白い鼻筋が特徴的なハクビシン。
動物園などで見かけることもあるこのハクビシンは、実は猫を襲うこともあると言われています。
ハクビシンの生態について詳しくお話します。
ハクビシンの特徴
ハクビシンは食肉目ジャコウネコ科ハクビシン属に分類され、その名前の通り額から花にかけて白い線があるのが特徴的です。
日本に生息する唯一のジャコウネコ科の哺乳類ですが、外来種です。
中国大陸南部を中心にマレーシアやインドネシアなどの東南アジア、インド、ネパールなどの南アジア、台湾、日本に生息しています。
日本では本州の東半分と四国に生息し、北海道でも局所的に報告されています。
体長は51~76㎝、体重は3.6~6㎏でネコのような体つきをしていて、鼻筋が長く、オスの方がメスよりも一回り大きいサイズです。
柔らかく長い体毛で全身が被われ、体色は明褐色や暗褐色で個体変異が大きいのも特徴です。
耳介や頸部、四肢は濃色や黒で体は暗い灰褐色をしています。
頭、手足、尾が黒く、尾は全体もしくは先端が黒くなっていますが、逆にボルネオ島では白い個体も報告されています。
ハクビシンの特徴の一つである白い鼻筋も個体によっては不明瞭なものもあるようです。
足の指の数は前後共に5本あり、4本のタヌキと足跡を見分けることができます。
ハクビシンの生態
低地に生息することが多いハクビシンですが、スマトラ島では標高2400m以上、ネパールでは標高2500m以上、インド北斗区部では標高2700m以上でも生息が報告されています。
木登りが得意で、樹洞、タヌキなどの動物が使いふるした巣穴などを棲みカニし、民家の床下、屋根裏などに藻棲みつきます。
夜行性で昼間はひっそりと身を隠し、電線を使って移動する姿が目撃されています。
外敵に襲われると肛門から臭いのある液を分泌して威嚇し、スカンクのような行動をとります。
食性は雑食でイチジク類、カキ、ナシ、バナナ、マンゴー、ミカンなどの果実、小動物、昆虫などを食べ、植物食中心の雑食性で果実、種子、小動物、鳥、鳥の卵なども食べます。
中でも果実を好む傾向にあり、熟した果実や野菜などを見つけると毎晩同じ道をたどって侵入し、獣道が作られることもあります。
出産は年に1回、夏から秋にかけて多く、妊娠期間は2ヶ月ほど。
2~3頭を出産します。子供を産む年齢は生後10か月以降で飼育個体の最高年齢は24歳と報告されています。
母子を中心とした家族生活を送り、10~20頭程度の複数の家族による共同体的な群れを作ると考えられています。
ハクビシンの飼育
日本では近年ハクビシンの捕獲報告が年々増えており、人の目に触れることも多くなっています。
しかし鳥獣保護法という日本の法律により、基本的には飼育をしてはいけないことになっていて、怪我や病気をした場合や特別な理由がある場合のみ、役所へ申請をして飼うことになりますが、許可が下りるのはほとんど例がないそうです。
病気の媒介をするハクビシン?
また、ハクビシンはSARSという感染症を媒介するとも言われています。
SARAは2002年から2003年にかけて中国の広東省を発端に世界で大流行した新型肺炎です。
コロナウィルスという非常に感染力の高いウィルスによって発症する死亡率の高いとても恐ろしい病気で、感染した人のくしゃみや咳などからウィルスをもらうことで感染してしまうと言われています。
感染すると約2~10日の潜伏期間があり、咳や高熱、呼吸困難などの酷い症状が表れます。
かつて大流行した時、ハクビシンの糞からコロナウィルスとよく似た遺伝子配列のウィルスが発見され、感染源はハクビシンではないかという噂が立ちました。
しかし、のちの実験で結局は遺伝子の配列の違いが確認され、現在では野生動物を扱う業者のずさんな衛生管理がSARSの直接的な原因だったのではないかと言われています。
(ライター ナオ)