お庭やベランダで大切に育てている植物を食べてしまう芋虫や毛虫、それがすなわち蛾と蝶の幼虫だということはご存知ですよね。
それらの幼虫が、きれいでかわいいチョウチョになるのなら我慢もできますが、あの気持ちの悪い蛾に育つとしたら、と考えると容赦はできません。
根こそぎ駆除したくなります。では、その幼虫を見ただけで蛾になるのか蝶になるのかはわかるのでしょうか。
その調べ方を探っていきます。
そもそも蛾と蝶の見分け方は?
親である蛾と蝶は、同じ「鱗翅目」の仲間です。
そのうち蝶が260種であるのに対して、蛾は5000種もいるといわれています。圧倒的に蛾のほうが多いんですね。
一般に、昼間に美しい羽をもって飛び回り、お花に羽を立てて留まり蜜を吸っているのが蝶。夜に電灯に集まり、羽は茶色っぽく胴は長くて太く、羽をベタッーと広げて留まるのが蛾というイメージですが、必ずしもそうとは限りません。外国では蛾と蝶を区別していない地域が多く、分類学的にも明確な区分はないとのことです。
蛾と蝶の幼虫とは?
さて、蛾と蝶の幼虫は、青虫、芋虫、毛虫と呼ばれており、色や形もさまざまなものがいます。
なかには10cmぐらいになるものがいるのでギョッとします。では、それらの違いはなんでしょう。辞書で調べてみました。
◆青虫:体が緑色で、長毛をもたないチョウやガの幼虫の総称。モンシロチョウ・スジグロシロチョウの幼虫をさすことが多い。ダイコン・ハクサイなどを食害。
◆芋虫:チョウやガの幼虫のうち、毛のないものの総称。特に、サツマイモの葉につくスズメガ類の幼虫。春夏の頃、草木の葉を食害。
◆毛虫:チョウやガの幼虫の俗称の一つ。体の表面に長毛や毛束を密生するものをいう。
主としてドクガ科、ヒトリガ科、カレハガ科、ヤママユガ科などの幼虫を指すが、チョウの幼虫にも毛を生ずる種がある。
植物の葉・茎を食害。
こうしてみてみると、かわいらしい青虫は絵本などにもなっているし、蝶の幼虫であるといえそうですが、そのほかの区別はつきません。
幼虫の武器とは?
ところで、蛾や蝶の幼虫たちは、小鳥などのエサになることが多く、蛹になって成虫として羽ばたけるのはごく一部です。
そのため幼虫たちはさまざまな生き残るための術や武器を身に着けています。その一部を紹介しましょう。
◆植物の色や形に似せる:青虫型の幼虫
◆鳥のフンに似せる:アゲハチョウ類の幼虫など
◆植物の葉や茎にもぐりこむ:セセリチョウやシジミチョウの仲間の幼虫
◆葉っぱなどを使って巣をつくり隠れる:セセリチョウやタテハチョウなどの幼虫
◆いやな液や臭いをだしておどかす:モンシロチョウ、アゲハチョウの幼虫など
◆体内に毒を蓄えておく:マダラチョウなど
◆トゲトゲをもち食べにくくしたり、毒で脅したりする:イラガ、ドクガ類の幼虫
◆大きな目玉模様で脅かす:アゲハチョウの仲間の幼虫など
蛾と蝶の幼虫は見分けることができるのか?
さて、青虫、芋虫、毛虫などの幼虫のうちから、蛾と蝶を見分けることはできるのでしょうか。
青くてかわいらしいのは蝶の幼虫、トゲトゲをもち毒々しい色をしているのは蛾の幼虫だと思われがちですが、成虫の見分けがつかないように例外が多く、見分けることはむずかしいといえます。
ひとつの方法として、何の植物を好むかということで検討がつく場合があります。
たとえば、ダイコン・ハクサイなどの柔らかめの野菜を好む青虫は蝶の幼虫、ツバキを好むのはチャドクガの幼虫、柿の木を好むのはイラガ、アオイラガの幼虫であるなど。
蛾と蝶の幼虫を見分ける方法!
どうしても幼虫がどんな成虫になるか見分けたいという場合は、図鑑で調べるということになるでしょう。
WEBにも蛾や蝶の幼虫と成虫を対比した図鑑のサイトが各種あるので検索してみるとよいでしょう。
また、書籍の図鑑も各種出版されています。
『イモムシハンドブック』、『イモムシハンドブック2』、『イモムシハンドブック3』安田守、文一総合出版など。
何の幼虫か、危険性があるか、発生原因の植物などがわかるのでおすすめです。
まとめ
以前、我が家のほったらかしの庭に生えている木の根元あたりに虫のフンが落ちているのに気づいたのですが、姿は見えませんでした。
そのうち、葉っぱはみるみるなくなり、フンはどんどん巨大化していくではありませんか。
そうしたら現れました、長さ10cm、親指ぐらいの太さのある芋虫が!調べてみるとヨトウガの幼虫らしいです。
夜盗虫とも呼ばれ、昼間は植物の根元などに隠れていて夜になると植物を食い荒らすとのこと。
やはり幼虫を見てどんな成虫になるか調べるしかなさそうです。
(ライター sensyu-k)