ツチイナゴの生態についてご存知でしょうか?
他のバッタ類とはちょっと違ったツチイナゴの生態をご紹介します。
ツチイナゴの特徴
ツチイナゴはバッタ目イナゴ科に分類されるバッタの1種です。
独特の模様がある褐色、黄褐色のバッタで、成虫の体長は雄が5㎝、メスが6㎝程です。
体型や大きさはトノサマバッタやクルマバッタに似ていますが、全身が褐色で細かい毛が生えています。
背中には黄白色の線が頭部から尾部まで走っていて、複眼の下に黒い線、胸部の側面にも黒色の縦縞が入ります。
ツチイナゴの生態
日本では本州、四国、九州、南西諸島に分布し、日本以外では中国、インドまで広く分布しています。
バッタ類の多くはイネ科やカヤツリグサ科の植物がまばらに生えた草原を好みますが、ツチイナゴはクズやカナムグラなどの生い茂った草丈の高い草原に多く生息します。
余り飛ぶことはせず、跳んだり跳ねたりすることが多いのが特徴。
通常日本のバッタ類は秋に交尾、産卵をして冬は卵の状態で越冬するのが一般的ですが、ツチイナゴの場合は10月頃に成虫が現れ、冬は成虫のまま草原の枯草の下などで越冬します。春になると再び活動し、6月頃までは成虫の姿が見られ、この時期に交尾、産卵をします。
つまり、他のバッタ類と比べると丁度半年分サイクルが逆転していることになるのです。
冬に成虫で越冬する昆虫
冬に成虫の状態で越冬する昆虫はそれほど珍しいものではありませんが、直翅目の昆虫の中では、クビキリギス、シブイロカヤキリ等が有名です。
他には多くのオサムシ類やシデムシ類、カメムシ類、エンマコガネ類、センチコガネ類などの糞虫、一部のカミキリムシ類やハナムグリ類、鱗翅類、等が挙げられます。
彼らの多くは越冬する時に、代謝を抑え、生理的な活動を最小限に抑えて冬眠するという方法をとるのですが、ツチイナゴの場合はそういうわけではないようです。
ツチイナゴの冬眠はなるべく日当たりが良く、暖かい環境で行われます。
また、暖かい日には活動し、わずかながら摂餌をすることもあるそうです。
ですから、北海道や東北地方のような終日凍結するような環境では越冬できないのです。
このような場合、越冬に不向きな環境では時々飛んで移動することもあるようです。
ツチイナゴの種類
ツチイナゴの近縁種に軟性諸島以南に分布するツチイナゴよりも大型で体毛の少ない種類がいます。
雌の大きさは大きいものでは8㎝にも並び、ショウリョウバッタと並ぶ日本最大のバッタと言われています。
ツチイナゴは食べられる?
イナゴやバッタは昔から佃煮などにして食用とされてきた歴史があります。
ツチイナゴも他のイナゴと同様に食べることはできるのでしょうか?
結論から言ってしまえば、ツチイナゴは「はずれ」です。
クルマバッタや他のバッタに比べて味がとても大味なのだそう。特にまずくて食べられない、というわけではないのでもちろん食用は可能。
しかし、出来るなら他のイナゴやバッタを捕まえた方が良さそう・・・という程度。
それでも興味のある人はぜひチャレンジを!!
ツチイナゴの飼育
ツチイナゴは飼育ケースの中でも比較的簡単に越冬させることが出来るようです。
越冬ですから、基本的には外にケースを置きます。
ケースの中には少量の葉だけ入れておけば、気温の高い日にはゆっくりと葉を食べていることもあります。
ポイントは時々霧吹きなどで水をやり、乾燥させ過ぎないようにすること。
寒い地域では決して凍らせないようにすること。
そして、直射日光があたらないようにすること。
以上の3つです。
越冬の様子を観察したい人はぜひ試してみてください。
(ライター ナオ)