ナズナという植物はよく聞きますよね?
今回はそんなナズナのお話しです。
ナズナの特徴
ナズナはアブラナ科ナズナ属の越冬草です。
別名をペンペングサやシャミセンギサなどと言い、田畑や荒れ地、道端などに生えています。
麦栽培の伝来とともに日本に渡来した史前帰化植物です。
草丈は20~40㎝で、花の下についている果実の形が三味線のばちに似ていることからシャミセングサと言われ、果実の柄を持って下にひき、柄がちぎれてぶらぶら下がった状態で、茎の部分を軸にしてくるくると回すとぺんぺんと音がすることからペンペングサと言われます。
ナズナの花
ナズナの花の時期は2~6月で、4枚の白い花びらをもつ直径3㎜程の小さな花をたくさん花穂につけます。
次々に花を咲かせる無限花序で、舌の方で花が終わって種子が形成される間も先端部では次々と蕾を形成し開花していきます。
ナズナと人のかかわり
ナズナは春の七草のひとつで、若苗を食用にもします。
七草とは1月7日に春の7種の野菜が入った粥を食べることで無病息災を願うというものですが、野菜が乏しくなる冬場に、不足しがちな栄養素を補うという効能もあります。
また、七草がゆを食べる習慣は古代から年の初めに雪の間から芽を出した草を摘む、若菜摘みが原点だとも言われています。
かつては冬季の貴重な野菜であったこともあるほど。
民間薬として陰干ししたのちに煎じたり、煮詰めたり、黒焼きするなどしたものが肝臓病、解熱、血便、血尿、下痢、高血圧、止血、生理不順、腹痛、吐血、便秘、利尿、目の充血や痛みに効きます。
江戸時代には糸で束ねて行灯の舌の吊るし、虫除けのまじないにする習俗が広くありました。
「ペンペングサが生える」という慣用句はナズナが荒廃した土壌であっても生育することから、荒れ果てた様子を指します。
「ペンペングサも生えない」という慣用句は荒廃した場所で育つナズナでさえも生育しない様子から、転じて何も残っていない状態、一切合切が残らない状態を揶揄した表現です。
ナズナの近縁種
ナズナの近縁種にはイヌナズナ、グンバイナズナ、マメグンバイナズナなどがあります。
グンバイナズナはヨーロッパ原産ですが、日本や北アメリカなどの帰化植物として定着しています。
草丈は10~60㎝程になり、葉は長卵形で、やや厚く光沢があります。
葉柄は長く、葉全体は軍配型となります。
最近はサラダの材料やサンドイッチなどの具として食用にされることがあります。
生では苦いので油通ししてから食べることもあります。
また、バイオディーゼル燃料の原料にされることもあります。
マメグンバイナズナは北アメリカ原産で、日本では明治時代に確認された帰化植物です。
ナズナに似ていますが、茎が直立して花の時期には根出葉が残らないことや花序が多く、果実が軍配型ではなく、丸い形などの点で区別することが出来ます。
ナズナの果実
ナズナのハート形の果実の中を割ってみたことがあるだろうか?
実はあの中身は隔壁が中央に走り、左右に分かれて種子が入っています。
中には1㎜程の小さな幼虫の卵のような種子が17~20個ほど入っていて、熟すと隔壁だけが残って左右の果皮が吾、種子が飛び出す仕組みになっています。
ナズナの名前の由来と花言葉
ナズナの花名の由来には諸説あります。
夏になると枯れてしまうことから、夏に無いで夏無(なつな)を語源としているという説、撫でたいほどの可愛い花から「撫菜」となったという説もあります。
西洋では果実の形から、羊飼いの財布と呼ばれています。
ナズナの花言葉は「あなたにすべてをお任せします」「あなたに私の全てを捧げます」でこれも果実の形が財布に似ているところからきていると考えられています。
(ライター ナオ)