ヒョウアザラシという恐ろしい顔をしたアザラシをご存知でしょうか?

顔つきでいったら、断然シャチよりも怖いヒョウアザラシですが、やっぱりシャチにはかなわないようで・・・。

ヒョウアザラシの特徴

ヒョウアザラシは食肉目アザラシ科ヒョウアザラシ属に分類される鰭脚類です。

南極大陸周辺に分布し、体長はオス2.8~3.3m、メス2.9~3.6m。

体重はオスが300kg、メスが500kgとメスの方が大型です。

体形は細長く、頭部は大きくて吻端は尖っています。

 

口は大きく、開口角度も大きいのが特徴で、顎は頑丈で鋭い牙が並んでいます。

頸部は長く、背面は暗褐色で腹面は明色の体毛で被われています。

 

体側面や腹面には白や黒の斑点が入り、ヒョウの由来にもなっています。

前肢は発達し、遊泳速度は速く、出産直後の幼獣は体長1~1.6mで体重は30~35kg程です。

ヒョウアザラシの生態

ヒョウアザラシは海洋や流氷、孤島などに生息し、群れは形成せず、単独で生活しています。

食性は動物食で主にナンキョクオキアミを食べますが、イカ、魚類、ペンギンなどの鳥類、鰭脚類なども食べます。

 

鰭脚類の中でも特にカニクイアザラシの幼獣を食べることで知られており、他にも多くのアザラシやオットセイを捕食します。

鋭い牙をもった口はかなり大きな角度で開くことが出来ます。

 

南極海ではシャチと共に海のギャングと呼ばれるほど。

オキアミを食べる時には海水事口に含み、臼歯で濃しとって食べます。

 

また、過去には完全に成熟したカモノハシが胃の中から見つかったこともあります。

2003年には南極半島でシュノーケリングをしていた28歳の海洋生物学者がヒョウアザラシに海中に引きずり込まれ溺死していまいました。

 

また、それだけではなく、遠く1985年に起こったスコットランドの極地探検家は薄い氷の上を歩いていた時、突然脚下の氷が粉砕されてヒョウアザラシの巨大な頭が飛び出してきて、大きく開かれた口で右脚を捕らえられ、水中に引きずり込まれたという事件もありました。

 

仲間たちがヒョウアザラシの顎を放したので、彼は水中に引きずり込まれずに済んだのだそう。

ヒョウアザラシの狩りのスタイルは岩に擬態して待ち伏せしてそこに来たペンギンたちの脚にガブっと噛みつき、激しく振り回し深い海に引きずり込みます。

 

1日に15羽以上のペンギンを食べることもありますが、丸呑みにすることはできず、頑丈な顎と歯でしっかりと加えて振り回し、引きちぎって食べます。

また、ヒョウアザラシは捕らえた獲物をもてあそぶことがあるこが知られています。

 

例えば一度捕獲したものを故意に放して、また捕獲するなどの行為で、これはアザラシやペンギンにおいて見られる行動です。

繁殖形態は胎生で妊娠期間は274日。

 

10~11月に1回に1頭の幼獣を産みます。

授乳期間は約4週間でオスは4年半で性成熟すると考えられています。

寿命は26年と推定されています。

ヒョウアザラシの天敵

天敵はシャチや大型のサメで、ゾウアザラシがヒョウアザラシを殺したとする報告もあります。

ちなみに、ヒョウアザラシとホッキョクグマを戦わせたら、どちらが強いかについて議論されることがありますが、これは陸上と海中で強さは全く違うということが一目瞭然。

 

ヒョウアザラシの最大級の個体は長さ3.4m、体重590kgにもなりますが、ホッキョクグマは最大で1トンにもなる個体がいるので、陸に上がってしまえばヒョウアザラシの完敗です。

 

一方海中ではシャチの方が圧倒的な機動力を発揮します。

ゆったりと泳いでいるホッキョクグマなどはあっという間に襲えるに違いありません。

 

しかし、自然界に置いてヒョウアザラシがシャチに襲われ、食われるということは非常にまれであるといえるのだそう。

ヒョウアザラシはほぼ南極海の海の王者と言っても過言ではないのです。

(ライター ナオ)