自然界において強い存在として知られるライオンには天敵が少ないです。
狩りの標的を大型動物としたとき返り討ちに遭い致命傷を負ってしまうことはありますが、ライオンの場合死因のほとんどは人間によるものかライオン同士の争いによるものです。
さらに百獣の王と言っても子供のときにはやはり危険は多く、他の動物からも狙われやすいです。
ここまではどの動物の子供にもあることですが、ライオンの子供にはさらに別の危険があります。
ライオンの社会性
野生のライオンは多くの場合群れをなして生活しています。
その構成はオス1頭から3頭であるのに対してメスは5頭以上であることが多いです。
基本的に狩りはメスが集団で行います。
オスは狩りに毎度出るわけではありませんが、大型の動物を襲うときなど場合によっては出動するようです。
しかしオスの主な役割は他にあり、それは群れを守ることです。特にオスにとって最大の敵は同種であるライオンなのです。
オスライオンは群れを率いて生活しようとしますが放浪し単独で行動するオスも多く存在します。
そのオスたちは群れにいるボスライオンを倒すことで群れを乗っ取ることができます。
逆に言えば群れを率いることができでも別のオスライオンから狙われる可能性があり、結局オスは狩りに出ない代わりに最も強い敵と闘わなければならないのです。
子供がオスライオンに殺される
生態系の上位に立つライオンでも生まれて間もない幼獣はか弱いです。
メスライオンは他の動物に見つかりにくい場所で出産することになりますが、しばらくの間幼獣は自由に走り回ることもできず目もほとんど見えていません。
そのためできるだけ幼獣から離れず狩りをします。
しかし様々な動物から標的にされているため度々場所を変えることになります。
さらに狩りが常に上手くいくとも限らず満足な食事をすることができないかもしれません。
複数体の子供がいることもあり得るでしょう。そうすると餓死してしまう可能性も上がってきます。
実際2歳までにほとんどの子供が死んでしまうほど生き残るのは難しいのです。
外敵からの襲撃と飢餓に加えてもう一つ重要な死因があります。
他の動物から狙われる場合ではその動物自身もリスクが高くメスライオンによって阻止される可能性も高いですが、メスライオンでも止められないのがオスライオンです。
なんとオスライオンは子供を殺すことがあります。無差別に殺すのではなく、オス同士の争いによって群れを奪った場合そこには自分の遺伝子を継いでいない子供がいることもありオスはこれを嫌います。
自分の子孫を残そうとする生物本来の習性によって、子供殺しを行い子供を失ったメスに再び発情を起こすことが必要なのです。
力の大きく劣る子供は為すすべがありません。メスも抵抗することがありますがオスと比べて体が小さく力では適いません。
複数のメスが団結した場合には防げることもありますが、こうしたオスによる子供殺しは度々行われライオンの生存率を下げる要因にもなっています。
ライオンの子供は生き残るのが大変
ライオンが成熟するには3年ほどかかります。生後3か月ほどすると狩りに加わるようになり1年や2年をかけてようやく1人前になります。
そこまで生き残るには親であるオスライオンや群れにいるオスライオンに頑張ってもらう必要があります。
群れの親が弱いと他の動物に襲われることや十分な食事ができません。
さらに恐ろしいのはオス同士の決闘に自分の命もかかっているということです。
ライオンはこうした厳しい環境に身を置き、常に弱者が排除されていく社会性があるために強さの象徴とされるような屈強さを持っているのかもしれません。
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