田んぼや畑など、地中で活動する虫の代表格と言えば「オケラ」ですね。
田植えの時期などによく見かけます。
しかし、名前は何となく知っていても、その姿や生態を詳しく知らない…という人も多いのではないでしょうか?
今回はそんなオケラについて、生態や鳴き声などをまとめていきたいと思います。
オケラの生態
正しくはオケラではなく「ケラ」という名前なのですが、ここでは広く浸透しているオケラという呼び方で統一させてもらいますね。
オケラはバッタ目ケラ科の虫で、世界に約70種が生息しています。
日本では「ケラ」一種が北海道から南西諸島まで、広い範囲に分布。
体長は約3cmで、下半身はコオロギ、上半身はザリガニ、前肢はモグラに似た、奇妙な姿が特徴的ですね。
初めてオケラを見たときには、「変な虫がいた!」と大騒ぎした記憶が…。
これは穴を掘る地中生活へ適応した姿であり、世界にいる約70種のうちの多くが、見分けがつかないほど似た形態をしているそうです。
しかしいくら穴掘りに適応した姿をしているとは言え、穴掘りはかなりの重労働。
相当のエネルギーを消費するため、オケラは大量の餌を必要とします。
餌不足や水切れに弱く、1日飲まず食わずでいると死んでしまうこともあるんだとか。
この辺はモグラとよく似ていますね。
食性は雑食で、ミミズや地中の昆虫・幼虫、植物の根や種などを餌とします。
オケラは田んぼや湿地など、湿気を多く含んだ柔らかい土地を好み、ねぐらとなる縦穴を地面に掘って巣を作ります。
しかし、ずっと地中で過ごすわけではありません。
成虫には翅があり、夜になると飛んで灯りに集まってくることもありますし、まるでコオロギのように地上を跳ねたり走ったりして移動することもあります。
また、全身によく水をはじく短い毛が生えているので、水面を泳ぐことも可能。
つまり、地中、地上、水上、空中と、かなり広い範囲を行動することができる、ハイブリッドな虫なのです!
まあこれだけ様々な運動をしていたら、かなりエネルギーが必要なのも納得ですね。
地中でも地上でも、更には水上・空中でも活動できるオケラですから、天敵は少なそうに思えますが…。
しかし意外にも周りは天敵だらけ。
鳥、モグラ、カエル、魚、イタチ、タヌキに餌として捕食されることも多い他、寄生蜂に寄生されたり他の昆虫に卵を狙われたりもします。
かつては江戸城大奥で飼育している鳥の餌にするため、農民たちにオケラを集めさせていたという話もあるそうです。
オケラって鳴くの?
オケラはコオロギやキリギリスなどと同じバッタ目の仲間ですから、鳴くことができます。
オケラにも前翅に「翅脈」と呼ばれるヤスリのような部分があり、これをこすり合わせることによって鳴き声を発します。
地面から「ジージー」「ビービー」と言った音が聞こえてきたら、それがオケラの鳴き声。
地中で鳴いているのによく聞こえるなぁと不思議に思いますが、それは巣穴が共鳴室の役割を果たし、鳴き声を響かせているからなのです。
地中から聞こえてくるため、昔は「ミミズの鳴き声」だと思われていたんだとか。
しかしミミズが鳴くとしても、一体どうやって音を出しているのか、疑問に思う人はいなかったのでしょうか?
通常、鳴き声を出す虫たちは、そのほとんどがオス。
しかしオケラはその中でも珍しく、メスも鳴き声を発します。
ただし…やはりオスほどよく鳴くわけではないようですが。
オケラについてのまとめ
もしもオケラを探すなら、やみくもに土を掘ってみるよりも、鳴き声を頼りに探すのが発見の近道かもしれません。
また、田植えの季節には耕された水田にプカプカと浮いていることが多いので、そのタイミングが狙い目です。
昆虫ゼリーなどを餌にして飼育することも可能なので、興味がある人は飼ってみるのもいいかもしれませんね。
あの独特なフォルムをじっくりと観察してみてください。
(ライター もんぷち)