったい体系をしていることから名づけられました。
成虫は夜行性で、広葉樹の樹液をエサとし、樹木の洞などに隠れて生活をしています。
成虫での寿命は1~3年で、南方に生息する大型亜種で昼間もオスがなわばりやメスをめぐって争っています
気性が荒く、噛む力が強いので、オスがメスを殺してしまうことも多く、飼育時には注意が必要です。
飛翔力が低いので、めったに飛ばず、生息域は広がりにくいと言われています。
メスは広葉樹の立ち枯れの土の中や倒木の下部などに産卵し、卵は約1か月で孵化します。
幼虫は朽木を食べて育ち、幼虫期間は約1年。蛹になるための蛹室を作って1か月ほどかけて蛹になり、そこから1か月経って羽化します。
羽化後もなかなか活動せず、羽化~1か月ほど経って、行動を開始することが多いのだそうです。
ヒラタクワガタの越冬
ヒラタクワガタは外気温が15℃を下回る頃から越冬に準備を始めます。
早い年だと10月頃、暖かい年だと11月半ばといったところでしょうか。
また、地域によっても差があり、ヒラタクワガタが生息していると言われる本州の最北端の青森では10月に入る頃には平均気温が15℃を下回りますが、鹿児島で平均気温が15℃を切るのは12月になってからです。
野生下では木の洞や隙間など、外気温から身を隠すようにして越冬するヒラタクワガタですが、飼育の場合は同のようにしたら良いのでしょう。
ヒラタクワガタの飼育下の越冬
常に暖かい家の中ならば、飼育しているヒラタクワガタは越冬しない場合もあります。
しかし、少しでも寿命を延ばしたい場合はしっかりと温度が下がるような場所に飼育ケースを移動し、ヒラタクワガタの活動エネルギーを低下させるようにしましょう。
暖かい場所から急激に寒い場所に移動させると危険ですので、徐々に気温が下がるような場所で飼育しているのがベストです。
飼育ケース内の環境はほだマットやきのこマットなどの水分量を少なめにして、5㎝程入れて、成虫と木片をセットします。
さらにその上に軽くマットをケースの8割まで入れ、上部に転倒防止材と餌をセットしておくだけ。
マットはあまり硬くならないように軽く押す程度に詰め、クヌギなどの広葉樹の葉を何枚か隠れ家や保温用として入れるとよいでしょう。
乾燥に弱いので、時々霧吹きなどで水分を補給することも忘れずに。
餌は目覚めた時のエネルギー補給用です。
越冬と言っても完全に活動を停止して眠り込んでいるわけではなく、あくまで活動が不活発になるだけですので、気温が高くなると動き出してきます。
そのための餌が必要というわけ。
ちなみにミヤマクワガタとノコギリクワガタは越冬しませんので、飼育の際は悪しからず。
(ライター ナオ)