アケビという植物をご存知でしょうか?
名前は聞いたことがあっても、実際自生したアケビを見たことのある人は少ないかもしれません。
今回は、そんなアケビについて詳しくお話していきます。
アケビの特徴
アケビはアケビ科の蔓性落葉低木の一種です。
茎は蔓性で他のものに巻き付き、古くなると木質化していきます。
葉は5つの楕円形の小葉が掌状につく複葉で、互生します。
アケビの花
アケビの花は4~5月に咲き、木は雌雄同株ですが花は雌雄で異なり、色は淡紫色。
花被は3枚で、雄花の中央部にはバナナのような果実のような6~9本の雄しべが放射状につきます。
雄花の柱頭に甘みをもった粘着性の液体がついていて、花粉がここに付着することで受粉が成立します。
雌雄異花で蜜も出さないので、受粉生態のはっきりしたことはわかっていないのですが、おそらく雌花が雄花に擬態し、雄花の花粉を目当てに飛来する小型のハナバチ類をだまして受粉を成功させているのではないかと言われています。
受粉すると10㎝ほどになる果実がつき、9~10月に熟して淡紫色に色づきます。
アケビと人間の関係
アケビは種子を含む胎座と呼ばれる部分が甘みを持っています。
昔は子供たちの絶好のおやつとして親しまれ、果皮はほろ苦く内部にひき肉を摘めて油で揚げたり、刻んで味噌炒めにするなどして食べられてきました。
山形県では農家で栽培され、一般的に流通していた李、東北地方では新芽を山菜などとして利用しています。
秋田県では種を油の原料とし、江戸時代から明治時代にかけて高級品として珍重されてきました。
明治以降は生産が途絶えていましたが、近年になり復活しています。
アケビやミツバアケビの蔓や葉、茎や果実には薬草としての効能があると言われ、中でも蔓性茎は木通(もくつう)という生薬として販売されています。
木通は利尿作用や抗炎症作用、通乳作用などがあります。
日本のアケビの種類
日本にはアケビの他にミツバアケビとゴヨウアケビがあります。
ミツバアケビは小葉が3枚で、アケビと混じって生育していることも多い。
ゴヨウアケビはミツバアケビとアケビの雑種とされ、その形態は小葉は5枚ながら緩やかな鋸歯を持っています。
アケビの栽培
アケビは日光を好むので日当たりのよい場所を選びます。
鉢植えの場合は鉢土の表面が白く乾いたら、鉢底の穴から少し流れでるくらいたっぷりと水を与えます。
庭植えの場合は土質にもよりますが、苗木や植え付けの直後の木を除けば水やりはほとんど必要ありません。
庭植えは2月と10月に、鉢植えは2、5、10月に有機質肥料か即効性化成肥料を施します。
ウドンコ病が発生しやすく、特に果実に発生すると美味しい果実にならないので注意が必要です。アブラムシも発生しやすいので防除しましょう。
水はけ、水持ちのよいことが大切でこの条件さえ満たせば土はあまり選びませんし、一般的ンア市販の土を用いる場合は赤玉土や腐葉土を用います。
植え付けの適期は11~2月、鉢植えの場合は根詰まりを防いで通気を良くし、通常2~3年以1回の植え替えが必要になります。
接ぎ木で増やす場合は2~3月の休眠期に行います。
異なった品種の花粉で人工授粉をすると良く結実しますので、2種類のアケビを植えると良いでしょう。
夏は、整枝の出来た棚や垣根にする場合には不要なツルを基部で切除し、残す蔓は数節で摘心します。
冬には前年度の枝を必要な長さに気って、棚や垣根に誘引します。
盆栽などで小さな鉢でアケビを楽しむアケビ盆栽という仕立て方もあります。
小さな盆栽にアケビの実がなっているのは何とも風流なもの。
皆さんもぜひチャレンジしてみてください!
(ライター ナオ)