地球には生態系というシステムがあり、ミミズはその中でも底辺にいる下等生物とされることもあります。

ミミズはやや湿った土の中にいることが多い気がしますが、ミミズがいる土は良い土なのでしょうか?

ミミズについて

ミミズは環形動物門貧毛網に属する生物です。

ミミズは虫ではなく、幼虫のような姿ですが幼虫でもありません。

世界中には4000種ものミミズが生息しており、種類を特定するのは難しいため、新種のミミズが発見されることもあります。

日本国内では、主に陸の土の中に棲むナカミミズ目のツリミミズ科やフトミミズ科などがほぼ全国的にいるミミズのようです。

体長は1mm~5mm程度が普通サイズとされ、ミミズの寿命はだいたい1年とされています。

 

雨あがりの道路の真ん中、陽炎揺らめく真昼間にミミズが出てきて驚いたことがある人もいるかもしれません。

陸生のミミズは大抵土の中にいますが、あまりに気温が上がると土の温度も上がり皮膚の薄いミミズは耐えきれずに土の中から這い出てしまいます。

 

また、水の多すぎる土も皮膚呼吸がうまくできなくなってしまいます。ミミズは湿った土の中を好みますが、中には淡水や沼地などに棲むものもいます。

また、ミミズのような姿の生物は海の中にもいます。

ミミズの身体的特徴

ミミズの円筒型の細長い体には、頭と肛門があります。ミミズには目も骨も翅も呼吸器官すらありません。

体内には砂嚢という器官があり、エサとなる微生物が含まれる土をそのまま飲み込みます。

 

ミミズの血管はとてもよくできているようで、明らかにケガをしやすそうな体ですが、傷の治りが早いようです。

分類上貧毛網にいますが、ミミズには硬い毛が生えています。

 

ミミズの体節は100くらいはあるそうですが、その分かれ目あたりに剛毛が生えており、それを使って土の中や上、アスファルトの上を移動しているのです。

ミミズの毛は目視では見えにくく、ふさふさとした体毛ではありません。

ミミズの移動や捕食について

ミミズの移動方法は幾つかあります。ミミズはその剛毛を使い、地面などにひっかけるようにして移動します。

また、ミミズは体節に圧をかけ節を柔らかくしたり硬くしたりを繰り返して前進しているともされています。

土の中を掘る時も意外に力強く進みます。同時にエサである土をも体内に入れ土を肛門から排泄しながら進んでいることもあるようです。

掘削中もエネルギー切れすることはありません。

ミミズの生活

ミミズは雌雄同体です。フトミミズ科のフツウミミズは、精子を交換し秋頃に土の中に産卵します。

そのまま冬を越し、春先になると孵化します。幼体も同じようにミミズの姿をしています。夏には成体になります。

その後交尾を行い、死亡します。陸生のミミズは土の中に巣穴をつくり、夕暮れ後に出てきます。

 

ミミズが多く見られるのは、春先や梅雨時期、秋頃などです。

また、水はけのよくない土地に出ることが多く、多量になるとミミズの糞による害が発生します。

ミミズの糞やミミズ自体は直接的な害はありませんが、糞が多量になると「糞塚」などといわれます。

ミミズと土

土壌分解者というのはよく聞かれる言葉です。

我々が住む地球には生態系という仕組みが働いています。

 

生産する者が植物、それを捕食するなどして消費する者は陸生の動物や海に生息する魚類など、それらの死骸を分解するのが菌類などです。

環境として、太陽光、酸素、雨水などの存在もあります。土の上で暮らしている生物にとっては特に土壌生態系が重要です。

 

ミミズはその中できわめて重要な役割を果たし続けています。日本の土壌中にも生息しているツリミミズ目のシマミミズたちは、炭水化物などを大量に摂取しています。

そのため、体内に強力な加水分解酵素をもつのではないかといわれています。

 

ミミズの体は数ミリ程度ですが、土中の微生物を捕食し分解するパワーは生きているブルドーザーばりに強力なようです。

一匹のミミズが排泄する糞の量は1日に体重の半分ほどともいわれます。捕食する土は更に多く、自分の体重と同じくらいの量だそうです。

古代ギリシアの土の中にもミミズはいたらしく、かの高名なアリストテレスは「ミミズは大地のはらわたである」と著書の『動物誌』に記したとされます。

ミミズの具体的な役割

ミミズは土の中を掘るため、土中に程よい空間ができ、通気性のよい土壌ができます。

降雨量が多い時には水分を排出することもできます。ミミズが出す糞は粒状になっており、それを含む層は団粒構造といわれています。

ミミズの糞中にはリン、チッソなども豊富に含まれ、生産者である植物の栄養になります。

 

土の中には微生物がたくさんいます。微生物は土壌有機物を分解していますが、土に生きる生物のダンゴムシやミミズなどもそのような役割に貢献しています。

ミミズの糞に含まれる水や窒素などは微生物たちのエサになっています。

 

土壌有機物には多様なものが含まれているようですが、主として植物の根や葉の腐植物などです。

微生物の働きがなければ、土には落ち葉や枯れ木が溜まり腐植が進み、土の質が落ちてしまいます。

一般的にはミミズがいる土は良い土、ということになりそうです。

ミミズの働き

ミミズというのは着目されにくい生物のひとつです。

しかしながらミミズがいないと人間の生活は成り立たないかも?と思ってしまうほど、ミミズの功績は大きいようです。

(ライター:おもち)