皆さんは「ヤク」という動物を知っていますか?
ちょっと名前からはどんな動物なのか想像がつかないですよね。
しかしじつは、あの有名なアニメにも登場する動物なんです!
今回はそんなヤクについて詳しく見ていきましょう。
ヤクってどんな動物?
ヤクはインド、中国、パキスタンなどに生息しているウシの仲間です。
体長は2~3m(体高1.5~2m)、体重は300kg~1t。
最大90㎝以上にもなる大きな角を持ち、足元まである長く黒い体毛が特徴です。
日本にいるような乳牛はなんだかボーっとしたゆるい雰囲気がありますが、ヤクは段違いに風格がありますね。
鳴き声も普通の牛とは違って、「モーモー」ではなく「ブーブー」と低く唸るような声を出すそうです。
生息地は標高4000~6000mの高山地帯であり、基本的には万年雪のあるような寒い地域の生き物です。
黒く長い毛は、体温を少しでも逃がさないために発達。
高地という厳しい環境の中で暮らすため、同じサイズの牛に比べると心臓や肺が格段に大きく作られています。
普段の生活が高地トレーニング…彼らが低地に下りてきたら、ものすごい身体能力を発揮しそうですね。
ヤクは全世界で約1400万頭いると言われていますが、その大部分が家畜。
野生種は数千頭にまで数を減らしているとも言われており、国によっては保護の対象となっています。
ヤクと人間との関係
日本では限られた動物園などでしかヤクを見かけることがありませんが、じつは日本人なら誰でも知っているあのアニメに登場しているんです!
それがジブリアニメの「天空の城ラピュタ」。
ヒロインであるシータが初めて黒服たちと接触する回想シーンで、シータは飼っているヤクと一緒に登場します。
また、パズーの「シータの生まれた谷やヤクたちを見てみたい(簡略)」と言ったセリフも。
あんな大きなヤクを、女の子一人で世話していたなんてすごすぎる…。
今まで特に意識して見たことがなかった人は、ぜひそんなシーンやセリフにも注目してみてください。
シータがヤクを飼っていたように、ヤクは古くから家畜として人間と深く関わってきました。
その歴史は2000年以上も前にさかのぼり、食肉として、乳牛として、荷運びや乗用として、そして毛皮として…とても重要な役割を担っています。
長い体毛は衣類やロープなどとして利用することもでき、さらには糞までも乾かすことで燃料として使うことが可能。
家畜として申し分ないポテンシャルを持っていますね。
ちなみに、肉の味は脂肪分が控えめながらとても美味しいそうです。
カシミアレベルの高級繊維
高級な繊維と言えば「カシミア」を思い浮かべる人が多いかと思いますが、ヤクの毛もカシミアと肩を並べる高級繊維なんです。
保温性は抜群で、シワになりにくく摩擦にも強いのでとても丈夫。
そして蒸れにくく抜群の着心地なのに加えて、わずかに光沢のあるきめ細かな繊維は肌触りも折り紙付き。
でもなんで、そんなハイスペックな繊維が今まであまり話題にならなかったのか、不思議ではありませんか?
それは、一頭のヤクから採れる毛は、わずか300gほどととても少量だからなんです。
あんなに大きくて毛がモサモサしているのに、たったの300g!
じつは表面を覆っている長い毛は、繊維としては使われません。
使われるのは内側に生えているわずかな産毛のみで、とても希少価値の高いものなんです。
そりゃそうそう大量生産できませんよね…。
ヤクについてのまとめ
気候や環境的に日本で家畜化するのは難しそうですが、いつか山岳地帯を悠然と動くヤクの群れを見てみたいですね。
そしてできるなら、あのモサモサとした毛に触ってみたい…!
日本でも一部の動物園などでは見られるようなので(触れるかどうかはわかりません)、気になる人はぜひ見に行ってみてください。
(ライター もんぷち)