スネール(snail)は、主に熱帯魚の飼育に用いられるアクアリウム内に発生する小さい巻貝たちの呼称です。
飼ったつもりもないのに貝のようなものが水槽のガラス内にへばりついていたら、それは恐らくスネールです。さて、どうしたものでしょう?
スネールの種類
スネールは水槽内の招かれざる客である、という形容があるように飼っていないのに水槽に侵入する貝類がスネールです。
卵生であり、環境が整えば繁殖力を発揮してしまい、美観を損ねるという問題が生じます。
スネールはたいてい最初からごく小さな卵の状態で水槽内にいることが多いです。
そんなはずはない、と思いますがそのまま気付かずに飼育を始めると水草などにくっついたスネールの卵が孵化してしまう、ということがあります。
そのため、飼育していないのに魚の数より貝の方が多い、という状況になることもあるようです。
スネールがもたらす害は、アクアリウム内の美観を損ねる害です。
サカマキガイ
黒めの巻貝です。左巻きです。
単為生殖が可能なものもいるので数が多くなると発生しやすいようです。
モノアラガイ
右巻きの殻の貝です。ベージュ系で成長すると2cmほどになります。
雌雄同体ですが、交尾を行うこともあります。繁殖期は5,6月頃のようです。
カワコザラガイ
2mm程度の貝類です。
これら以外にもスネールの種類はいます。小さい貝のため、数が多くならないと気づきにくいこともあります。
スネールが増える原因
スネールは貝ですから、繁殖のためにはカルシウムが必要です。
スネールの繁殖に適した水質は、高炭酸水素イオン(KH)の状態です。
だいたいKHが5.0dh以上、PHが7.8以上になるとスネールたちが増殖しやすい水質になる可能性が高いようです。
このKHをなぜ気にするのかという事ですが、その数値が高ければイコールその水はアルカリ性である、ということにはなりません。
KHの数値からわかることは、含まれている炭酸水素イオンの量です。
水中のカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンと結合し水質が変化しやすい状態を示している、というようなことであるようです。
スネールたちは殻の生成及び成長に必要なカルシウム類が多いアルカリ性の水質の場合、繁殖してしまいます。
反対に、酸性に傾くと殻の生成は進みません。
スネールの駆除
増えてしまったスネールを取り除く方法は、ひとつひとつつまんで取り除くことです。
直接手でつまんで潰しても人間に害はありません。数が多くない場合のスネールの駆除は原始的な方法が一番確実です。
スネールの利点と水質管理
スネールが水槽内にいることは良いことだともいわれます。
理由は、水槽内に発生する苔を取り除き飼育している魚の糞やエサの食べ残しなどを食べ、水質改善に役立っている場合があるからです。
このような状態の水槽の水質は、弱酸性であり低硬度の状態を保っており中性に近い水質だと考えられます。
熱帯魚等を飼育するアクアリウム内の水質は、その魚たちの生育環境に合わせたものになってします。
それをキープするのが飼育者に求められるひとつの技量です。それができないと、綺麗なアクアリウムを維持し、鑑賞することは難しくなってしまいます。
飼いはじめは、多くの場合その魚たちの生育に適した弱酸性で低硬度の水質に保たれているはずです。
現在出回っているアクアリウム内で飼育する魚たちの多くは、南米産の種が多くそれらに適した水質が弱酸性・低硬度だからです。PHは6.2~6.8程度です。
水質の管理は難しく、ちょっとしたことで揺らぐものです。水質の管理に便利なのはPHメーターです。
ろ過機やフィルターなどを入れていても、水の中の生物は水質の変化には敏感です。
水質を適度に保っていれば、熱帯魚の健康にも良くスネ―ルの繁殖も防ぐことができます。KHメーターもあると便利かもしれません。
水質を酸性にすればスネールの繁殖を防ぐとして、ピートモスや流木などを途中から入れる方法もありますが、水生生物は水質の変化に敏感ですから肝心の熱帯魚の様子をみてからの方が良いかもしれません。
スネールを防ぐ
スネールの発生を防ぐために、飼育前から貝類を食べる水生生物を飼ってみる、という方法もあります。
有効と考えられる生物にオトシンクルス、アノマロクロミス・トーマシ、ヌマエビ類などがいます。
オトシンクルスは南米産の小さな魚です。成長すると4,5cmになります。
オトシンクルスはスネールが卵の状態のときに食べるようですが卵の数が多くないと捕食しないこともあるようです。
アノマロクロミス・トーマシは食欲旺盛な熱帯魚です。しかし、ヌマエビやフィリンプなどの小さい甲殻類の一種も食べてしまいます。
状態によって選んでみるとよいかもしれません。
また、底に敷く石や砂利ですが、多すぎるとカルシウムを増やしてしまう可能性があります。
スネールと水質
スネールは、アクアリウム内の水質が弱酸性・低硬度であれば爆発的に増えることはありません。
また、爆発的に増殖しない限り害はありません。
スネールが繁殖する状態だと、水槽の中の水草が枯れていることもあるため、水槽内の水草などがよくないのではないかと思ってしまいそうですが、実際の原因は水質の悪化です。
水の性質はこまかな要因で変わりやすく水生生物はデリケートなので、適した水質を保つといいようです。
(ライター:おもち)