みのむしを見たことがありますか?
器用に作りあげられる「蓑」に感心したことがある人も多いのでは?
でも、あの「蓑」の中身が一体どんなことになっているのか、知っていますか?
みのむしの形態と生態
みのむしはチョウ目ミノガ科の蛾の幼虫です。
日本には20種類以上のミノガ科に分類される蛾が生息しており、代表的なものにオオミノガ、チャノミガ、クロツヤミノガ、ニトベミノガなどがいます。
多くの種の成虫のメスは翅も脚も持っていません。例外的にヒモミノガ類はメスもオスと同様に羽化しますが、それ以外の種は痕跡的に退化した翅を持つか、脚だけを持っているか、もしくは両方とも全くないか。
幼虫はバラ科、カキノキ科などの果樹やサツキなどの葉を食害し、摂食後の枯葉や枯れ枝に粘性の糸を絡めて袋状の巣を作りぶら下がります。
みのむしは身の回りの繊維であれば葉や枝でなくても蓑を作ることが出来ます。
毛糸くずや細かく切った色紙の中に蓑を取り去った幼虫を入れると色鮮やかな蓑を作ったりもして、子供のいいおもちゃになります。
ミノガ以外のみのむし
ミノガ以外にも同じような蓑を作る蛾は存在します。
例えばイガ。
イガはチョウ目ヒロズコガ科に属する蛾で、世界中に分布しています。
成虫の体長は4.5㎜程度、翅の開帳は9~16㎜です。体は灰褐色で頭部は黄色をしています。
年に2~3回発生し、25℃においては1世代に55日を要します。
日本では屋内において成虫は4~11月まで見られ、幼虫体で越冬します。
幼虫は遷移を加工して扁平で両端が開港している筒状の鞘を作り、その中で生活します。
鞘をつけたまま移動して摂食は頭や胸を鞘の先端から出して行います。
幼虫は衣類、毛織物、動物標本、乾魚、魚粉、カツオブシなどを食べ、幼虫は老熟すると吐糸で鞘の一報を固定、鞘の中で蛹になります。
オオミノガのみのむし
オオミノガは本州、四国、九州、対馬、屋久島、沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島に分布し、東南アジアにも広く分布しています。
オオミノガは日本産で最も大きな「蓑」を作ります。
成虫が蛾になるのはオスだけですが、オスは口が退化しているので、摂食することはできず、繁殖ためだけに存在します。
オスの体長は30~40㎜で、メスは翅と脚がなく、形は小さい頭に小さな胸があり大半を腹部が占める形をしています。
オスと同じく口は退化していて無く、成虫になっても「蓑」の中の蛹の殻の中にいます。
オスはメスのフェロモンに惹かれて夕方頃飛行し、みの内のメスと交尾します。
オスはこの時に小さな腹部を限界近くまで伸ばし、蛹の殻とメスの体の間に入れて交尾をし、交尾後は死んでいきます。
メスは蛹の殻の中に1000個以上の卵を産卵し、卵塊表面を腹部の先に生えていた淡褐色の微細な毛で栓をするように覆います。
メスは通常卵が孵化するまで蛹の殻の中に留まり、卵が孵化する頃に蓑の下の穴から出て地上に落下して死んでいきます。
20日前後で孵化した幼虫は蓑の下の穴から外に出てそこから糸を垂らして風にのって分散していきます。
葉や小枝などに到着した1齢幼虫はただちに小さい蓑を造り、それから摂食します。
6~10月にかけて7回脱皮を繰り返し、成長するにつれて蓑を拡大、改変して小枝や葉片をつけて大きくし、終齢幼虫に達します。
主な植樹はサクラ、カキノキ、イチジク、マサキなどです。
秋には蓑の前端を細くくくって、小枝などに環状になるように絹糸をはいてこれに結わえ付けて越冬に入ります。
枯れ枝の間で蓑が目立ち、越冬後は普通にエサを食べずに蛹になっていきます。
近縁オオミノガヤドリバエによる寄生で生息数が激減しており、各自治体のレッドリストで絶滅危惧種に選定されています。
(ライター ナオ)