比較的おとなしいヘビと言われるヤマカガシ。
でも、しっかりと毒は持っている毒蛇です。
2017年の夏、小学生の男の子がヤマカガシに噛まれたことが全国のニュースで取り上げられました。
公園でヘビを捕まえて2度ほど噛まれたということで、体長を崩したようですが、その後無事回復したとのニュースでした。
このニュースでも分かるように、毒性としては特に強いものを持っているヘビではないのですが・・・・・
ヤマカガシの特徴
ヤマカガシは有隣目ナミヘビ科ヤマカガシ属に分類されるヘビです。
有毒特定動物に指定され、日本では本州、四国、九州、佐渡島、隠岐島、壱岐島、五島列島、屋久島、種子島に分布している固有種。
北海道や南西諸島、小笠原諸島には分布していません。
ヤマカガシの全長は60~120㎝。
頭胴長は55~120㎝ですが、1972年には丹沢山地で全長142㎝で太さが牛乳瓶ほどの個体が捕まったことがあります。
体色は地域変異があり、関東地方の個体群は体側面に赤色と黒色の斑紋が交互に入り、関西地方の個体群には体側面の斑紋が不明瞭なのが特徴です。
近畿地方西部から中国地方の個体群では青色の個体も見られます。
頸部背面には黄色の帯がありますが、個体によってはないものもいます。
鱗には強いキールが入っています。
ヤマカガシの毒
ヤマカガシは幼体も成体も毒牙を持っています。
毒牙は上顎の奥歯にあり、0.2㎝以下と短く、毒線を圧迫する筋肉がないので一瞬噛まれただけでは毒が注入されないこともあります。
毒性は強い血液凝固作用で血管内で微小な血栓形成を引き起こしますが、咬傷直後には局所的な痛みや腫れが起こることはありません。しかし、出血や血栓が原因とされる一時的な頭痛が起こる可能性があり、毒量が多いと重症化する場合もあります。重症例としては脳出血、急性腎不全などが挙げられます。
半数致死量は5.3マイクログラムでニホンマムシと比べると4分の1程度の毒性ということになります。
頸部皮下にも毒腺があり、頸部を圧迫すると毒が飛び散ります。
罫線の毒はエサであるニホンヒキガエルの持つ得を貯蔵して使用していることが明らかになり、ヒキガエルが生息しない金華山に生息するヤマカガシはこの頸線の毒を持っていません。
人間とヤマカガシの関係
アオダイショウやシマヘビと共に日本全土でよく見かけるヘビの一種です。
同じ毒蛇であるニホンマムシと比べても生息数は多く、水田などを活動の場とすることで人とのかかわりも深いと言えます。
主な食料はカエルで、日本の水田の発達とともに発展していったと考えられていて、近年の水田減少に伴うカエルの減少で個体数は減少しています。
ヤマカガシに噛まれた時の対処方法と血清のある場所
ヤマカガシに噛まれた場合、慌てずに病院を受診するのが得策です。
体調が悪かったり、アレルギー体質の人などは症状が激しく出る場合もあります。
応急処置としては市販のポイズンリムーバーなどで毒を絞り出してしまうのが最も有効ですが、ない場合はつねったり、つまんだりして毒を絞り出します。
決して口で吸引するのは止めましょう。
ヤマカガシは人間が死に至るほど毒性が強くなく、今までに死傷者がいないため、血清はどこの病院にも置いてあるわけではありません。現在、日本では国内の3か所、ジャパンスネークセンター、国立感染症研究所、杏林大学の3か所にのみ存在しているようで、病院のお医者さんの判断で必要な時に取り寄せてもらう形をとっているようです。
何はともあれ、毒蛇には皆さんご用心を。
幼体でも、大人しくても、必要以上の負荷をかければヤマカガシと言えども堪忍袋の緒が切れますので!
(ライター ナオ)