秋になるとほっこりと美味しいスイーツや栗ご飯などで私たちを楽しませてくれる栗。
ゆでたての栗を剥くと、中に茹で上がった幼虫がいた!なんていう経験をしたことはありませんか?
あの幼虫は一体どんな成虫になるのでしょう?
栗の実の中や、栗の木につく虫についてまとめてみました。
栗の実の中にいる幼虫〈クリシギゾウムシ〉
栗の中に潜んでいる白い幼虫の一種類目はクリシギゾウムシの幼虫です。
クリシギゾウムシは灰黄色で茶色の不規則な斑紋を持つ、体長9㎜程度の長い触角と口吻をもった昆虫です。
9~10月中に口吻でクリの渋皮と栗自体の皮の間にとても小さな穴をあけ、産卵します。
一つの実に対して1個の卵を産卵し、10月上旬くらいには孵化した幼虫が栗の実を食べて生長します。
幼虫になってから、栗の実の中にいる期間は約2週間程度。その後は栗の皮に穴を開けて脱出します。
その後、幼虫は土の中で冬を過ごし、2~3年後に成虫となります。
私たちは幼虫が食い荒らした後の実や、まだ出ていく前の実を手にしてしまうということです。
栗の実の中にいる幼虫〈クリミガ〉
クリミガは栗の害虫として有名なヒメハマキの一種です。
前翅は灰白色~暗色の斑紋があり、前翅外縁付近は黒色の紋があります。
8~9月にかけて羽化した後すぐに栗の葉などに産卵し、孵化した後の幼虫はすぐに栗の実の中に入り込んで内部から身を食べ、10月下旬ころになるとに終齢幼虫になって実から脱出します。
その後、落ち葉の下や土中の浅い部分で越冬して翌年の8月下旬に羽化、活動します。
クリミガの幼虫はクリシギゾウムシと違って幼虫が自ら栗の皮を食い破って中に入り込み、出てくるので脱出孔は小さく不整形。
場所も鬼皮と底部分の境目あたりに穴を開ける特徴があるようです。
モモノゴマダラノメイガ
モモノゴマダラノメイガは北海道から沖縄に分布する開張時が21~27㎜程になるガの一種で、5~9月に出現します。
淡黄色地にたくさんの黒色の小斑紋が散りばめられた翅を持ち、胸部や腹部にも斑紋があります。
灯火によく飛来し、幼虫はかんきつ類、モモ、クリ、ビワ、カキなどを食害します。
成虫が栗に産卵する場合、栗球果の棘の基部に行い、卵殻孵化した幼虫は棘を綴ってその基部を外から食害するか、食入して棘を枯死させます。
この加害により、栗球果は部分的に変色してしまいます。
食入した穴からは糞を排出しますが、老齢幼虫になる頃には食害量も多く、排糞量もとても多くなり、厄介な栗の害虫として駆除の対象となっています。
そのほかの栗につく虫
果実を食害する虫だけでなく、栗の木や葉につく虫は他にもたくさんいます。
オオワラジカイガラムシはワタフキカイガラムシ科に分類され、体長はオスが5㎜前後、メスが8~12㎜程のわらじ型をした白粉で覆われてカイガラムシです。
アリ類と共生関係にあり、甘露を出してアリに与える代わりにテントウムシなどの天敵からアリを守ります。
オオミノガの幼虫は栗などの多くの広葉樹の葉を食べて育ちます。成虫の姿よりも幼虫の作る巣がミノムシとして馴染みが深い蛾です。
他にもイラが、アオイラガなどの蛾の幼虫やヨモギエダシャク、トビモンオオエダシャク、ヤマダカレハなど、またオオミズアオやヤママユ、ウスタビガ、クスサン、ヒメヤママユ、ギンシャチホコ、シャチホコガ、ドクガ、マイマイガ、カシワマイマイ、ヒメシロモンドクガ、モンシロドクガの幼虫は葉を食害します。
コイチャコガネ、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ、マメコガネ、ゴマダラカミキリ、シロスジカミキリ、ミヤマカミキリなどの成虫が葉や樹皮や樹液を食べによってきます。
(ライター ナオ)