秋になると甘い香りを漂わせるキンモクセイ。

この香りがしてくると、「ああ、秋が来たんだなぁ」としみじみ思いますね。

 

花と言うのは大なり小なり良い香りがするものですが、ここまで強く甘い香りを発するものは珍しいです。

今回はそんなキンモクセイの生態や開花時期、挿し木での栽培方法などについてまとめていきたいと思います。

キンモクセイの生態

キンモクセイは中国南部原産の樹木であり、日本での歴史は江戸時代から。

樹高は10mほどにまで育ち、小さなオレンジ色の花をたくさん咲かせます。

その強く甘い香りから、今で言う「芳香剤」のような役割を期待して、トイレのそばに植えられることが多かったと言います。

トイレ=キンモクセイの香りという記憶がある人にとっては、良い香りではあるものの、あまり良いイメージではないかもしれませんね。

 

ちなみに、日本には雄株しかありませんので、花が咲いても結実はしません。

開花時期は、9月中旬~10月中旬ごろ。

 

キンモクセイの甘い香りは秋の風物詩と言っても過言ではないでしょう。

ただ少々残念なのが、開花期間がとても短いということ。

大抵は1週間ほどで花が落ちてしまうので、気付かないうちに花が咲き終わっていた、なんてこともあるかもしれません。

しかし中には一秋に2回花を咲かせる品種や、四季咲きの品種もあります。

 

もしも庭に植えるなら、どんな楽しみ方がしたいかをよく考えて品種を選びましょう。

また、キンモクセイは日当たりと水はけの良い場所を好みますので、植える場所はよく吟味しなければなりません。

寒さや大気汚染に弱いという少々デリケートな面も見られます。

 

地植えの場合は東北以西、それ以外の場所では鉢植えで育てましょう。

空気が悪い場所では花付きが悪くなるという特徴があるので、もしも花付きが悪ければ空気が汚れている可能性があります。

車の交通量が多い道路の近くなどは、あまり適した場所ではないということですね。

キンモクセイは挿し木で増やせる?

キンモクセイを栽培するにあたり、増やす方法は2通りあります。

まずは苗を買ってきて育てるという方法。

 

これが一番手っ取り早いですし、失敗することも少ないでしょう。

もう一つの方法は「挿し木」です。

 

キンモクセイは挿し木によって増やすことができるのですが、挿し木からだと花が付くまでに5年、長ければ7年という歳月がかかってしまいます。

また、発根率もあまり高くないので、失敗することも多々…。

 

かなり気長に待つ必要があるので、のんびりと育てていきたいという人におすすめの方法ですね。

挿し木の手順は、まず枝を用意することから始まります。

 

枝は生長中の新芽を選び(6月~7月下旬ごろ)、その枝を10~15㎝ほどの長さにカットします。

この時気を付けるのが、殺菌済みのハサミを使うことと、切り口を斜めにすること。

 

切り取った枝は2時間ほど水に浸けた後、切り口に発根促進剤を付けます。

それを鉢またはポットに挿し、透明なビニールシートなどで容器ごと覆ってください。

 

土は赤玉土やバーミキュライト、または挿し木専用の土などを使用し、根が出るまでは土を乾燥させないように気を付けましょう。

挿し木の手順自体はそう難しいことはありませんが、何と言っても時間がかかるのが難点です。

ただし、自分で挿し木から育てるとより愛着が湧きますので、興味がある人はぜひチャレンジしてみてください。

キンモクセイについてのまとめ

キンモクセイの花言葉は「謙虚」「気高い人」「陶酔」「初恋」など。

一見統一性のない言葉ばかりのように思えますが、キンモクセイと言う花の生態を考えるとどれもしっくりきます。

 

小さくつつましい花の姿形は謙虚であり、1週間で潔く花を散らせる様子は気高く、人々を酔わせるほど強く初恋を具現化したような甘い香り。

もしキンモクセイをゆっくりと眺められる機会があったなら、これらの花言葉の意識しながら見ることで、また違った見方ができるようになるかもしれませんね。

(ライター もんぷち)