タニシの飼育は簡単です。条件さえそろえば簡単に増えます。

タニシとは

タニシとはタニシ科の淡水に生息する腹足類の総称です。

水田の水底などに生息しています。

腹足類というのは、体が柔らかい軟体動物の一種で脚のかわりに腹部で歩きます。

 

現代の日本でみられるタニシはヒメタニシという3.5cmほどのタニシが多いようです。

ヒメタニシは水質の汚染に他のタニシより強く、飼育しやすいそうです。ヒメタニシの繁殖期は6月から7月で、タニシのメスは卵を体内で孵化させ出産する卵胎生です。

卵胎生は、卵ではなく稚貝を産むタイプの出産です。タニシには最初から貝がついています。

 

ヒメタニシの稚貝は、2,3mmくらいの薄い色の貝です。

ヒメタニシのオスの触角は片方が丸まっていますが、これが生殖器です。

メスの触角は2本とも伸びています。タニシの貝の色は、濃いグレーのような色であることが多いです。

タニシの飼育

用意するものは、水槽、水、タニシ、あれば水草や砂などです。

水槽は一番小さな30cmくらいのものでよいです。水は水道水でも構いません。

 

カルキ抜きができればそれをしますが、タニシは丈夫な生物です。

水換えもあまり必要ありません。肝心のタニシですが、タニシはジャンボタニシや他の貝類と間違えやすいので、タニシに精通している人以外は購入する方が無難です。

タニシの貝は右巻きです。上に触角や丸い口があります。口は苔などをこそげとることができるように、縦5列ほど歯のようなものが並んでいます。

タニシの注意点

タニシの飼育は驚くほど簡単です。

ただし、タニシを増やしたい場合はタニシの交尾と生まれてくる小さいタニシの生育が重要です。

 

タニシは成熟したオスとメスがいないと、出産に至りませんから、貝を食べるような肉食の魚とは一緒に飼育しないようにします。

おすすめはやはりメダカです。うまくいけば、ものすごくうまくいきます。

タニシは苔やプランクトン、水底のなかの有機物のほか、魚の死骸なども食べるからです。

タニシが増える条件

タニシが増えるために必要な条件は以下の通りです。

適温を保つ

タニシに程よい水温は25度から28度くらいです。

温度計で計測してもいいですが、そこまで神経質にならなくてもタニシはわりと元気です。

 

急激な温度変化には弱いので、2度以上水温が変わるような場所には置かないことです。

30度を超えるとちょっと元気がなくなるかもしれません。

餌をやりすぎない

タニシは水中に漂うプランクトン、沈殿物や苔も食べます。

タニシはやわらかくなった水草もよく食べます。餌を与えるというより、水槽に水草を入れる方がいいかもしれません。

水槽内がややどろっとした水草で緑っぽい感じになると、タニシはわりと元気です。

 

水質の目安ですが、見た目が緑っぽい感じになってもタニシは生きていけます。

日光を通して水槽内の水を見ると、水草や苔、浮遊物が増え、やや濁った緑っぽい水に見えることがあります。

 

こういう状態だと、タニシはおおむね元気に成長します。

あまりに臭いだとか、異臭がしたら水を替えますが、基本的にあまり手がかからないのがタニシの飼育です。

しかしタニシも貝類なので、酸性にかたむくと殻が溶けてしまいます。

 

タニシは卵を産まないので、水槽の中はタニシかタニシの稚貝で満たされます。

もし水槽内に卵のようなものがあったら、それはタニシではありません。

タニシの繁殖について

タニシの繁殖は他の貝類よりゆっくりです。そのため、タニシが繁殖しやすい環境を整えることがタニシを増やすためには重要です。

交尾行動が行われてから1,2週間くらいで小さい稚貝が確認できるはずです。そのためにも隠れ場所になる水草はあるとよいです。

 

タニシは冬の時期になると、たいていあまり動かなくなります。

砂の中に潜り込んだり、水槽の下のほうにうずくまったりして冬眠のような状態で乗り切ります。

気温が上がってくればゆっくり動き出します。

タニシとメダカ

学校でメダカを飼っていた人はいるでしょうか?

メダカとタニシを一緒に飼育していましたが、日当たりがよいせいなのかメダカはしょっちゅう産卵し、タニシも増えていました。

 

緑色の苔などが付着しどんよりした水槽でしたが、一年中、メダカ、メダカの稚魚、タニシ、タニシの稚貝がたくさんいる状況でした。

タニシとメダカを一緒に飼うとよい、とされるのは水温や繁殖時期がだいたい同じくらいであることも理由のひとつだそうです。

 

タニシは確かに増えますが、卵ではなく稚貝を産むために急激にものすごく増えるわけでもありません。

比較的長く飼っていてうまくいけば結構増えます。

(ライター:おもち)