リスザルはサルでありながら既に宇宙旅行を経験しています。

時は1958年12月13日「gord」と名付けられた一匹のリスザルがロケットに乗せられ宇宙へ飛び立ちました。

 

ケースに入れられたリスザルは顔が丸く、可愛らしい印象の小ぶりのサルに見えます。

この記事を読んでいる方の中で宇宙旅行を経験している、という人は稀だと思います。

宇宙へ行った最初のサルとしても知られるリスザルの飼育は何に気をつければよいのでしょうか?

リスザルの特徴や生態

日本で「リスザル」という場合、多くはコモンリスザル(saimiri sciureus)のことをさすようです。

コモン(common)というのは英語ですが、日本におけるコモンの使われ方は一般的な、主になどという意味のようですので、日本において見かけることがあるリスザル、というような意味合いです。リスザルの英名はsquirrel monkey、common squirrel monkeyなどです。

最近はよく似ているボリビアリスザルも国内の動物園で飼育されています。

彼らの生息地は南米のアマゾン川流域の盆地のような地形の雨季と乾季がある地域です。

ベネスエラやコロンビアの一部など、水辺を好むようです。

リスザルは群れをつくり、木の実、小型のカエル、昆虫、果実などを食べる肉食傾向のある雑食性です。

 

大人の個体で体長は30cmほど、背高は30cmほど、体重は700gから1キロ程度です。

尾が体より長く、40cmはあります。

頭部と尾の先は黒く、顔は白で全体的に毛が短く、口の周りはカールおじさんのように黒くなっています。

 

手足は明るい茶系のようで、手と足は両方とも人間の手のように指が長く、平たいツメがついています。

その手足で木の枝をつたい、移動します。群れ同士が食べ物を争う事はあまりなく、すみわけをしているようです。

 

リスザルの繁殖期は乾季である9月~11月にかけてです。

雨季がくるまでに出産するようで、妊娠期間は160日~180日ほどとされます。

生まれた子は100g程度でメスの背中に乗るなどして育てられます。

一年ほどで独立し、寿命は長く、10~20年ほどです。

リスザルの飼育に必要なもの

リスザルを飼育する際にあたり一番重要と考えられるのは「勇気」「根気」「お金」です。リスザルは確かに可愛らしいサルです。

特にリスザルの赤子が母サルの背にぴったりとくっついている様子は愛らしく、テレビなどでも時折放送されます。

その容姿につられてうっかり飼育してしまうと大変です。

飼育に必要な主なものは以下の通りです。

大きめのケージ

リスザルは活発な動物です。動き回る事ができないとストレスになるので、大型の鳥用などのケージを用意します。

大きさは高さ1m~1,5mは必要です。

赤外線ライト

日当たりが良い場所以外にケージを設置する場合は必要です。室温は25度程度が良いようです。

水入れ

ケージの網目などを利用して、取り付け型のものだと便利です。

リスザルは遊べないと機嫌が悪くなります。機嫌が悪いリスザルは、ツンケンしており可愛げがありません。

 

その為、思いっきり遊べるように一部屋をリスザルの部屋にしてしまうか、パーティションのようなもので区切って飼育する事も考えられます。

 

そうすればリスザルが好きな日光浴も容易にでき、運動不足にもなりません。

どうしてもリスザルを飼育したい場合、家をリフォームしてしまう、という事も考えらえます。

そうしないと飼育は不可能なわけではありませんが、リスザルを飼育する事は難しいのです。

ケージの大きさについて

サル用のケージというのはあまり出回っていないように見えますが、基本的にサルが立って頭がつかないくらいの大きさが適当なようです。

リスザルは立ちませんが、樹の上での生活が主なサルです。

止まり木にしがみついても40cm程の尾が床につかないようなものが望ましいようです。

リスザルの飼育の大変な点など

リスザルはトイレを覚えられません。排便の度に逐一ケージに敷いた新聞紙などを取り替えないと病気の要因にもなります。

ビニール手袋などをし、消毒しましょう。

 

一日に一度はケージ内を綺麗に清掃します。リスザルはトイレのみならず、しつけをする事が困難です。

昼間にたくさん遊んであげないと、退屈してしまいます。

 

動きは俊敏であり、万が一脱走してしまうと捕まえる事は困難です。

また、リスザルの飼育における最大の難関は、触れるととても嫌がる事です。

 

餌は市販のサル用のものでも良いのですが、気に入らない相手があげると食べません。

なるべく手から直接あげます。エサは一日2回です。

リスザルの好き嫌い

リスザルは人間に対して感情をもつようである、といわれます。

以前、動物園でリスザルの赤ちゃんと目が合った事があります。

 

日常においてどうしたらよいのか分からなくなる瞬間はふいに訪れるものですが、リスザルの赤ちゃんと目が合ってしまった時というのもその瞬間のひとつともいえるかも知れません。

 

リスザルの赤ちゃんは大きい目でこちらを見つめていたかと思うとヒョイと後ろを向き、お尻を向けて水っぽい便をしました。

それから、またこちらを見ながらへへん、といたずらっぽい顔になり、尻尾をちょっと振りながら素早く去りました。

 

私は頭は良くないほうですが、一瞬にしてリスザルの赤ちゃんにからかっても良い対象として認識されたらしい事は、それなりに衝撃でもありました。

これはあくまでリスザルの表情の豊かさを表す些末な一例ですが、リスザルはある面において人間より賢く、飼育する際にも手なずけるのは至難の技です。

人の好き嫌いがありますので、飼育し始めてから嫌われている事に気付くと大変です。

リスザルの飼育について

個体数や具体的な地区は明らかではありませんが、リスザルは伊豆半島付近で目撃例があるようで、国立環境研究所による侵入生物データベースに載っています。

外来生物法によると「要注意外来生物」になっており、主に感染症予防の為にペットとして輸入する事は禁止されています。

 

可愛らしい動物にもいろいろ事情がありますので、飼育の際はこれからはリスザルと生涯を共にするのだ、というような強固な決意が必要なようです。

多くの動物園で飼育されていますから、一度リスザルたちの様子を眺めてみると彼らの性格がよく分かるでしょう。

(ライター:おもち)