子供達にも人気のあるノコギリクワガタのまたの名をスイギュウということを知っていますか?
ある地域ではいたって一般的になっているこの名前、どうしてそう呼ばれるのかは大体想像がつきますが、今回はそんなスイギュウのお話。
ノコギリクワガタの特徴
ノコギリクワガタはコウチュウ目・クワガタムシ科・ノコギリクワガタ属の1種。
5亜種に分類されていて、北海毒から屋久島まで日本国内に広く生息している代表的なクワガタムシです。
オスの大あごの内側に鋸のような歯が数多く並んでいることから名前が付けられたと言われています。
個体数も多く、日本でも非常に多くの人に楽しまれている昆虫のひとつです。
体長はオスが24~77㎜、メスは19~41㎜です。
オスは体格による個体辺地が著しく、体長が約55㎜以上の大型個体では大きく屈曲した長い大顎を持ちますが、中型個体では大顎がゆるやかな湾曲となっていて、小型個体では大顎が直線的になり、内歯は均一な鋸状になります。
体色は赤褐色から黒褐色で、立派な大顎はメスをめぐるオス同士の戦いのために進化したと考えられています。
メスの体色は赤褐色で、脚も全体的に赤いのが特徴です。
ノコギリクワガタの生態
ノコギリクワガタは平地から山地までの広葉樹の森林、都市郊外の小規模の林にまで生息しています。
成虫の活動期は6月上旬から10月で、広葉樹や照葉樹の樹液などをエサとしています。
夜行性で、昼間でも木陰などで見ることができて、樹上の高い所で休んでいることが多いようです。
動きが活発ですが、樹にしがみ付く力は他のクワガタに比べて弱く、樹を蹴飛ばすと死んだふりをしたクワガタムシが樹から落ちてきます。
メスは広葉樹の立枯れ野地中部や倒木の埋没部、その周辺に散乱し、卵から孵化までの期間は約1か月。
幼虫は水分を多く含んで劣化の進んだ朽ち木を食べて育ち、2回の脱皮を経て終齢である3齢幼虫になります。
幼虫期間は約1~3年で、蛹になるために春から夏にかけて蛹室をつくり、約1か月かけて蛹になり、1か月後に羽化します。
蛹の状態で越冬することはなく、通常は繁殖期を終えた成虫はその年に死滅します。
ノコギリクワガタの大顎のタイプ
ノコギリクワガタは多くの地域で水牛やウシという呼ばれ方をしています。
これはノコギリクワガタの持つ大顎の形が影響していると考えられます。
スイギュウと呼ばれるのは主に九州や四国、関東で、京都や滋賀ではウシと呼ばれているようです。
また、ノコギリクワガタの大型のオスのことを水牛タイプと呼ぶこともあります。
小型のノコギリクワガタと大型のノコギリクワガタでは大顎の形が違っており、小型のノコギリクワガタの大顎がまっすぐなのに対し、大型のノコギリクワガタは大顎が湾曲していてまるで水牛の角のように見えます。
スイギュウと言われる所以はこの大顎の形からきているようです。
ちなみに大あごの大きさの違いは幼虫期に過ごした環境が影響しているようです。
もちろん、栄養状態の違いというものはあるのですが、それ以外にも積算温度というものが関係していて、温度以外の条件が同じでも高い環境で育った幼虫は十分に大きくなっていなくてもすぐに蛹になって羽化してしまうのだそうです。
ノコギリクワガタの大顎は大歯・中歯・小歯という分類がされるのが一般的で、大型の個体ほど大顎が大きい傾向にあるのが一般的。
小歯型のクワガタは中歯や大歯に比べると大分形が違うので初めて見る人はノコギリクワガタとは思わない場合もあるほどだそうです。
また、このような現象はカブトムシの角に関しても言え、大型のカブトムシの角は大きく、小型のカブトムシの角は小さいようです。