ムカシトカゲという名前のトカゲを知っていますか。
名前の通り原始の形を残した変わったトカゲ、ムカシトカゲについて詳しくご紹介します。
ムカシトカゲの特徴
ムカシトカゲはムカシトカゲ目ムカシトカゲ科ムカシトカゲ属に分類されるニュージーランドの限られた地域に生息する原始的な形質を残したままの爬虫類。
両眼は別々に調整することができ、昼夜とも視覚を得るために2種類の視細胞を含む二重網膜を発達させていて、夜間の視覚のための光を反射させる輝板を持っています。
瞳孔はネコのような縦型で第3の瞼である瞬膜を持っています。
第3の眼は頭蓋の頂点にあり、本来の眼とよく似た構造を備えていますが外部から確認できるのは孵化したてだけ。4~6か月たつと色素を持った不透明な鱗で覆われてしまいます。
この第3の眼の重要な役割としては、体温調節をしているという説が有力ですが、はっきりとしたことはわかっていません。
聴覚はとても原始的で、鼓膜を持たず、低周波の身に反応します。
100~800Hzの音に反応し、官能のピークは40㏈・200Hzであると言われています。
ムカシトカゲの生態
ムカシトカゲはしばしば体温を上昇させるために日光浴をしますが、基本的に地上性・夜行性です。
それに対して幼体は樹上性・昼行性ですが、その理由はおそらく成体が幼体を捕食するからだろうと言われています。
餌は昆虫を始め、地上性無脊椎動物などで、海鳥の雛や卵、小型の爬虫類なども食べます。
森林下層や海岸部に巣穴を掘って生息していますが、海岸部では海鳥の巣に住み着いていることも多いようです。
ムカシトカゲの特徴的な生態として多くの爬虫類の耐寒を遥かに超えていることが挙げられます。
気温が5~10℃でも活動し、それより寒くなると冬眠します。
彼らは7℃までは通常の活動性を維持することができ、適温は16~21℃。28℃を超えると死んでしまいます。
普段から体温が低く、通常のトカゲ類がおよそ20℃位の体温なのに対し、ムカシトカゲは5.2~11.2℃の範囲。
繁殖サイクルはとても緩慢で、性成熟には少なくとも10年かかると言われています。
メスの交配と産卵は4年に1度で、交配は夏に行われます。
オスは求愛中、皮膚を暗色化させ、背中の棘を逆立てた勇ましい姿でメスに向かって行進します。
オスはゆっくりと体を上下させながらメスの周りに円を描きます。
もしメスが求婚者を受け入れるなら、メスは頭を上下に振ります。
オスは交接器を持たないので、交尾は排泄物が出される腔と同じ場所で行われます。
受精から約10ヵ月程達人メスは地面に深さ20㎝、直径50㎝程の穴を掘り、柔らかい羊皮紙状の殻を持つ卵を8~14個ほど産卵して埋めます。
卵は水分を外の土壌から吸収し、12~15か月ほどで孵化します。
幼体の吻端には卵殻を突き破るための卵角があります。
幼体の頭胴長さは54㎜ほどで、孵化した幼体の性別は卵の温度によって決まります。
高温だとオスが、低温だとメスが生まれ、21℃では雌雄日は半々、22度では80%がオスになり、更に20℃では80%が、18℃ではほぼ100%がメスになると言われています。
前は虫類の中でも最も成長が遅く、35歳くらいまでは生長を続け、寿命は100年以上ともいわれています。
絶滅危惧種のムカシトカゲ
1895年以降絶滅危惧種に指定されているムカシトカゲは生息地の減少や農業、イタチ類やネズミなどの移入種によって危険にさらされています。
ニュージーランドにおいて、残された個体群は哺乳類がいない沖合の32ノ島々に限られています。
イギリスのチェスタ―動物園やアメリカのサンディエゴ動物園、セントルイス動物園、ニュージーランドのネイチャーランド動物園ではムカシトカゲを見ることができます。
(ライター ナオ)