冬を彩る鉢花の代表ともいえるシクラメン。
毎年11月ごろ、お花屋さんやスーパーの生花コーナーでみごとに花を咲かせているシクラメンの鉢を見かけるとついつい購入したくなってしまいますよね。
花が咲き終わったあと、うまくすれば翌年も花を咲かせることができるといいますが、失敗してしまいがちです。
そこで、シクラメンの育て方、来年も花を咲かせるための休眠方法について調べてみました。
シクラメンとはどんな植物?
シクラメンは、サクラソウ科の多年草で、球根植物です。
原産地は地中海沿岸、中東です。
地中海気候で冬が雨季、夏が乾季である地域の植物です。
涼しい雨季が開花時期になり、日本でいえば「冬」にあたります。乾季は日本でいえば「夏」です。
シクラメンは冬に咲くといっても地中海気候の冬に咲くのであり、それほど寒さに強いわけではありません。
育成に適した気温は5~15度の間です。
また日本では、冬に乾燥しがちで夏には湿気が多くなりがちなので、シクラメンを育てるときには、この点に注意しましょう。
シクラメンの名前の由来・花言葉
シクラメンはもともとCYCLAMEN(サイクラメン)と呼ばれていました。
「サイクル」は、クルクル回ることですが、シクラメンは花が咲き終わると、花だけポロッと落ち、立っていたはずの茎が、なぜかくるくる円を描くように回りながら縮こまります。その様子から名付けられたのでしょう。
シクラメンの別名に「カガリビバナ」がありますが、篝火のような花形に由来します。
また「ブタノマンジュウ」というありがたくない別名をもっていますが、イギリスでは放し飼いの豚が球根を食べてしまうことから「メスブタのパン」と呼ばれていたのが翻訳されてできた名前です。
うつむきかげんに咲くシクラメンの花言葉は、「遠慮」「気後れ」「内気」「はにかみ」になります。
色別でみてみましょう。
赤:「嫉妬」
白:「清純」
ピンク:「憧れ」「内気」「はにかみ」
シクラメンの種類
クリスマスや年末が近くなると、赤、ピンク、白、グラデーションなど様々な花色で、さらに花びらのひだが美しいもの、斑入りの葉のものなど、たくさんの種類のシクラメンが並びます。
シクラメンには大きく次のような種類があります。
・原種シクラメン:品種改良されていない野生種のシクラメン。
・ガーデンシクラメン:小型に品種改良されたミニシクラメンから、耐寒性の強い品種を選んでさらに改良されたシクラメン。
・芳香性シクラメン:本来シクラメンには香りはありません。1975年(昭和50年)ごろ布施明の『シクラメンのかほり』(小椋佳作詞・作曲)が大流行し、人々からシクラメンの香りについての期待や要望があったために開発されたといわれています。
シクラメンの育て方
*ポイントは、地中海気候の雨季・冬に近づけることです!
よいシクラメンの選び方
・シクラメンは暑さに弱いので品質が安定する11月下旬以降に購入する。
・葉っぱが多くてパリパリっとしているもの、大きさがそろっていて黄色くないもの、ヒョロヒョロ間延びしていないものを選ぶ。
・花が多く痛んでいないもの、花色が鮮やかでシミのないもの、花茎の高さがそろっているものを選ぶ。
シクラメンを置く場所
・霜にあたる戸外には置かない。
・5~15度以内で管理できる場所に置く。リビングなどは暖かくなりがちなので避ける。エアコンなどの風にはあてないようにする。
・できるだけ日光にあてるようにする。
水やりと肥料
・鉢は水やりの管理がしやすいように、底面給水のものを選ぶ。シクラメンは水を好む植物なので、水切れしないようにする。
・底面給水の鉢でも、たまには土の上からも水をあげる。ただし、球根の部分に水がかからないようにする。
・9月頃~翌年の5月頃までの生育期には、肥料が切れないようにする。肥料が切れると、花数が少なくなり葉の色が悪くなるなどの症状がでる。
しおれたら?
・温度が5~15度の間になっているか調べる。
・シクラメンは冬でも生育し水をほしがるので、水が切れていないか調べる。鉢底の底面給水をする場所に水がたまっているようにする。
・水を鉢の上の土からもたっぷり与えて、しおれた茎をたばね、葉っぱごと新聞紙などでくるみ、日陰に放置して様子をみる。
葉が黄色くなったら?
・日光不足だと葉が黄色くなりがちなので、日のあたるところに置く。
・室温が適温範囲(5~15度)を超えていないか調べる。
・肥料が不足していないか調べる。
来年も花を咲かせるには?
シクラメンは、地中海や中東の雨季と乾季のある地域の植物なので、雨季に開花し、乾季には休眠します。
シクラメンは日本の冬を「雨季」だとみなすので開花するのです。
そして暖かくなり夏になると「乾季」とみなし休眠します。
ただし日本と地中海気候では夏・冬の雨の降り方が逆になるので、この点に留意して管理することが大切です。
日本で夏越しさせるには、休眠させるほうが容易ですが、葉っぱを残しておいて休眠させない方法もあります。
①休眠させる方法:葉っぱが完全に枯れて落ちた後、球根だけにして休眠させる。
②休眠させない方法:
・春になり、葉っぱが黄色くなったら取り除く。10度以下にならなければ戸外の半日陰においてもよい。
・水は底面給水で通常どおりあげる。球根は加湿に弱いので、腐らないようにベントーレ水和剤を撒いておくとよい。夏は鉢底に水がたまらないようにする。
・春や夏も球根を太らせるので薄い肥料をやる。
・秋になったら植え替える。
シクラメンの休眠のさせ方(球根のみにする)
シクラメンを球根だけにして、完全に休眠させる方法を、もう少し詳しくみていきます。
*春夏は高温・加湿になり、球根が腐りやすくなるので、ベンレート水和剤を散布しておくとよい。
・4月~5月:花が減り、葉っぱがでてこなくなる。水をやる頻度を減らし、肥料は控える。
・6月:花も葉もなくなる。枯れてカラカラになった花びらや葉は放置しないで根本から捻って取り除く。水やりをやめる。日陰で風通しがよいところで管理する。
*日本とシクラメンの自生地の地中海気候の夏とは違うので、高温・加湿に気をつける。
・7月~8月:球根を腐らせないように水は一切やらない。
・9月:植え替えをする。昨年より一回り大きな鉢に、肥料が混ぜ込んであるシクラメン用培養土を入れ、球根が半分から三分の一くらい出すようにして植える。
まとめ
シクラメンを休眠させ、夏越しをして翌年も花を咲かせる方法を調べてみましたが、なかなかうまくいかないようです。
成功率は半分以下とか。毎年買い換えて楽しむほうがよさそうですね。
でも、せっかくの鉢なのに、生き延びる可能性があるのに捨ててしまうのはもったいないし、心が痛みます。
そんな方は、ぜひ、夏越しに挑戦してみてください。
(ライター sensyu-k)